表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/276

初めての友達

もう、夕方か…



帰らないと。まあ、誰も心配してないんだろうけど。



僕は東にある家にむかって屋台街を通っていた。



途中、人だかりができていたので少しだけ覗いてみることにした。


人だかりの中心にいたの串焼き屋のおじさんとコウだった。


「やっと見つけたぞ!こんのクソガキが!何度盗めばいいんだ!」



「だからオレちゃうって!アイツらがやったっていってるやろ!」



「この街で眼が赤いのはお前だけだろうが!」



そこまで聞いていろいろと察したので助けに入ることにした。



「どうしたの?串焼きのおじさん。何かあった?」


コウを知らないふりをして何があった当事者の口から聞き出すためにおじさんに話しかけた。



「うん?おお、坊主。こいつがウチの商品を盗んでな。」


盗んだ?コウはそういうことはしない主義だったと思うんだけど…


「ふーん。いつ盗まれたの?」



「いっつも夕方の忙しいときだな。」



ちょうど僕とコウが別れた後ぐらいか…

それに1度だけじゃないのか…


「顔も見たの?」



「いや?顔は布で隠れていたから見えたのは赤い瞳と黒い髪ぐらいだ」


赤い瞳か…たしかあの人が盗まれたって言っていた薬品は瞳の色を変える効果があるんだっけ?


そう思いながら周囲をサッと見る。


「ふーん。でもその人犯人じゃないよ。」


少し口角をあげてそう告げた。


「どういうことだ?」



「ちょっと待ってて。」



そして僕はとある人達に近づいた。



「やあ。久しぶりだね、犯人さん。」



すると青年達の顔がみるみるまに赤くなっていった。



「はぁ!俺たちは何があったのか確認するためにここに来ただけで関係ねぇよ。なぁ、お前ら」



「そうだ、そうだ!罪を押し付けんじゃねぇ!」



「自分のことを棚にあげてよくそんな事言えるね?」



「証拠はねぇだろうか!!それに赤い眼はどう説明すんだよ!」



「はぁ、自首する気がなさそうだから説明してあげるよ。まず君たちはフォード商店の倉庫にこっそり入った。そして眼の色を変える薬品を盗んだ。あれは、染料を入れればどんな色にも変えれるからね。これで赤眼だった謎は解けた。そして、「なんでガキがそんなこと知ってんだよ!」最後まで聞いてから反論してくれる?」


そう言ってキッと彼らを睨んでから言葉を続けた。


「実は僕の父親はフォード商店の最高責任者で、最近大事な商品を盗まれたって怒っていてね。詳しく聞くと、それは貴族達に売りさばく魔法薬で眼の色を変える効果があるらしい。」



「でも、俺たちがやったって証拠はどこにあんだよ!」


犯人が聞くことは知れてるな。


「その服だよ。端っこの方少し赤いよね?それはこの辺に咲いているタールの花から取った染料だ。タールの花は贈り物に向かないから、その辺に咲いてるのを取る時は染料として使うときだけなんだ。それにタールの染料は水にあてると少し光るんだ。こんなふうにね。」



そして僕は懐にあった竹筒の中の水を彼らにぶっかけた。



「なにしやがる!くっそ!こ、これはたまたまタールの花がくっついて取ろうとした時についちまったものだ!」


自分から白状するなんてバカな奴らだ。赤色だけじゃタールの花の染料なんて分かんないのにね。


そんな思いを一切顔に出さず淡々と話す。


「見苦しいね。おおかた、昔コウが僕に対してのカツアゲを咎めたのを根に持ったんだろうけど。わざわざ僕達を尾行してコウのアリバイがない時を狙ってこんなことをするなんて、ほんと卑怯くさい。言い逃れしても無駄だよ。使用人が盗人の顔を見たらしいんだ。…ああちょうどいいところに、、衛兵さん後はよろしくね。」


自分も卑怯臭いことをやったのを棚にあげて何を言うんだとは言わないでほしい。


「ああ、坊主ありがとな。おいお前らおとなしくしろ!」


孤児達が次々と捕まるのを尻目にコウに近づく。



「ふん、悪かったな兄ちゃん。迷惑料としてこれ持っててくんねぇか?」


その割にはめちゃめちゃ嫌そうな顔をしてやがる。少しは隠せよ


「まあ、悪いのはアイツらやから気にせんとって。貰えるもんは貰っとくけど。あ、カイもありがとうな。」


コウも慣れているのか適当に返事をする。


「いいよ。僕達友達でしょ(照)」



「ふっ、そうやな!!俺たちは友達や!」



「じゃあまた明日。」



「おう!気をつけて帰りや!」


笑いながら手を振る僕の心は少しあたたかかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ