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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~新しい風~

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パートナー選び

「やったぁぁ!!ようやく試験が終わったよぉ!!」


「…よかったね、シドさん。今回は自信あるんだ。」


僕がそう言うと皆そろって『そういうことじゃない』という目で見てきた。…やったぁって言ってたのに…


「そういうカイは自信があるのかい?」


成績のいい殿下に訊かれると少し嫌味に感じる。


「生憎僕は2ヶ月も休学していた上、特別試験後10日ぐらい休んでいたからね。筆記が良くても実技で引かれるよ。」


眼を覚ましてからも熱が下がらず大変だったのだ。それに今年は魔法を使うのを禁止されてしまったから魔法実技の成績がおわっていることは明白である。


「その心配は杞憂だと思いますよ。休学中行われた実技テストは一学期のテストを参考につけてくれるみたいですし。」


「そうなんだ。よく知ってるね。」


てゆうかどこ情報なんだ、それ?


「あっ、そうだカイくん。明後日の舞踏会のこと…なんだけど、、」


シドさんはそう言ってなんかもじもじしている。いや、そんなことよりなんか新情報が出てきた気がするんだが…


「舞踏会?何それ。」


「この一年を締めくくる行事だよ。生徒は基本的に参加しないといけないよ。」


ゼノンさんがそう言うってことはそうなんだろう、


「…明後日は風邪をひく予定があるんだけど…」


ダメだろうか…


「なんだそれ。絶対嘘だろ。」


「カール、そこは流してくれても良かったんだよ?」


「俺はお前に来てほしいから流さないぞ。そんなことより、どうしてそこまで行きたくないんだ?」


単純に謎だと言わんばかりに訊かれると自分の「行きたくない」という意見が多数派ではないのかと思えてくる。実際そうではないのかもしれないが…


「…??えっ、逆になんで行きたいの?」


「なんでって、それりゃあなあ?」


カールの問いかけに皆頷く。


「美味しい料理が無料(ただ)で食べれる!」


「気になっていた人と関われるチャンス!」


「有名な演劇や躍りを楽しめる!」


「音楽だって凄いのよ!」


「な?いいこと尽くしだろ?騙されたと思って1度行ってみなって。」


「…あっ、言い忘れていたけれど、新入生は飛び級していようとしてなかろうとパートナーを作らないといけないから気をつけて。最初そのパートナーと一緒にファーストダンスを踊るというしきたりがあるんだ。」


「…それペアが見つからなければどうなるの?」


「仮病つかって欠席するのさ。だから欠席したら例え本当に体調不良だとしても周りからはパートナーなしのかわいそうな人だと見られるんだ。」


だから仮病するなと言外で伝えてくる。欠席したらハルシャ家に迷惑をかけそうだな。どうやら欠席するよりも出席するほうが面倒臭くなさそうだ。


「そっ、それでさ、カイくん、、アタシの、、アタシのパートナーになってくれないかな?」


シドさんはなぜかは分からないが耳を真っ赤にしながらそう言った。


「僕が?シドさんの?なんで??」


「なっなんでって、、その…」


…何か良くないことでも言っただろうか?皆からの視線がどことなく冷たい気がする。


「シドさんにはメリットがないでしょ?最近僕に対する変な噂が増えてきているし、本来ならシドさんには向かってこないはずの悪意が襲い掛かってくるかもしれないよ。僕はそういうのに慣れているからもうなにも感じないけど普通は物凄く辛いと思うんだ。」


だからやめたほうが賢明だと目で訴える。


「少し口を挟んでも?」


突然アイリスが僕らの間に割って入る。


「構わないよ」


僕がそう言うとアイリスはふわりと微笑んだ。


「ハルシャ卿、シドとパートナーになるのは嫌ですか?」


「嫌じゃないよ。どうしてそんなことを聞くの?」


僕がそう言うと皆なぜか驚いた表情をした。


「うん?なに?」


僕が困惑しているとアイリスがふふっと笑った。


「ハルシャ卿、時に人は合理的ではなくなる時があるんです。」


「それ、たぶん違うよ。人は常に合理的な生き物だ。そうじゃないとこんな残酷な世界では生きていけない。」


「そうでしょうか?この世は数々の非合理的なことで成り立っていると私は思います。例えば、『恋』というものは人を盲目にさせます。」


アイリスはそう言ってシドさんの方を見る。


「ハルシャ卿はどちらにせよパートナーが必要ですよね?シドの誘いを好意として素直に受け取ってはいかがですか?」


「そう、、だね。」


僕を誘ってくれる女の子がいる保証はどこにもない。かといって公爵家の人間が平民とパートナーになったらそれはそれはそれで...


まあいっか…どうせお祖父様は何も気にしないだろうし


そこまで考えて僕は思考を一旦止めた。


シドさんの前に跪き手をとる。


「シドさん、僕のパートナーなっていただけますか?」


僕がそう言うとシドさんの顔がますます赤くなった。大丈夫だろうか…


「うっ、うん。」


「うわぁ…カイってなんか大胆だよな。」


「はぁ?これは女性にパートナーを申し込むための正式な作法だよ。」


そう言って立ち上がる。


「それはそうなんだけれどね、、」


なんか歯ぎりが悪いな。


「舞踏会には制服を着ていけばいいんだよね?」


学生の最高礼服といえば制服である


「制服でもいいけど大半の貴族は制服じゃないよ。」


なるほど…だからお祖父様は学院へ行く前に高級そうな服一式を渡してきたのか…


「まあ…いっか…僕は制服で行くことにするよ。」


舞踏会といえば飲み物をぶっかけられるとかのいじめが流行っていそうだし


取りあえずそんなこんなで僕はシドさんと舞踏会に行くことになったのだった。

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