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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~新たな出会い~

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ピンチとチャンスは紙一重

「来たか。取り敢えずそっちに座ってくれ」


そう言ってマルファ先生は眼で椅子を示する。


「今朝セルファ・グレイシスから決闘の申し込みがあった。何か心当たりは?」


セルファ・グレイシス。たしかクローズもとおい小太り君の取り巻きだった気がする。虐めの現場にいたもんな…


「ありますよ、心当たり。てゆうか、彼決闘の意味が分かっている上で申し込んでいるんですか?」


決闘とは家紋の名誉をかけて行うもので成人同士の決闘では死ぬまで行う場合もあるぐらいだ。


「…さあ?だがここは学院。死を決すような戦いは認められない。武力ではなく学力で勝負してもらう。」


…もちろん知っている。まさかもう校則の知識が役に立つとは思わなかった。


「それでは僕がかなり不利になるかと。3年も歳が離れているのに学力で勝負とはさすがに…」



「もちろんお前には拒否権がある。不利だと思うのならば拒否すればいい。」


確かにそうだが、拒否権を使えばこちらに非が無かったとしてもハルシャ家の名を傷つけてしまうだろう。


たしか内容は教師がくじ引きをして決めるはずだ。


「内容はなんですか?」


「内容の前にルールを説明しておく。基本的には3回勝負をして2回勝った方の勝ちとなることを覚えていればいい。1回目は国史2回目は召喚術理論学、3回目は魔方陣理論学だ。どれも基礎レベルから卒業試験レベルの問題を幅広くだすつもりでいる。」


なるほど。じゃあ満点を取ることはほぼない、か。


相手は3年もここで学んでいる。容易に勝てる相手ではないだろう。


しかも召喚術理論学は危ないため学院の中でのみ教えることが許されている学問だ。まぁたまに独学で学ぶやつもいるが…


ともかく僕はまだ召喚術理論学というものを学んだことがない。本も売られていないためノータッチのままこの学院に来た。


そしてまだ授業を1回も受けていない。つまりは0点を取る可能性がすごく高い。


だが、召喚術理論学で落としたとしても国史と魔方陣理論学で相手の得点よりも上になれば僕の勝ち。


国史は大体覚えているし魔方陣理論学とは前世で言うところの数学だ。

数学は僕の数少ない特技と言っても過言ではない。

高校までの範囲しか知らないがそこまでで事足りるだろう。


つまりは相手が国史と魔方陣理論学で満点を取らなければ勝利は確定的である。


そして、このテストで満点を取るのは難しいときた。


つまりは僕の勝ちだ。


「その決闘、受けましょう。」



「いいんだな?それじゃあ午後6時に10番教室へ来い。1秒でも遅れれば棄権と見なす。」



「分かりました。」


そう言って僕は部屋から出た。





午後6時まで後7時間。その間に僕がすることは決まっている。


「今日の午後6時にアクアマリン寮の謎の転入生カイ・ハルシャとタンザナイト寮の秀才セルファ・グレイシスが決闘をするらしいよ!!どちらかが勝つかかけてみませんか?

最小で1000リビアからかけれます!

“1”は3:0でグレイシス卿の勝ち、“2”は2:1でグレイシス卿の勝ち、“3”は1:2でハルシャ卿の勝ち、“4”は0:3でハルシャ卿勝ちという感じになっていまーす!!あっ、そこのカッコいいお兄さんどうですか?」


「おっ、俺のこと?」



「もちろんです!」



「どうしようか…。たしかハルシャ卿よりもグレイシス卿の方が3つも歳上だしな…。それじゃあ“1”に20万リビアかけるよ」



「あっ、じゃあ俺も俺も!!俺はコイツよりもケチじゃないからな、50万リビアだ!」


さすが貴族。桁が違う。いい鴨だ


「ありがとうございます!」


と言い、人のよい笑みを浮かべる。ちなみに今の僕は子爵程度が着そうな服を着ており顔は仮面で隠れているため誰だかはわからないだろう。それに声もいつもと違い明るい感じに変えているのでそうそう気づかない…はずだ。てか気づかないでくれ


そう思いながら僕は商売を続けるのだった。





















午後6時


「それではセルファ・グレイシス対カイ・ハルシャの決闘を始める。用意はいいな?制限時間は15分だ。よーい始め!」



国史


問1 シェナード王国最初の国王の名前を答えよ


問2 現存する4つの公爵家の当主の名前及び特徴を

    答えよ

           ・

           ・

           ・


問10 ハールーン帝国と結んだ4回目の条約の名前

   と場所、内容を答えよ。


※1問10点で部分点は無しとする



問8から異常に難しくなっている。特に最後の問題は卒業試験ですらも訊かれないようなマニアックな問題だ。

だが、僕はハールーン帝国生まれである。お飾りではあったが歴史書なら家にたくさん置いてあった。

そのためシェナード王国の国史は同学年には負けないレベルかもしれないが、ハールーン帝国が関わっていれば“完璧”といっても過言ではないくらいのレベルだと自負している。


「終わりだ。ペンを置け。採点する。」


そう言って数分ほど採点の時間がとられた。


「セルファ・グレイシス80点、カイ・ハルシャ100点。よって一回目の勝者はカイ・ハルシャとなる。」



「そっ、そんな!何かの間違いで「私語は慎め。それでは召喚術理論学のテストを始める。」」



「っ…」


グレイシス卿は焦ったような顔をした。そらそうだろう。僕に負けるなんてはなから思ってなかったんだから…
















「セルファ・グレイシス70点、カイ・ハルシャ20点。よって2回目の勝者はセルファ・グレイシスとなる。それでは魔方陣理論学のテストを始める。」


てかよく2問も取れたと思うよ、ほんと…


次は数学か。楽しまないとな



問1 21×45を求めよ


問2  中心(5.6)を通り半径16の円を数式で表せ


           ・

           ・

           ・


問10 図の面積を答えよ


ちなみに問10の図は裏面にあった。ここでは略式させてもらう。


まあ最後のもただの微分積分なので理系の高校生なら余裕だろう。


頭で全て暗算して時間のほとんどを暇をして過ごす。隣から殺気が送られてくるが気にしないことにした。





「セルファ・グレイシス80点、カイ・ハルシャ100点。よってこの決闘はカイ・ハルシャの勝利とする。また、校則37条より決闘を申し込みかつ負けたセルファ・グレイシスに毎月10万リビアをカイ・ハルシャへ支払うことを命じる。また、支払いが滞るような場合は即刻退学処分とし退学後3年以内に100万リビアを払わなければ奴隷落ちとする。」



厳しすぎると思った人もいるのではないだろうか?


しかし、そんなこともない。決闘を申し込むのにそれ相応のリスクがなければ決闘だらけになって能力の偏った生徒が集中攻撃されることになるだろう。


(学院限定だが)決闘を申し込まれた者が負けても家紋に傷がついたり謝罪を強要されるぐらいで、その上平民から決闘の申し込みは出来ないため、借金まみれになるというような残酷なことはめったに起きない。


まあともかく、僕にとって重要なことはこれから毎月お金が入ってくることとギャンブル事業が思った通り儲かったということのみである。


話したこともほとんどない人間の今後などどうでもいい。


そう思って薄ら笑いを浮かべながら頭では忙しなく算盤をはじいた。

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