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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~隣国からの客人~

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怒りのリーリエ

「あんたらさぁ、私の妹を囮にするってどういうこと?なに?喧嘩うってんの?はっ、無視かよ。いい度胸してるなぁぁ!」


いや、、気絶してるだけだと思うんですけど…

そういえばリーリエ先輩は大のシスコンだったな…まあいいっか、、


「先輩、そいつらを問い詰める前にあの鶏をどうにかしないと。」


「うん?ああ…」


そう呟いたと思ったら、目にもとまらぬ速さで鶏の首を落とす。ドロップした羽やら肉やらがバラバラと地面に落ちる。


「…さすがだ」


「カイもそのうちできるようになる。センスあるからな。」

…いつのまに僕の隣に…


「おい、起きろ。くずども。」


そう言って三人の顔をおもいっきりぶったたく。およそ人を殴ったときにでないような音が飛び交うが見ないふりをする。そういえばこの人、男に容赦がないのだ。


「…ぅ…こんなことしていいと思ってるのか!!俺の家は侯爵家だぞ!!平民ごときが!お前も何か言え!貴族だろ、カイ・ハルシャ!!…グフォ!!」


貴族なら自分の味方をするとでも思っているのだろうか?そうであればなんとも素晴らしい頭をお持ちのことだろう。


「カイ、ダメか?」


こちらを見て僕の返答を待つ先輩に首を振る。


「いえ、先輩はダンジョンの中で気を失うという死に直結するようなミスをしたバカどもを、親切心で起こしてあげた善良なる通りすがりなので問題ないかと思います。まだ頭が機能していないみたいなので僕も数発殴りましょうか?」


ダンジョンで起こったことは全て自己責任。魔物の押し付けは命に関わるため、冒険者であれば即奴隷落ちの重罪に値する。数発殴っても学院長は見逃してくれるはずだ。


「ふっ、さすがだ。でもまあやめておけ。もしバレたらカイの家にも迷惑をかけるかもしれないだろうからな。よかったな、私一人ならお前たちを一人残らず魔物の餌にしていたに違いない。」


「「「ひぃぃ…」」


化け物でも見たかのように悲鳴を上げる彼らに心底あきれてしまう。


「ったく、あんな奴でも当主の座に就けるのは考え物だな。さて、このことを先生に報告しにいかなければならないのだが、被害者である君たちも来るべきだろう。ボスはまた今度にして私と一緒に地上に戻ってくれ。」


まあそれが妥当だろう。先輩だけでは出来事が歪曲される可能性もあるからな。


「みんなもそれでいい?」


「アタシはいいよ。」


「俺も問題ない。」


「らしいです。コイツら一人もらい受けましょうか?ここから地上までそこの三人を運ぶのは無理あるでしょう?」


「いや、大丈夫だ。私は君たち、とくにシドの戦っているところを見たいからな。」


「一応聞きますけど、なぜですか?」


「シドの戦い方は実にキュートでな、とても愛くるしいのだよ。」


いや、拳で相手の頭蓋骨を割るという行為のどこに可愛い部分があるのかを教えてほしい。


「…そうですか。分かりました。」


隣にいたシドさんの顔が真っ赤に染まっていたのを僕は見ないふりをしたのだった。



「それは本当か?!」


珍しくマルファ先生が声を荒げる。


「本当です。私が目撃しました。マルファ先生。」


先輩って敬語つかえたんだ…


「わかった。ひとまずダンジョンは一時閉鎖しよう。カイ・ハルシャ、シド、カール、リーリエはもう戻っていい。ただ、お前たちは残るように!」


マルファ先生がガチギレしているところなんて見たことなかったが、思った以上に怖いな…

冷静にぶちぎれてるっていうかなんというか…今までに見たことないキレかただ。


「もう夕方か…早いな。よしっ、皆で夕食を食べよう!私が特別にご馳走をふるまってやろう。」


げっ、、まじかよ…


「おっ、お姉ちゃん、アタシはいいよ。お腹すいてないし。」


「むっ、それは大変だ!やはりアイツら殺しておくべきだったか…。よしっ、シド!お姉ちゃんが元気が出る料理をすぐ作ってやるからな!」


先輩の料理を食べたら元気が出るどころか失神する。なぜだか僕の毒耐性スキルが上がったし…あれは本当によくない。


「僕もいいです。この後予定があるので。」


「そうか…それは残念だ。また機会があれば作ってやる。」


そう言ってバンバンと僕の背中をたたく。地味に痛いけど怖くはなかった。


「…では失礼します。」


そう言ってカールとシドさんを生贄に捧げた僕は、後ろ髪を引かれるような思いで、ない予定を無理やり作りに行ったのだった。

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