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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~新たな出会い~

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心を開くのに必要なもの

「…ねぇハミル、なんで彼らと一緒にいるの?」


僕らが乗ろうとしていた馬車の目の前に殿下とブライアン卿にカールやシドさんまでいた。


「ライズは比較的涼しいから屋敷に泊まったらダメかって訊かれて...ダメだった?」


そう言われると断りにくくなる。


「いいじゃん、ハルシャ卿もジェノアと屋敷に戻る予定だったみたいだし」


ジェノはユウリに錬金術を教えて欲しかったからよんだだけである。個人的な感情でよんだわけでは断じてない。


「ジェノは別。てゆうかシドさん、追試は?」



「ふふん!ハルシャ卿が飛び級試験を受けている時に再テストを受けたんだけど、6割以上だったら補習と追試はなしになったんだ!!」


そう言ってシドさんは自慢げに胸をはる。自慢できることではないのだが…


「)ボソッ マジで愛の力ってすごいよな…」


カールが何かを呟いたように思えたが聞こえなかったのでスルーする。


「そりゃ良かったね。偶然ではないと思うけど馬車が2台あるからそこの4人は後ろの馬車に乗ってよね。」


「はーい」


4人が大人しく後ろの馬車に乗り込む。


「ごめんね、カイ…」


そうハミルが少し申し訳なさそうに言った。


「別にいいよ。優しいハミルに頼むんじゃなくて僕に直接言えば良かったのに…」


…おい、そこ!言えないからハミル頼んだんだろ、という目つきをするのはやめなさい。


ちなみにだが屋敷にあるテレポートの魔法陣は一方通行なのでつかえない。


なので馬車となるのだが一泊2日の旅となる。


騒がしい人達がついてくるので休めないだろうな…



王城の三階のテラスでハルシャ公爵家の当主ルークス・ハルシャとシェナード王国の国王レオン・エスぺラードが対面で座っていた。


「それで、ハールーン帝国のことだがお前はどうするつもりなんだ?」


ルークスがそうめんどくさげに聞く。


国王はそんな公爵の態度を気にも止めず優雅に紅茶を置く。


「そうですねぇ、数年間は静観を貫こうかと。何か企みがあるような気がしてなりませんが、この国の戦闘能力を考えると戦争も出来ないし同盟を組むにしてもこちらがだいぶ不利になりますからね。師匠はどう思います?」



「ふん、お前の臆病さにがっかりしてるところよ。先王が聞いたら嘆くだろうな。…だが、お前は臆病ではあるが聡明だ。どんなことを命令されようが呑んでやる。…んじゃ帰っていいか?」


そう言って公爵は席を立とうとする。


「答えになってないと思うのですが…何をそんなに急いでいるのです?」


国王は公爵が急ぐ程の何かがあったのだろうかと考えて首をかしげる。


「孫達がそろそろ帰ってくるんだ。お前の息子も連れてな。」



「そういえばカイ・ハルシャといいましたよね?フィオレーナ嬢に似てとても聡明だとか。彼に公爵位を継がせるのですか?」



「…そう思うか?」



「思う思わないはさておき、順当にいけばそうなるのが普通でしょう。予知眼を含めた例の6つの瞳のうち血筋により受け継がれる瞳は、同世代に一つのみ開花しそれらの眼を所持している者から同じ瞳を受け継ぐ割合は90%…。そして代々公爵家を継いでいるのは予知眼を持つ者、ですからね。だからクレインにもまだ爵位を譲ってなかったのでしょう?」



「いいや?そろそろクレインに譲ろうと思っている。業務の大方はアイツにやらせているしな。そもそもとして伝統なんてものを俺が気にすると本当に思ってるのか?思ってるならお前の眼、相当腐ってるぞ」


公爵の辛辣な言葉に国王は苦笑する。


まったく、この人は何も変わっていない…


そう思いながらも返事をする。


「酷い言われようですね…。ですが、他の貴族の方々から猛反対されると思いますよ。ハルシャ家の予知眼は他国を牽制するうえで必要不可欠ですから。」


国王がそう言うと少し真剣な目付きをして公爵は口を開いた。


「たしかにそうだ。だが、予知眼がなくともこの国はやっていけると俺は判断した。…それと、これだけは覚えておけ。お前に何て言われようとカイがその気じゃないなら俺はアイツを公爵なんかにしやしない。俺の眼が黒い内はな。」


国王は内心、あなたの眼は緑なんですけどね、と思ったが心にとどめる。


「肝に銘じておきます。」



「てなわけで、俺はもう帰るからな。…我が召喚に応えよ、ヴァイアス!」


公爵がそう叫ぶと空中にワイバーンが現れた。


「それじゃあな!」


そう言って王の言葉を待たずにワイバーンに飛び乗った。


公爵はワイバーンの背に乗りながらも独り言のように


「伝統なんてものは俺がぶっ壊してやるから安心してくれ」


と呟くのだった。

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