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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
冒険者の街アルクィンにて

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回り始める歯車の音

冒険者ギルドを出ると少年が中央街道の方に歩いているのが見えた。



「あっちや!」


僕より俊敏の値は少ないはずなのにめっちゃ速い。


やっぱり数値はただの数値か…


人間の限界を超えるほどの強い思いには対応していないみたいだ。



「……なあ、君!俺らちょうどヒーラー探しとってん!ちょっと話し聞かせてくれへん?」



「はぁ?なんだよお前ら!……ってその眼!さっきの聞いてたのか?……分かった、ここは人が多いからあっちで話そう」


そう言って人気の無い路地裏を指差した。


「エエで!」


僕も頷き彼に着いていく。










「僕はイリアス。君たちは?」



「俺はコウ。こっちは戦友のカイであの狼は俺らの仲間のルーンや。さっきも言ったけど、ちょうどヒーラーを探しとってん。よかったらどんなことできるか教えてくれへん?」



「欠損や貫通してない傷なら大体ははヒールで治せるし、今は毒以外は無理だけど強力なものじゃない限りは状態異常も治せるよ。ヘビとか」


ふむふむ


「……めっちゃ有能すぎひん?」



「生まれつきヒーラーとしての才能だけは高かった上に神殿の孤児院で暮らしていたから、治癒魔法はかなり叩き込まれてるんだ。あと、風魔法は苦手だけど草魔法は結構使い物になると思う。ああ、それと剣術や体術に関してはからっきしさ。そっちの才能は全く無かった。それで、君達はどんなことができるんだ?」



「俺は昔剣術をならっとったから、前衛としてイリアスを守れるくらいには強いと思うで。ちなみに俺は火、カイは水魔法の練習をしてんねん。まあ、伸び代に期待しといて。」



「僕の職業はシーフ的なものだから敵の位置を探ったり奇襲を仕掛けたりするのが得意かな。ちなみにルーンは僕の従魔で、大きさを変えれるから上に乗ったらかなり速く移動ができるよ。これまでは僕が索敵してコウとルーンが正面から突撃し、僕が後ろの死角から狩り損ねた獲物を倒していくって感じで敵を倒してたんだ。仮にイリアスが僕らのパーティーに入ったとしたら、僕らが怪我をした時の治療と草魔法での敵の足どめをお願いしたい。」



「イリアスさえよければ簡単な護身術や剣術の基礎を教えてあげれるで。才能がなくてもましにはなると思うわ。」



「分かった。でも急には頷けないから今晩考えさせてほしい。明日の朝冒険者ギルドの前で会えないか?」



「エエよ!明日、7時ぐらいに居っとくわ。」




「即決はせんかったな………」



「僕達が信頼できるかどうかを見極めてるんでしょ。もし即決してたら、その時はこっちからお断りだったよ。まあ、コウに言いくるめられて結局入れたんだろうけど…」



「カイは厳しいなぁ」



「そりゃあ後々自分の背中を任すことになるんだから、しっかり見極めないと。はい、焼きリンゴできたよ。」


そう言って焼きリンゴを差し出す。


「それもそうやな。………旨い!やっぱこれ最高!!」



このままだとリンゴは1つも残らなさそうだな…



「全部は食べちゃ駄目だよ。僕のも残しといてね。」


そう言うと少し、いやだいぶ残念そうな顔をした。


「………………分かった」



「めっちゃ不満そうだね」


そう言いながら皿にのっているリンゴを1つ口にいれた。





















???視点


「はぁ~、始末書2000枚なんて一生かけても終わらない気がしてきた。」



そう言って金髪の男は隣にある白紙の山を見た。



「何枚終わったんだ?」



「うわぁ!!やめてくださいよ、創造主様。心臓が止まるかと思いましたよ。」



「神に心臓なんてあるわけないだろう?それで、何枚終わったんだ?」



「今349枚目が終わったところですよ。それで、私に何か用ですか?ちょっかい掛けに来たんなら出てってください。」



「ふーん。そんなこと言っていいんだ?じゃあお前のせいで異世界に行くことになった彼が今何をしてるか教えなくて「すいませんでした!!」…おい。まあ、その前に土下座してもらおうか」



「えっ、何でですか?」



「まさか本当にばれてないとでも思ってるのか?お前、あの魂にだいぶ介入しただろ?」



「………………「正直に言ったら許してやらないこともな」介入しました!」



「それで、どんな介入をしたんだ。」



「ええっと、……死因の上書きと記憶の改ざんです」



「記憶の改ざんはともかく死因の上書きは重罪だぞ?何でそんなことをしたんだ。」



「…彼の死因は居眠り運転の車に跳ねられたからではなく自殺だからです。」



「…なるほどな。自殺した人間は怨霊になりやすい、そのためその者の魂は天国か地獄に割りふる前に浄化しなければならない。…はぁ、この掟もそろそろ変えるべきだな。それで、彼はお前とどういう関係なんだ?」



「親友です。たった7年の付き合いでしたが私にとってはかけがえのない存在です。お願いします、創造主様。いや、我が父ノア様。彼には幸せになってほしいんです。」



「…いいだろう。しかし、お前が彼に施した記憶改ざんはもうすぐに解けるはずだ。いいのか?」



「ええ。彼が過去を受けいるための時間は稼ぎましたから。それより、本当にいいんですか?」



「お前は俺が初めて造った神だからな。俺がお前を気に入ってるのは天界では周知の事実だ。お前が責任を持って幸せにしてやれ。もうこんなことはするなよ。次やったら天界から総スカンを食らう羽目になるぞ、万物神レイ。」


創造主がそう言うと万物神レイと呼ばれた男はyesともnoとも言わずにニカッと微笑んだ。


その反省の欠片もない様子に創造主は心の中でため息をついたのだった。

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