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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
カイの過去

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他視点

その後


どうしてだよ、何でこんなことになっているんだ!そう思ったのは山村(がく)19才。数年前に殺人事件を起こして少年院に入れられた男達の一人で今日、少年院を出る予定だった。


だがしかし、この男の前には大量の記者と野次馬がいた。


「山村楽さん!五十嵐海さんへの虐めは本当にあったんですか?!一声お願いします!」


「五十嵐さんが残したと思われる紙に書かれてあったことは本当ですか?」


「お前がやったんだろ!!日本の恥め!」


「あなたがやったことは本当に最低よ!恥を知りなさい!」


などなど、全て拾い上げるのが困難な程に聞こえてくる。彼の死から2年たった現在でも、×××県中にばらまかれた紙の出所やSNS等の乗っ取りの犯人も謎に包まれたままである。そのため、そこで晒された彼らの住所や電話番号を頼りに記者や特定厨達が動き出したのだ。


しかし、その時、彼の踏んでいる地面がパーっと光った。そして、次に記者達が目を開けた瞬間には彼の存在はどこにもなかった。











































「速報です。先ほど急に地面が光りその上にいた人が消える事件がおきました。警察によりますと同じ時間に3人の人間が消えたそうです。また、その3人は5年前に起きた殺人事件の加害者であることが分かりました。何かしらの因果関係が…」




レイ視点


少し前、創造主ノア様から仕事を任された。その仕事は未来の殺人鬼と接触し吟味した上で必要とあれば1年以内に消滅させよというものだった。


詳しく言うと、地球という惑星で10年後,歴史上1人の人間が最も多く殺意を持って特定の人を殺した、と言われる最悪な事件がおきるらしい。


犯人は警察に証拠1つ見つけさせずに過去に関わった人間を順番に殺していくため、恐怖の追跡者(チェイサー)と呼ばれ世間から恐れられていた。


察している人も多いと思うが、この殺人鬼はカイのことだ。何でも、小学校の同級生から高校の同級生、それらの教師、そして自分の親族を皆殺しにしていったらしい。


初めこの仕事を任されたとき、俺はカイのことを悪魔だと考えた。たまにいるのだ、人間界に降りて悪いことをする悪魔が。


しかし、初めてカイに会ったときに、その考えは違っていたことに気づいた。彼は死んだ魚のような目をしていて、幸せなんて感じたことなんてない、と言わんばかりのオーラを漂わせていた。


悪魔はいつも虐められる側ではなく虐める側なのだ。


それも演技なのかと思って探るために実際に話してみると、『悪魔でない』ことがしみじみと感じられた。


創造主様に頼んで、1年の猶予を少し伸ばしてもらったのはいいが話せば話すほど、彼のことを気に入ってしまった。


神としての位はほとんどの者が俺より下だったため、親しい友人なんてものがあまり出来なかったのが原因だろう。


カイは本当に賢い。神である俺に頭脳戦で勝つ人間なんて彼以外存在しないだろう。


しかし、このままいくと本当に彼を消滅させなければいけなくなる。俺が気に入った人間だ。死なせたくない。そう思った。


でも、歳を重ねるごとに彼の家庭環境は悪くなり俺との距離も遠くなっていった。


ずっと一緒にいて支えたかったが、神法で「人間界に行けるのは連続7年まで」と決まっていたためその願いは叶わなかった。


なんなら最後まで粘っていたため、運命の神が勝手に俺の肉体の運命を変えやがって虐めっ子とやらに殺されてしまった。まあ、痛みは感じないからいいが…


その後は、もうお察しの通りだ。


彼を俺の造った惑星に転生させて違う人生を歩ませようと思った。そして、奴らに俺が復讐するために、ちょうど召喚しようと試みるアホもいたため、俺が強い権限を持てるカイと同じ惑星に召喚させた。


さて、ここからは見物だ。ただの凡人が天才に勝てるわけがない。全部終わらせてからカイがこっちに来たときには思う存分話をしたい。

…まあでも、彼を消滅させるために喋りかけたとは口が裂けても言えないけどな


そんなことを言えば彼はもう俺とは口をきいてくれなくなる


それは絶対に避けなければな


そう思いながらも、いつか来るそれを言わなければならない日にぶるぶると体を震わせた。


実質No.2の神がたった1人の人間のためにここまで動いたことは後にも先にもこれだけである。


そして、レイの周りに飛んでいたたくさんの青い蝶がカイのいる惑星に吸い込まれるように消えていった。


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