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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~這い寄る魔の手~

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卒業試験1日目~カイ捜索隊~

次から次へと押し寄せてくる敵にアイリスは眉をひそめた。このままいけば魔力回復ポーションが3日もたないことは分かりきっていた。


カイくんがいてくれたら、もう少し余裕ができたのに…とアイリスは思ったが、本人がいない今どうしようもなかった。


『アイリス、頼んだよ。()()()()()()()()()()石像のそばを離れないで。』


アイリスは、カイが去り際にそっと呟いた言葉を脳で何度も再生した。その言葉といたずらをする前の子どものような笑みは、カイが戻ってこないのは非常事態が起きたからではなく、カイによって計画させれたことだと裏付けていた。


カイが危惧していることが何なのか、それを知っているものは14人のメンバーの中で2人いた。


「アイリスちゃん、ちょっとちょっと…」


そう言って手招きしてアイリスを呼ぶのはルーことルディアという伯爵家の令嬢だった。アイリスは敵に魔法を放ちながらルディアに近寄った。


「何かありましたか?」


「あそこの青い鳥ってカイくんの召喚獣じゃないかしら?」


ルディアが指を指した方には物凄い勢いで青い羽をはためかせて飛んでくる一羽の鳥がいた。その鳥は口に咥えていた青い紐をアイリスの元へ落とした直後、跡形もなく消えていった。


「青い紐ということは…作戦通りということですか…」


「そうみたいね。ひとまずケガとかがなさそうで安心したわ。アイリスちゃん、よかったわね。」


そう言ってルディアは意味ありげに微笑んだ。


「なっ、なにがですか!」


「あら、あなたたち、付き合っていないの?てっきり付き合っているのだとばかり思っていたわ。」


「付き合ってませんよ!そもそも、ハルシャ卿は女の子に興味ありませんからっ…」


少し顔を赤くしながら早口で否定するアイリスにルディアは首をかしげた。


「そうかしら?そうは思わないけれど…」


「それに、ハルシャ卿は公爵家です。婚約者を本人の意志で決めることはできませんよ。」


「あら、そんなに否定しなくてもいいのに。ほんと可愛いんだから、アイリスちゃんは。」


「なっ、からかわないでくださいよ!」


「ふふっ、こうみると本当に年相応の女の子ね。」


「ルディア様には私は一体どう見えているんです?」


「ものすごく賢くて優しい天使のようなお嬢様といったところかしら。」


「ルディア様!」


からかわないでと言わんばかりにキッと見つめるアイリスにルディアは少し微笑んだ。


「ほら、第二次が来たわ。倒すわよ。」


そう言ってルディアは持ち場に戻った。それを見たアイリスは内心モヤモヤしながらも自分の仕事にとりかかった。


*****

15時の襲撃が収まった後、カイについて話し合われていた。


「今から、俺を含め数人でハルシャ卿を探しに行こうと思っている。ロンド、そしてルディーには来てほしいと思ってる。」


「三人じゃ難しいんじゃないか?お前は前衛でロンドが後衛だとしても、ルディーは錬金術師だから戦えない。もしハルシャ卿が骨折でもして歩けない状態だったらかなりまずいだろ。それに、ハルシャ卿でさえもてこずった何かがいるかもしれないんだ。5人以上で行くべきだ。」


1人がそう言うと皆、頷きだした。その様子をアイリスとルディアはじっと観察しながら同調した。


「そじゃあディアンとハンス、お前たち二人も来てくれるか?」


「ああ、任せな。」


「構わないぞ。」


「それじゃあ準備をして五分後に探しに行こう。」


ラシード卿の言葉にカイ捜索隊は動き出した。


「カイが倒せなかった魔物もしくは人がいる可能性が高いから、魔力回復ポーションや爆弾を持っていってもいいか?残るものには申し訳ないが、、」


「次の襲撃前に帰ってくるなら大丈夫だ。作れるものは作っておく。」


「ありがとう、リーリス。」


「気をつけろよ、アデル。あのハルシャ卿が行方不明なんだ。何が待ち受けているかは分からないぞ。」


「分かってる。5人もいるからといって油断はしない。」


「…それならいいが。にしてもあのハルシャ卿がなぁ…」


「なにかしらトラブルがあったのは確かだろうが、どっかよそ見して遅くなってる可能性もあるからそんな心配するな。」


「よそ見?ハルシャ卿が?」


「ああ。アリの行列を観察していたからとい理由で作戦会議に1時間遅刻したこともあるし、会議室でなぜか絵を描き出したと思ったら3時間話しかけても応答してくれなくなったりと、前科あるからな。」


「絵はともかく、アリは絶対違うだろ。」


「いや、俺も最初は苦しまぎれの言い訳だと思ってたんだが、目撃者が多数いてな。」


そう言って遠い目をするアデルにリーリスは苦労してきたんだなと思って、ポンと肩に手をおいた。


「ということで、ハルシャ卿がよそ見してる可能性が結構高い。だから回収するだけですむかもしれない。」


「それならいいんだが…」


リーリスのそんな呟きにアデルは少しだけ頷いたのだった。

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