絡み合う糸
「肉は今日狩ったホーンラビットの肉でいい?」
ウサギの肉は食べたことないがきっと美味しいだろう。
「ええで!そうやカイ、知ってる?ホーンラビットの肉は鶏肉みたいな味やから結構いろんなものに使えんねんで。」
なんでもありだな…
「そうなんだ、知らなかった…うーん……鶏肉か、、僕、あんまり料理できないから野菜と肉を一緒に炒めたやつでもいい?」
「構わんで。俺好き嫌いないし。」
てゆうか料理できるんだからコウが作ってくれてもいいんだが、、
「わかった。とりあえずタマネギとキャベツ、ニ-ジン(人参)とピーマ(ピーマン)を1つずつください。」
この世界では日本と同じような名前の食べ物が多いのだが、たまに味が違うものがあるので注意しないといけない。
例えばミカンナはミカンとバナナが合わさったような味がする。まあ、美味しいんだけどね。
「はいよ!計300リビアだ」
かなり安いな…いや、日本の時と比べたらダメか…
「はい。」
「ちょうどだな。ありした~」
卵も買ったしパンも買ったし、後は…
「号外だよ!号外だよ!ハールーン帝国が勇者の召還をしたみたいだよ!」
勇者の召還?なんでだ?
「それ1つもらえる?」
「もちろん!はい、どうぞ。」
そう言って少年はペコリとお辞儀をして違う人のもとに駆けていった。
「ありがとう。コウ、一旦戻ろうか」
僕の表情が芳しくないのがわかったのか素直に頷く。
「わかった、それ持つわ。」
それにしても勇者の召還か…。この記事の絵、アイツにそっくりだ。
この世界でアイツとは関わりたくないな。
ということでやっぱりハールーン帝国には関わらないでおこう。
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ここはハールーン帝国の玉座である。
1人の男がふんぞり返って玉座に座っていた。
「陛下。西にあるフィレンで大規模なスタンピードがおき、フォード夫妻及びご子息の次男が亡くなったそうです。」
黒い服の男がそう言うと陛下と呼ばれた男は少し怪訝そうな顔をした。
「次男?長男は死ななかったのか?」
「申し訳ございません。火を放つ前に逃げたのを旅人が目撃したようです。殺しましょうか?」
黒い服の男はそう淡々と告げる。感情がないと言われても不思議ではないほど異常だった。
「まあ、よい。たかが1人の子供に何が出きるというんだ。生かしておいてやれ。」
そう言って男は金色のグラスに注がれた高級なワインを飲み干す。
「御意。」
「ああ、そうだ。召還した勇者達はもう寝たか?」
食事に混ぜた睡眠薬の効果がそろそろでるはずだと男は思った。
「はい。睡眠薬で眠らせております。」
男はあまりにも物事が上手くいきすぎていることに気づかずににんまりと気持ちの悪い笑みを浮かべた。
「では、今の内に奴隷の首輪をつけたまえ。」
奴隷の首輪を着ければ反抗も出来ないし自分で取ることは不可能なため、勇者の力を自分の物にできると男は考えた。
「よろしいので?」
「構わん。勇者の顔は発表したからもう奴らの顔を世間に晒すことはもうない。お前は黙ってわしの言うことを聞けばいいのだ」
「…御意。」
長男が生き残ったのは想定外だったが仕方あるまい。
フォード夫妻はもう用済みだったからな。
秘密を知る者がいなくなり財産も余のものになる、一石二鳥だな。
これで安心して眠ることができる。
アハハハ、アッハハハハハハ……
その日の王の部屋では気味の悪い笑い声が深夜まで続いていたらしい。
だか、彼はその選択が後々自分の首を締めることになるのをその時はまだ知るよしもなかった。




