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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~嵐の前の静けさ~
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信じるとは何か

「はぁ…どうしましょうか…」


「特別試験の話?」


「そうです。一番高い点数を取るにはどうしたらいいかなと思いまして…」


やっぱりそれを狙ってるのか…


「全ての問題を正解する自信があるのなら、三日目に脱出してもいいと思うけどね。」


「それだと一日目や二日目に脱出した生徒の中に全問正解者がいたら確実に負けますよ。」


「理論上はね。ただ、そうなる可能性は限りなく少ないと思う。試験会場になっている『風妖精の森』はかなり霧が濃くて進みにくい上に無駄に広い。隠されているという三つの問題は互いにかなり距離があるはずだよ。それを一日で全て見つけてることは多分不可能だ。二日はぎり行ける人がいるかいないかってところだろうけど、、まあ少なくとも僕は三日まで粘るかな。ところで、君のペアになる人ってエステラ嬢だよね?どんな感じだった?」


「うーん、そうですね…やはり商業を担う一族ですから頭は良さそうですけど、武術等の心得はなさそうなので、戦力にはカウントできないのが残念です。」


「魔法なら使えるんじゃない?」


「カイくん、知らないんですか?エステラ嬢は幼少期の魔力暴走の影響で魔法が使えないんです。」


「魔力暴走?」


「魔力が多すぎて体が耐えられなくなると、魔力を外に放出しようとするんですが、その際に魔力点が壊れてしまう時があるんです。その現象が魔力暴走と呼ばれています。」


魔力点とは魔力を体に広げるための重要な機関だ。体のいろいろな場所にあり、微量ではあるが魔力を含んでいる。


「それ、おかしくない?身体強化とかなら別だけど、ウォーターボールとかならできるでしょ。手から水球を出さないといけないなんて決まりはないんだから、腕を通らず心臓付近からだせば理論上魔法は使えるはずだよ。」


「それはそうですけど…」


「だから、使えないんじゃなくて使いたくないだけじゃないかな。トラウマになってることもあるしね。…まあなんにせよ、今回1位を取るのは難しそうだね。」


『風妖精の森』の危険度ランクDほど。限りのある魔力頼みの戦法じゃあかなり不利になる。といってもアイリスはかなり強いから僕の想像を超えてくるかもしれないけど…


「ところで、カイくんのペアはアルですよね?」


「そうだよ。」


「知っているかもしれませんが、アルは攻撃魔法が使えないんです。だから、カイくんのお役には立てないかもしれません。」


「…ねえ、アイリス。君はもう少し弟のことを信じてあげなよ。この試験で彼は必ず成長する。限界っていうのは本来存在しないんだ。人が勝手に作ったものだから、必ず人によって破ることができる。特に、一生懸命になった人は、ときに僕らの想像を遥かに超えていくものだよ。だから、はじめから『できない』と決めつけるのはいかがなものかな。」


「…しかし、先天的なものはどうしようもないと思いますよ。」


「本当に先天的なの?心理的なものではなくて?貴族は12歳になる前に基礎的な魔力の使い方などを教わるんだよね?年はおよそ7才頃から。つまり彼が魔法を初めて習ったのは5年前。攻撃魔法を教わるのは10才ぐらいからだから2年前ということになる。4年前、君の家では何があった?」


有名な話だ。5年前にフローレス家の当主夫妻が事故で亡くなり、4年前にアイリスとクロード家の婚約が決まったのは。


「…カイくんは意地悪ですね…」


「前世で僕はね、自分が一番正しいと思って生きていた。でもね、それは間違いだとこの世界でたくさんの人が教えてくれた。だから、これはただの僕の感想であってたった一つの真実ではない。事実は小説よりも奇なりと言うけれど、本当のことを知るにはそれなりの覚悟が必要なんだ。少し協力してくれない?」


「一応中身を聞いておきます。」


「いろいろとぶっ飛んでるけど、今回の特別試験で君には死にかけてほしい。」


「…本当にぶっ飛んでますね。死にかけるにしては、場所がイマイチですよ。これくらいの難易度の森で私が死にかけるなんてアルも思っていないはずです。」


「まあそうなんだけどね。どうせいつものようにボスがいると思うんだ。君たちがそのボスと戦っている間に僕が上手いこと合流させれば、なんとかなるはず。」


「いつも以上にテキトウな作戦ですね。不確定要素多すぎます。」


「いいじゃん。それも人生ってものだよ。それにね、作戦っていうのはある程度テキトウにしないとちょっとしたことで使い物にならなくなってしまうから。連絡手段とかはおいおい考えるよ。…じゃあ、僕は今から君の弟に会いに行ってくるから。」


「…アルに何をさせるんです?」


「魔法の特訓だよ。ていっても彼の方が上手いかもしれないけどね。ただ、実戦では僕の方が上手いからそこらへんは教えてあげられるかも。」


そう言って僕は談話室にアイリスを一人残したまま出ていったのだった。

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