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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~這い寄る魔の手~

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卒業試験1日目~爆弾~

時間の流れというのははやいもの。あっという間に試験の日になった。


「皆、準備はできているよな?」


その問いかけに皆自信満々にうなずいた。この一カ月、全員が自分のすべきことを全力でした。ある者は回復ポーションを作りまくり、ある者は徹夜をしてまで作戦を考えた。お互いがお互いを補えるいいチームだと言えるだろう。


「それじゃあ範囲転移魔法陣を使うから皆この円の中に入ってくれ。」


15人全員が入ったのを確認すると、先生が魔法陣を起動した。


「それでは健闘を祈る。」


目の前が一瞬真っ暗になり、次の瞬間には広い高原に出ていた。


「…これ、だいぶお金がかかってるね。」


「そんなことより、これ…どうします?まさかついて早々魔物に囲まれるなんて、作戦を変更した方がいいのでは?」


「そうだね…とりあえずあの魔物たちを殺ってしまおうか…。リーダー、あれ、殺っていいですか?」


そう言って30体はいるであろう魔物の群れをちらっと見ながら腰につけていた短剣を手に取り指でくるくると回してみる。うん、今日は調子がよさそうだ。


「そうだな。ハルシャ卿と俺が前線で戦うから、後衛組は援護をよろしく。俺たち以外の前衛は全員後ろを警戒しつつ後衛組を守れ!」


命令通りいち早く地を蹴りウルフ高原の名物、影狼(シャドウウルフ)の首を短剣で引き裂く。


二体、三体、四体と、瞬きの間に狼が死体と化していく。影狼(シャドウウルフ)単体の強さはEランクと言われているが、30匹もいるのならD+ぐらいの強さになる。だとしても、単体では弱いので僕の敵ではないが。


「ウルフ系がはじめに来てくれて助かりましたね。これで魚を取る必要がなくなったのでっ!」


そんな雑談をしながら倒しているとものの数分で片付いた。


「それじゃあ本来の作戦を実行しようか。」


その言葉を合図として、僕を含めた草魔法を使える4人が集まり、石像から半径10mの地面を高さ5メートルほど持ち上げた。そしてちなみにその過程で僕は3本の魔力回復ポーションを飲んでいる。草魔法は他の魔法と違って地味ではあるが、高度な魔力操作を必要とする。そのため、中途半端な魔法使いが草魔法を使うと、通常の数倍の速度で魔力をむしり取られるのだ。


「…ポーションの不味さですでに死にそうなんだけど…」


「私もです…」


「5メートルを一気にあげるのはちょっとやりすぎたかな…ここまで魔力が削られるとは思わなかったよ。」


「いや、もっとやってもよかったぐらいだ。…このくらいないと普通に登ってくるからな。」


「登らせなければいいだけでは?」


「作戦を考える者は、いつも最悪の状況を考えなければいけない。行き当たりばったりじゃダメなんだ。」


「僕はいつも行き当たりばったりでしたけどね。」


「…よく今まで生きてこれたな。」


「そうですか?あっ、戦闘音を聞きつけて第二群が来たみたいですよ。魔物が増やされる10時までに決着をつけないと。」


「何匹ぐらいいるか見えるか?」


「ウルフ系が20体、コボルト系が15体です。あっ、でもコボルトの数体がスライムを棒に突き刺しているのでスライムもいます。数はたぶん3体。」


「本当に目がいいな。」


「まあ、僕は一応盗賊(シーフ)なので。あと3分ほどで到着というところです。」


「じゃあ罠が正常に機能するか、確認といくか。」


「あれってたしか、遠隔操作ができるんですよね?どうやって動かしているんです?」


「それは…「よくぞ聞いてくれました!装置と自分を魔力で繋げて引っ張っているのです!」…ルディー、お前の持ち場はここじゃないだろ。」


「そうは言っても、やはり自分の作品の最後は直接看取りたいと思うのが錬金術師なのです!我々は、「そういうのはいいからそろそろ爆発させる準備をしてくれ。カイ、合図を頼む。」ちぇ…はーい…なのです。」


「僕が三つ数えたら爆発させて。いくよ?…さん,にー,いち,ゼロ」


ズガァァァンッ!


大地が震え、衝撃波が周囲の木々をなぎ倒した。耳をつんざく轟音が、空気ごと肺を揺さぶった。悲鳴と怒号が入り混じり、ウルフたちは一斉に跳ね上がる。コボルトの手から棒が弾け飛び、突き刺されていたスライムが地面に転がり落ちた。


「お、おおう…威力は十分なのです…」


「全滅だね。一つだけ爆発させるつもりが、いくつか一緒に爆発してしまったからこんなに規模が大きくなったんだと思うよ。」


「カイ君の言う通りなのです…まさか別の爆弾まで爆発するとは思っていなかったのです。」


「次からは少し距離を離さないと。あれってあといくつあったけ?」


「今回の実験で3個爆発してしまったから、あと15個なのです!」


「温存しておきたいところではあるけど、この調子でいくと二日で全て使い切りそうだね。どうします?ラシード卿。」


「逆に二日間で使い切ったほうがいいかもしれない。三日目に力を温存しておかなければいけないからな。」


そんな言葉に僕は少しだけ口角をあげた。

新作「勘違い王太子の成長録」を投稿いたしました。興味のある方はぜひ一読お願いいたします。


※それにともない「異世界で幸せに」の投稿頻度を減らすことはありませんのでご安心ください。

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