不穏な視線
そして僕はそれから毎日丘に登って、少しずつコウに文字を教え始めた。
コウは記憶力が抜群で見たものは全て覚えてしまったので文字だけじゃなく四則演算なども教えることになった。
そして時は過ぎ12歳になる2週間前になった
そういえば朝から父親の機嫌が悪くて殴られた。
なんでも、大事な商品が盗まれたんだと。
…………。て、僕関係ないじゃん。
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「ずっと思ってたんだけど、コウって商人にでもなりたいの?」
そう聞くと不思議そうに首をかしげられた。
「え、違うけど、なんで?」
「この国では商人と富裕層以外で文字を学びたいって思ってる人はほとんど商人志望だから。」
「たしかにそうやけど、俺は冒険者になりたいねん。冒険者になったら身分証も発行できるし舐められへんやろ?文字を学べば赤い眼が悪魔の象徴やないって書かれてある本をいつか読めるしな」
ん?今聞き捨てならないことが聞こえた気がする。
「えっ…コウも冒険者になりたいの?」
「「も」ってことはカイもか!」
少し嬉しそうなコウの声が空に舞う。
「うん。くそったれな家から出ていくためにね。」
「そうなんか。でも、なんで冒険者なんや?カイは賢いから商人でもやっていけると思うけど。」
「嫌だよ、商人なんか。ただたんに金稼ぐだけとかつまらないでしょ。僕はこの世界を見てまわりたいんだ。ま、それなら旅商人になればいい話なんだけどね。」
それに元手もいるしね。
「なるほどな、自分は頭いいから金稼ぐんは楽勝でおもろないと。」
「よくわかったね…。わからないように言ったつもりなんだけど。」
「ゆうて長い付き合いやからな。カイの考えてることはちょっとくらいならわかるで。」
「さすがだね。じゃ今日はこれでおしまい。」
そう言って本をパタンと閉じる
「おお!ありがとうな。そんじゃまたな!」
そう言って笑いながら手を振り去っていくコウの背中に呼び掛ける。
「今日は嫌な予感がするから君も気をつけてね。」
コウ「ああ」
それにしても最近視線をやたらと感じる気がする。
気のせいだといいのだが…。
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