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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~新たな出会い~

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氷の天使

数日後、僕らはお互いがどのくらい強いかを知るために練習場をかしきって集まっていた。


「それじゃあ私からいこう。」


そう言って殿下は高価そうな杖を持ち、的を見つめた。


「全てを切り裂け、ウィンドカッター!」


すると、的が粉々になって的の後ろの壁に当たった。威力は申し分ないどころか年齢を考えれば大勢の人から称賛されるだろう。だが…


「たしかに威力は凄いけど、素早い魔物相手に使うには少し難しいと思う。狙いを定めている間にやられてしまう。」


まあそこまでスピードに特化した魔物がいるとは思わないが、言うことが思いつかないので仕方がない。


「…そうか。一番得意な魔法なんだけどね。それじゃあハルシャ卿も何か見せてくれ」


…あっ、やっぱり?めんどくさいからなんとか逃れられないかなと思ってはいたがやはり無理らしい。


「わかった。僕のは実際に戦った方がわかりやすいから、、シドさん、相手を頼める?」


そう言って短剣を持つ。もちろん刃は潰れているので大怪我をする心配はない。


「アタシでいいの?」


そう言いながらも防刃手袋を着けてやる気満々だ。赤い髪が好戦的な性格をより一層引き立てる。


「ああ、もちろん。強さでいったら僕の方が劣るだろうし…」


そう言って練習場の真ん中に行く


「ルールは急所に寸止めか降参といったら負けにしようか。殿下、審判は頼んだよ」


そう言って印がついている所まで歩いていく。


「任せてくれ。…それじゃあよーい始め!」


先ずは相手の出方を窺う。向こうも同じでなにもしてこない。

このままでは埒が明かないのでこちらから仕掛けることにする。


まず始めに少し大げさに剣を振り隙を与える。

これは、まだ僕の剣術の腕を見せていないからできることである。


思った通り、相手は避けた後にがら空きだった脇腹に拳をいれようとした。

その腕を掴んで地面を蹴り相手の頭上を通って死角に入り振り向き様に蹴ろうとしたが避けられてしまう。


その上鋭い拳が僕の体を貫こうとするため、持ち前の反射神経でギリギリではあるが避けていく。


おそらく彼女の身体能力はCランク相当のものなのだろうなと思いながら拳を捌く。


無論、Cランクの冒険者になるには身体能力だけでなく知力や判断力、そして経験がいるので簡単な話じゃない。


振り下ろされる拳は当たりこそしないが隙がなく攻撃が出来ない。


普通の人間ならば純粋な体力勝負となるだろう。


だが僕の場合は少し違いそうはならない。なぜなら僕には魔法があるからだ。


資料によるとシドさんは身体能力強化の魔法しか実践では使えないはずである。僕が無詠唱という利点を生かして戦えば少しぐらい有利になるはずだ。


シドさんと少し距離をとり彼女の周りにたくさんの手のひらサイズの水球を作り当てていく



この水球を1つ作るのに魔力を10使う。僕の魔力は1800だから180個。一気に作れる数は10個だけ。長期戦になるとマズイ。


「無詠唱?!!でも、こんなのアタシには効かないよ!」


だが、水球を操りながらも僕がナイフ(木製)を的確に投げつけるので、シドさんはどちらかしか捌けないだろう。


案の定彼女は僕のナイフを避けた。そして避けた瞬間に僕の水球が顔に当る。


そう、この時を待っていた。人は水を被ると一瞬ではあるが眼を閉じてしまう。


それは異世界であっても変わらない不変の事実。


その一瞬の隙に背後にまわって短剣を首に突きつけた。


「参った……まさかこんな風に戦う人がいるなんて思ってもみなかったよ。」


そう言いながらも笑顔を浮かべて握手を求めてきたのでそれに応える。


「仮にもハルシャ家の血を受け継いでいるからね。普通の人よりかは戦闘で頭がまわるようになってるんだよ。」


まあハルシャ家は多分関係ないのだが…


「たしかにハルシャ卿の無詠唱は強いですけど、私には効きませんよ」


そう言いながら僕の元に歩いてきたのはフローレス壌だった。


練習場に着く前に彼女と会い、一緒に行きたいと言うので連れてきたのだ。


「それはどうして?」


「ハルシャ卿、もう一度水球を出してもらえますか?」


言われた通り水球を1つだす。


「私にはこれがありますので…」


そう言って杖を地面にカツッと1回つくとみるみるうちに水が氷に変わっていった。


さては僕の魔法を乗っ取ったな…


「これは凄い…さすが“氷の天使”と呼ばれるだけある。」


“氷の天使”とはフローレス壌の異名である。この国では自分が12歳になる年の新年に祝福を受ける。

フローレス壌は普通の人が数10年かけて学ぶ魔法理論をおよそ3ヶ月でマスターし、他人の魔法を乗っ取り自身で操るという上級魔法を“氷”というより難しい属性で実行した。

魔法に関してはこの学院の生徒の誰よりも上手く扱えるだろう。


「やめてください、、その名前は少し恥ずかしいんです…」


そう言い顔を赤らめて下を向いた彼女はとても美しく天使と言っても過言ではなかった。だからあんな異名がついたのだろう…


「それじゃあ次は」


殿下がそう言葉を続けようとしたその時、突然雨が降ってきた。


「まじか!はやく中に入ろうぜ!!」


という一言でみな我に返り急いで室内戻るのだった。

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