クラブ決め
只今、寮の談話室のソファーに体を預けながらどのクラブに入るか悩んでいる。
なんでかというとアルバード王立高等学院では必ず入学してから1ヶ月以内にクラブと呼ばれる集まりに加入しなければならないからだ。
なので僕もそろそろ決めようと思っていたのだが、なんせ数が多い。興味のひく所に入るかめんどくさくなさそうな所に入るか、入る義務があるのであれば全国の学生が悩む問題だろう。
「ねぇハルシャ卿、何でそんなに難しそうな顔をしてるの?」
と、シドさんが僕の顔を覗き込んで聞いてくる。
「あっ、俺わかったかも!賞金の50万リビアの使い道を考えてるんだろ?カイ」
「いや、違うけど。それはカールでしょ。」
これから先学院内で稼ぐ予定のお金は全てクランを作るためのお金に当てようと思っている。
ちなみにクランとはBランク以上になるとつくることができる組織のことである。
ライの言うことを全て信じる訳ではないが何がきてもおかしくないように仲間を集めておこうという心づもりだ。
「えっ、ええー!!!なんでそこは名前呼びしてるの??いつから?」
とシドさんが耳元で大きな声を出してきたのでさっと耳を塞ぐ。
「少し前からだよ。…賭けに負けたから仕方ないでしょ。てゆうか本当にあれは卑怯だと思う。」
剣術の授業で賭け試合というものを習った時に見本として先生に選ばれたのだ。その時にカールが賭けたのが名前呼びである。てゆうか授業として賭け試合をすることにとても不満があるのだが…
「でも賭けは賭けだろ?」
「まあそうだね。」
端的に言えばカールとは相性が悪すぎるのだ。剣術のみ使用可能なら尚更だ。大刀をもの凄い勢いで振り回してくる相手には避けるので精一杯だ。
「ボソッ)いいなぁ」
「うん?何か言った?」
「うっ、ううん。ところでハルシャ卿はどこのクラブに所属するの?」
「それを今悩んでいたんだ。」
そう言いながらクラブの一覧表を渡す。
「貴族は大体社交クラブや魔法研究クラブ、狩猟クラブに所属しているよ。ちなみに私は皇太子としての授業があるため特例でクラブには所属していないが、シドとカールは冒険者クラブ、セシルは図書クラブに所属しているよ。」
と言いながら殿下が歩いてきて僕の隣に座った。
「冒険者クラブ?それって何をするクラブなの?」
「冒険者クラブっていうのはお金に困っている生徒が多く在籍していて、休日に魔物狩りをしてお金を稼いでいるんだ。魔物狩りに行けるのは冒険者クラブと狩猟クラブに所属している人達だけで、狩猟クラブに平民が入るのは少し難しいからね。」
あぁ…ここでも平民差別の空気を変えることはなかなか難しいのか。…これはどの世界でも共通のようだ。
「ふーんそうなんだ。あっそういえば、チェスクラブについて何か知ってたりする?」
「チェスクラブっていったら、毎年チェスクラブ主催の大会があるんだよ!希望者同士で対戦して1位になった人は賞金を貰えるみたいなんだ!」
それはいいな。
「賞金は毎年一律で1位が50万リビア、2位30万リビア、3位が10万リビアだったと思うよ。上位3名になった人はチェスクラブの人と戦う権利が貰えて、もし勝つことができたら1位の人は300万リビア、2位の人は100万リビア、3位の人は50万リビア獲得できるんだ。ただし、チェスクラブの人に負ける、もしくは引き分けになれば賞金はなしになる。参加費用が5万リビアと少しお高いけど毎年200人くらいの人が参加するぐらい人気があるんだ。」
「チェスクラブって何人ぐらい所属してるか分かる?」
「おおよそ20人ってとこかな。」
多いのか少ないのかあまりよく分からないな…
「なるほど……チェスクラブが勝った場合収入は1000万リビア。平等に配分されると仮定すると÷20をして一人当たり50万か…
それなら個人で1位をとってチェスクラブの人を倒した方が圧倒的に儲かるな。ふむふむ…
…そこの2人にも聞きたいんだけど、冒険者クラブって義務とかあったりする?」
「基本はないよ。でも、学院所有のダンジョンに入る時は必ず冒険者クラブか狩猟クラブ所属の3名以上のパーティーで行かないといけないんだ。でも、近くの森とか草原なら授業がなければいつでも自由に学園を出て行ってもOKだよ!」
「とてつもなく好条件だね。それ以上のクラブはなさそうだし冒険者クラブにするよ。」
そう言って紙に“冒険者クラブ”と書き署名した。
その瞬間紙が紙飛行機の形になりかなりの速度で飛んでいった。
「すごいね。さすが王国の誇る学院だ。」
そう言って紙飛行機の行方を目で追うのだった。




