禍福は糾える縄の如し
「ユウリ、手元に1つ以上ある薬草を探すときはルーンに手伝ってもらいな。きっと役に立つ。…それじゃあエレンは僕についてきて。みんなはまた夕方に会おう」
そう言ってエレンと2人で盗賊のアジトまで歩く。
「なんで俺を使命したんだ?」
「あの中で一番強くて耳がいいからね。そのオオカミみたいな耳は飾り物じゃないんでしょ?」
と言って指て指し示す。
「当たり前だ!聴覚は人間よりも4倍はいい。」
そう言ってエレンはふふんと胸を張る。
「それじゃあ職業はシーフ的なものにしたの?」
これぐらいの詮索はいいだろう。
「……いや、、えっ~と、、そうだな、うん。シーフだ。」
絶対嘘じゃん…
「嘘つくの下手だね。言いたくないなら言わなくていいよ。別にそんなに知りたい訳じゃないし。」
「いや、別に言いたくないわけじゃないんだが、言いにくいんだ。」
言いにくい?
「そんなにマイナーなの?」
「マイナー…っていうか、こんな職業の人を見たことないっていうか…」
「一回言ってみなよ。」
「笑うなよ?」
「善処するよ。」
「実は、、その、、、蛮族、、なんだ」
??聞き間違えか?蛮族って聞こえたんだか...
「それって職業なの?」
「真面目に返すなよ!俺だって好きでこの職業にしたんじゃないからな!!押し間違えたんだ!本当は戦士にしようと思ってたんだ。」
押し間違える人いたんだ…
「押し間違えたのは仕方ないとして、そもそもなんで蛮族なんていう職業を選べたのか不思議でならないね。」
「それは、、父さんが旅商人だったから僕もお金を稼ぎたくてダンスの練習をしてたんだ。ユウリに人前でやったら笑い者になるだけだからやめた方がいいって言われる程だったからあれが原因じゃないかって思ってるけど…」
それは酷い…神のイタズラがすぎる…
「ダンスが壊滅的に下手ということはわかったけど、さすがにそれで決まるかな…」
そう言った時、洞窟から誰かが出てきた。
「おい、あれって」
「…ああ、アイツがボスだろうね。」
2人の目線の先にいたのは大きな斧を持った男だった。
気配も何も感じない。アイツと戦ったら恐らく僕ら2人とも五体満足では帰れない、そう悟らざるをえなかった。
冒険者ランクでいうとCランクはありそうだ。
恐らく用をたすために出てきたのだろう。
洞窟の中には10人程人がいる。今戦うのは悪手だ。とゆうか自殺行為だ。
そう、思いエレンに逃げようと声をかけようとしたその時だった。
「よう、ガキども。よくも俺の子分を殺してくれたな!」
なんで、、僕達の後ろにいるんだ…
そう思うも虚しくドガッという音と共に後ろに吹き飛ばされた。
口から血は出ていないので臓器はやられていないだろうが肋骨は数本やられてそうな痛さだ。
どうする、僕には何ができる?アイツは僕をイジメた奴らと同じ眼をしている。完全に僕達のことをなめきっていて補食するものとして見ている、そんな目だ。
一度精神的に揺さぶってみるか…
そう思い行動に移そうとしたその時だった。
「お前だな?俺の弟に、、父さんに、、友達に、、酷いことをしたのは…許さねぇ、絶対に許さねぇ!!!!」
怒鳴るエレンの眼は紫色から金色に変わったと思ったら、金色のオーラを全身に纏い狂気的な笑みを浮かべて目の前の男に眼にも止まらぬスピードで襲いかかった。
カキンと2つの刃が交差する。
目の前の男は明らかにエレンに怯えていた。勝負がつくのも時間の問題だろう。
だが、突然手に入る強大な力は何らかの犠牲を伴うことが多い。
とゆうかそもそもエレンの体がついていけてない。
そう思っている内にエレンの刃が男の首を切り落とした。
クルっとこちらを振り返って少しホッとしたような顔をしたと思ったらバタッと倒れて動かなくなった。
「お疲れ様、…でもここで気絶するのはやめて欲しかったかな」
他の盗賊が来る前にここを立ち去る必要がある。腰につけている魔法鞄に男の首を入れてエレンを背負いながら歩く。
人間の限界は未知数であることの証明をしてしまったようだ。
肋骨の辺りが死ぬほど痛いが車に轢かれた時よりかは全然ましだと思い直して野営の場所に足を進めた。




