ハイゴブリンの巣窟
「どう?あそこ怪しそうだけど」
そう言って洞窟のような場所を指差す。
「ウィン曰く魔物はいるけど数はそこまで多くないらしい。3、4体ってところだそうだ。」
「ならそこは見張り台だな。」
さすが魔物博士。生態にお詳しい。
「そんなんあるんか?」
「ゴブリンだけだとないがハイゴブリンがいるとなると集落の規模が2、3倍増えるんだ。余ったゴブリンを周辺に配置する習性があるから多分間違いない。」
「やっちゃう?3,4体なら仲間を呼ばれる前に殺れるでしょ?」
「いいんじゃないか?誰が殺る?」
「じゃあ火力に特化したコウと立ち回り得意なエレンでどうぞ。僕は他にいないか索敵するから。」
そう言って索敵スキルを作動させる。レベルが上がりわかる範囲が広くなったのは嬉しいが使う魔力が増えたのはいただけない。お陰様でそう頻発に使えないのだ。
「……あった。ここまっすぐ行ったら着くね。イリアスもレインに乗って。」
「分かった。…よいしょ……けっこう高いな」
「レイン、二人を頼んだよ。向かってくるヤツは皆風魔法で吹き飛ばしたり蹴り飛ばしてもぜんぜんいいからね。」
「むっむむ~」
可愛いけどやぱっり馬の鳴き声としてはなにかおかしい気がする。
「おーい、終わったで!」
「速くない?」
「そうか?まあ俺たちも成長したからな。」
「そっちはどうなん?見つかったん?」
「うん。このまま真っすぐ行った先にデカめの巣があるのを確認できた。ざっと見た感じ30はいるかな。巡回しているのもいるとすると40~50ってところかな。まあでもハイゴブリンは5体ほどしかいないな。これあと二回もやらないといけないのか…」
「えっ、行く気なん?」
「えっ?行かないの?」
「ユウリもイリアスもいるんだぞ。危なくないか?」
「ユウリは弓ができるしイリアスは僕らにバフやヒールをかける役割がある。レインに乗っているから最低限僕らが注意しておけば大丈夫だと僕は思う。ダメかな?」
「レインはそんなに戦えたっけ?」
「ルークスさんに鍛えられていましたよ。」
「「…それなら大丈夫か」」
お祖父様への信頼が大き過ぎやしないか??
「じゃあそれでいい?」
「ああ。ただ、それでも不安だから俺はレイン周辺にいたいんだがダメか?」
「別に構わないよ。それじゃあ僕とコウが奥にいる魔法使いや弓使いを倒していくよ。ルーンはエレンが守ってない側に行ってレインを助けてあげてね。」
「わふっ!!」
「それじゃあ、いざ突撃!!」」
♢
レインは巣の入り口に待機させておく。前はエレンが後ろはルーンが守っている。
「コウ、僕は向こうの魔術師やるからあっちの弓使いを頼める?矢がピュンピュン飛んできて鬱陶しいんだよね。」
「分かった!そっちは頼むで!!」
その言葉を聞き一直線にゴブリン魔術師の元へと走る。
放たれるウィンドカッターは僕ではなく僕の後ろにいたゴブリンに当たっていく。なんとも愉快な行いだ。
「僕が近づく前に怪我の1つさせれたらまだ勝機はあったかもしれないのに」
そう言って首にナイフを突き刺す。
次の獲物を探そうとしたその時鋭い殺気が僕を突き刺した。
思わず左に避けると僕のいた場所には矢が刺さっていた。
「…殺気が漏れるなんてまだまだだね。」
今回は少し危なかったな…
この周辺で様子を伺っていたゴブリンが一斉に襲いかかってくる。
「…うわー嵌められた…ハイゴブリンってそんなに頭よかったっけ?」
まさかさっきの魔術師が囮だったなんて…偶然、だよな?取りあえず氷魔法で足凍らせとこ…
矢を避けながら足が凍って動けなくなったゴブリン達の首を切っていく。
「…早くあれを仕留めないと…」
身体強化を使いソイツがいる見張り台まで跳ぶ。
途中降りかかってくる矢は全て短剣で防いだ。
僕の剣と相手の弓が交差してキーンという甲高い音がなる。ハイゴブリンは成人男性ぐらいの身長なので力負けしてしまう。てかなんで弓で剣が防げるんだよ…
硬直状態のまま数秒過ぎる。見張り台から落とされそうになったとき、ハイゴブリンが後ろから真っ二つにされた。
「…遅かったじゃん、コウ。」
「しゃあないやろ。矢避けるんけっこうムズイんやから。遠距離系はもうおらんのか…どうする?カイ。」
そういいながらゴブリンを足で蹴ってノックアウトにするコウにびっくりする。
「…それ、やめてくれない?首の骨が折れる音、あんまり聞きたくないんだけど。」
「今さら何言うてんねん!剣で切ったってそう変わらんやろ!!」
「ええーなんか違うんだよな。よっと、、そっちいった」
「了解……エレンの方けっこうキツそうやから俺一回戻るわ。」
「わかった。こっちの雑魚は任せてって言いたいところだけどダメだな。こっち側にハイゴブリンが二体いる。さすがにさばけないかも。粗方かたづいたらすぐ戻ってきてくれる?それまで時間稼ぎはしておくからさっ!」
氷魔法で敵を数秒凍らせて道を作る。
「頼んだわ!」
そう言ってコウが戻っていった
さあ、ここからが本番だ




