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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
冒険者の街アルクィンにて

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神父様

「シーナさん、ちょっと話したい事があるから奥の部屋で依頼の報告をさせてもらえないかな?」



「構わないわよ。じゃあみんなこっちにいらっしゃい。」



「ありがとう」












「それで何を話したいの?」



「実は僕、魔法鞄を持ってるんだ。だから目だたない所で納品したくて…」



「魔法鞄!…気になるけど聞かないでおくわ。じゃあ次からは解体所に案内するわね。とりあえず、どれだけ取れたか教えてくれる?ああ、肉以外は出してもらってかまわないわ」


驚きながらもそう小声で言ってくれる彼女には感謝だろう。


「ありがとう。えっとホーンラビットの魔石23個,角25個、ホーンバードの卵が20個と魔石45個。解体されてないが肉57匹分ある。そしてコボルトの魔石が12個分あって、ゴブリンが15体、コボルトも15体の討伐証明部位を持ってる。」


鞄からホーンバードの肉以外を出した





「確認するからちょっと待ってね。……………………………依頼は全部クリアできてるわ。………依頼達成報酬は76900リビアよ。ホーンバードの肉は解体料金をひいて一頭700リビアだから39900リビアになるわ。だから合計116800リビアになるけど1/3にしてそれぞれに渡す感じにする?」



「ああ、出来たらでいいんだけど合計の1/10をパーティー用にしたいから残った9/10を3等分してくれない?」



「分かったわ、ちょっと待ってて」





「勝手に決めちゃって申し訳ないんだけど、あれで良かった?」



「構わんで」



「逆に1/3も貰えることに驚きを感じてさえいる。」



「え、ヒーラーってそんなに貰えないの?」



「ああ。ヒーラーや他の支援職は良くても他のメンバーの3/4とかで、悪いと半分くらいしか貰えないんだ。」



「ええ…そのパーティー頭おかしいね。ヒーラーがいないとろくに冒険なんて出来たもんじゃないのに。」


ヒーラーがアタッカーの2倍以上報酬を貰っていると言われても不思議じゃないくらいだ。


「出来たわよ!はい、受け取って。じゃあ解体所に案内するわね。」
















「ここが解体所よ」


「うわぁ、でっか!!」


奥の建物って解体所だったんだ…

体育館に似てるな~


「じゃあホーンバードの肉を出してくれる?」



「分かった」


鞄を逆さにして頭の中でホーンバードの肉を出すイメージをするとドサドサっと雪崩のように落ちてきた


「あんたの担当の冒険者かい?こりゃすごいな。」


「ええ。期待の新人よ。じゃあ解体は頼んだわよ」


「まあそれが仕事だからな。…そんじゃ、おめら解体すんぞ!」


「「「「「「おう!」」」」」」



なんか申し訳なく思ってきた。

…でも、手数料取られてるしまあいっか…



















翌朝?いや、もう昼か



「あっイリアスじゃん。今から僕らに会いたがってる言ってた神父さんに会いに行こうと思うんだけど一緒に行く?」


「うん?カイ!それにコウも。ああ、もちろん!こっから最短距離で行く方法があるからついてきて」



「あっちょっと、」


イリアスが急に裏路地に向かって走り出した。


着いていくと結構狭い道かつ草や低木が多く、神殿に着く頃には3人とも草まみれになっていた。


ちなみにルーンは小さくなって僕に抱き抱えられている。


「おい!イリアス、めっちゃボサボサになったやんけ!」


「あ、コウ、頭に青虫乗ってる」


「えっ、嘘ぉ!!??」



「うん、嘘だよ」



「おおぃ!!カイ、お前からかったなぁ!」







「わっ、悪かっはっって、はんへいしてるからやめへ!(反省してるからやめて!)いはい、結構いはいから!(痛い、結構痛いから!)」


「…………」


今僕はコウに頬を引っ張られている。何この状況?



「外が騒がしいと思ったら貴方達でしたか。」


「あっ、神父さん!」


良かった、ようやく手を離してくれた。これからはコウをからかう時はちょっと離れておこう



「神父様!カイ達を連れてきました」


「そのようですね。ああ、アス。子供達が貴方を探してましたよ」


「ほんとに?ちょっと出てくるって言ったんだけどな。分かった、先に帰っとくよ」



「それで、神父さん。僕らに何の用ですか?」



「用という程ではありませんが少し話をしておきたかったんです。

知っているとは思いますがここシェナード王国を含めた大半の国は創造神ノア様を中心として万物神レイ様、時空神カイロス様、大地の神レアー様、愛と運命の神セレネ様、死の神タナトス様を信仰しています。そして、ルディア教は死の神タナトス様のみ信仰しており、タナトス様が赤眼の悪魔と戦って眼を潰されたため、赤眼の人間を憎んでいます。

しかし、ヴォルガさんから聞いたとは思いますが、増えている赤眼の人を狙った事件はルディア教によるものではないと思われます。

その証拠を2人に見せてほしいとヴォルガさんに少し頼まれましてね。これは容疑者が持っていたとされる首飾りです。被害者の方か最後の力を振り絞ってちぎったものなので少し壊れていますが…。本当は神殿で保管されているのですが特別に持ってきたんです。」


どうやらこの神父様はかなり地位が高いようだ。


「それって…」


それに描かれていた絵は少し前に家の地下にあった嫌な感じのする魔道具に描かれてあった蛇の絵に酷似していた。


「この蛇の意味はよくわからないのですが、おそらくルディア教とはまた別の宗教団体かと思われます。カイさん?もしかしてこれを見たことがあるんですか?」



「…はい。家にあります。」


これは正直に言った方がいいだろう。


「……家にですか?危ないので後でヴォルガさんに渡しておいてくださいね?」


言い方は柔らかいが眼が笑っていない。


「分かりました」



「それでは、これで暗い話は終わりにしましょう。そうだ、皆さんお腹空いてませんか?良ければここで食べて行ってください。」



「ええの?!」


「構いませんよ」











「これって何て言う料理なん?」



「フェルシュって言う魚料理だよ!神父様が作ったんだ!美味しいでしょ?」



「うん、めっちゃ美味しい!てか今さらやけどイリアスってここではアスって呼ばれてんねんな」



「ああ。僕の名前、ちびどもには発音が難しくてな。知らない間に広まって神父様までもがそう呼び出したんだ。」



「へ~、いいねその呼び名。僕も今度からアスって呼ぼうかな」



「君たちはやめてくれ、恥ずかしいから」



「ええ~」



「ねぇ、お兄ちゃん達ってアスのお友達なの?」



「そうだよ。少し前からだけどね。」



「じゃあさ、じゃあさ、3日後にある収穫祭を手伝ってくれない?」



「こら、アルファ。カイさん達を困らせちゃいけませんよ」



「収穫祭?アルクィンには畑も港もないと思うけど…」



「アルクィンで行われる収穫祭はアルクィンではなくアルクィン付近の村での収穫を祈る行事なんですよ。我々が食べていけるのは彼らのおかげですしね。」



「なるほど…。それで、手伝いって何をしたらいいんですか?」



「いいのですか?」



「はい。一週間近くアルクィンから出れないようなので。暇潰しにでもなればなぁ、と…」



「ほんとに?!やったぁ!!これでちょっと楽になる~」



「こら!…すみませんね。」


そう言いながらふわりと微笑む神父様は本当にいい人のように見える。いや、実際いい人なのだろう。


「ええで!それで当日はなにしたらええの?」



「では神殿や孤児院の飾り付けをお願いできますか?私は当日なにかと忙しいのでそこまで手がまわらないのです。朝の8時位に来ていただければありがたいです。」


8時か…起きれるかな…


「わかりました。では、それぐらいにそちらにお邪魔しますね。」

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