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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~這い寄る魔の手~

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卒業試験1日目~用意周到~

「まさか睡眠薬を使って眠らせるとは。面倒くさいことしてくれたね…」


そう言って僕が手に持っていた液体を4人に飲ませたその瞬間、4人の目がバチッと開いた。


「おぇえええええ…おい!カイ、俺たちに何飲ませた!」


「ルディー作の激マズ回復薬。飲むとなぜかHPが減るやつだね。」


「…それ、回復薬じゃなくて毒薬の間違いだろ…ってルディー、大丈夫か?製作者が吐くなよ!」


「ちなみにリーダーはリタイアしたからもういないよ。」


「はあ?リタイアした?どういうことだ?」


「リタイアに理由が必要かな?」


「いや、必要だろ。リーダーがリタイアなんて納得できない。」


説明するの面倒くさいな…テキトウに誤魔化してもいいんだけどそれじゃあ納得しないか…


「1から10まで説明する気はないけど、説明責任として2ぐらいまでは説明してあげる。この試験には2つの陣営があるんだ。生徒側と教師側ね。で、結論から言うとリーダーは教師側のスパイだったんだ。だから君たちを眠らせた。それを見たから僕がリーダーを気絶させてリタイア扱いにしたってこと。分かった?これ以上はちょっと面倒くさいから話さない。」


僕の話に証拠など一切ないし、証明できるものも一切ないのだから、これほど面倒くさいものもないだろう。向こう視点だとどっちが正しいかなんてわからないのだから。


「スパイは何人いるんだ?」


「先生が言うには一人だけらしいよ。」


そう言って僕は狼煙をあげた。そして、今度こそ拠点に帰るために足を動かしたのだった。


***********


「カーイ!お前、どこで道草食ってたんだ?」


「いや、狼煙上げたところまではよかったんだけど、どこから来たのか分からなくなってしまって。」


非常に見苦しい言い訳である。


「あれ、リーダーは?」


「リーダーは僕に代わって黒幕見つけてくるって言ってた。」


僕がそう言うと四人がぎょっとしたような顔をして僕の方を見た。


いいじゃん…少しぐらいウソついたって…


「そっちはどんな感じ?」


「ああ、今制作班が頑張ってポーション作ってるとこ。」


「あれ、足りてないの?」


「リーダーがもしもの時用にって結構持ってたからな。」


なるほどね。よく考えられてる。これで戦況を苦しくさせるっていう寸法か…。


「石像は今三人が守ってくれているんだよね?」


「そうよ。ただ、夜で敵が見えなくなる20時の襲撃はもう少し数を増やした方がいいかも。」


「なら、そこ5人にするから僕はリーダーの代わりに前線に行くよ。20時の襲撃が終わったら、僕とフローレス嬢はリーダーと合流して黒幕を打ち取りに行くから、その後は皆で何とかしてね。」


「分かったわ。何とかする。」


会話終え僕はドサッと地面に座った。本当は黒幕を一人で倒すつもりだったけど、それが無理なことに気づいてしまったため、急遽アイリスを呼ぶことになったのだ。


ふぅ…とため息を吐いて空を見上げると、文句のつけようがないくらい綺麗な青色の空が漂っていた。卒業試験が始まる前はあんなに嫌な予感がしていたのに、すべて勘違いだと言われているようだった。結局夢の内容は思い出せなかったし、何も起こりそうにないし、いっそのこと寝てしまおうか…

一度寝たら起きられそうにないから寝ないけど。20時にアイリスを連れて出ていってから寝る暇なんて一切ないだろうから貫徹は確定である。


まったく、もう少しワークライフバランスというものを考えてほしいものだ。そもそも15人しかいないのがおかしい。兄さんに影響を受けて留学に行った人を含めたらもっといるだろ。その分の損害を補填してほしい、ただちに。そしたら僕はここで石像をのらりくらりと守るだけで済んだのに。


僕はそんな不平不満を心の中でこぼしながらまぶたを閉じた。



ドスッ、ドスッと足を踏み入れるごとに地面が揺れた。辺りは腐った匂いで満たされていたがそれを疑問に思う人はいなかった。なぜなら全員死んでいたからだ。


昼間であるにもかかわらず誰も気づかなかったのは、そこが山奥だからだろう。


「あ”あ”、そろそろです。楽しい宴は始まるまでが待ち遠しい。後悔なさい、創造神ノア。この私があなたの計画をめちゃくちゃにしてあげます。」


そう言ってクツクツと笑う一つの影は、手に持っていた人間の首をぐしゃりと握りつぶした。辺りには人間だったものがいくつもいくつも落ちてあった。


「人間を殺すのにもそろそろ飽きました。次は死ぬギリギリをせめてみましょうか…」


不気味なほど整った顔に愉悦が広がった。この男を止めるものは誰もいない。


その代わり一つ、また一つと死体が増えていった。


自分が世界の理だと言わんばかりに、命を操るこの男が何者なのか、誰も知らないし、知る由もなかった。

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