別荘の秘密
「さて、これからどうするか…。とりあえず別荘とやらに行ってみる?」
「どこにあるかわかるん?」
ごもっともなことだろう。だが心配ない。
「このカギ、いやこの魔道具は魔力を入れると鍵穴の場所がわかる、つまり家の場所がわかるんだ。」
「使ったことないって言ってたわりには詳しいな。」
「いや、もちろんあれ嘘だよ。使ったことあるに決まってるじゃないか。」
僕がそう言うとコウは酷く虚をつかれたような顔をした。
「えっっ、なんで嘘ついたん?」
「だって騎士団長自ら手にとって『使っていい』って言わせて言質とってからじゃないと後々まずいことになると思ってね。この魔道具を狙った親戚が多いと思うから。」
「はぇ~、打算ありまくりやな。」
「そらそうでしょ」
うん?ここか?思ったより小さいな。
「ここだと思うんだけど…」
「どないしたん?」
「ちょっと小さくない?」
「いや、なに言うてんねん!カイの住んでた家を参考にしたあかんで?冒険者ギルドにも近くて立地いいのに庭付きでこの規模の家、かなりの値段やろ。」
たしかに前世は少し大きい程度だが今世の家は平均を逸脱する大きさだったか…
「まあたしかに…。じゃあ開けるよ?」
ガチャっという音とともに門が開いた。
家の前には広々とした庭があり、手入れもされているようだった。
「ここで魔法とか剣の練習できるやん!」
「確かに庭付きは最高だね。」
玄関の扉を開くとそこには立派な家具などが置かれていて少しのホコリもついていない。
「なんでこんなに綺麗なんだろう?最近行った訳でもないのに。」
旅行で帝国中を回ることは珍しくなかったが他国に行ったという話はあまり聞かない。
もちろんその旅行に僕は参加させてもらえなかった。
「あ~、俺わかったかも。フォード商店の会長さん潔癖症で有名やから家妖精と契約してんちゃう?」
潔癖症で有名って…不名誉だな。まあ知ったこっちゃないが
「家妖精?なにそれ」
「知らんの?家妖精は契約すると家の掃除をしてくれる害のない魔物のことやで」
「……。なんでこの家と契約したんだろうね。」
「まあ、契約といっても人間が脅して無理やり契約させてるだけやからな。」
そんなことだとは思ったけど…嫌な感じだ。
「はぁ、まったく人間ってやつはどこまでも愚かなんだ。」
「そんなことよりカイ。探検しに行こう!!」
「そうだね。」
この家は
1階にリビング,客室,トイレ,部屋2つ
2階に部屋3つ,トイレ,お風呂,
地下には書斎,倉庫があった。
そして離れには、おそらく執事などが住む用の建物があり少し小さいが1階と2階にそれぞれ部屋が5つあった。
だが、その事がちっぽけだと思えてしまうような物が地下の倉庫にあった。
「これって…」
「うん。多分義母が父親から盗んだやつだね。」
「えっ、愛しあってたんとちゃうん?」
「愛していたのは父親だけで義母はそうじゃなかったみたいだね。まあ、そんなことだろうとは思ったけど。」
棚には家に飾っていたと記憶している効果な壺や置物、宝石や魔道具があった。
うん?あれはなんだ?
「これ、嫌な気配を感じるんだけど…。」
それには狡猾そうな蛇の絵が書かれてあった。
「それ、触らん方がいいんとちゃう?なんかたくさんの怨念に睨まれているかのような気持ちになる。」
「閉まっておこうか…。」
「そうしよ。にしてもこの宝石類どうする?売っちゃう?」
「大量に売ったら市場が壊れるからちょっとずつ売るしかないね。うん?あれは…まさか、」
引き出しの奥深くに眠っていたそれを僕は手に取った。
「綺麗なペンダントやな。」
「これは僕の母親の形見なんだ。義母が家に来て少ししたら全て取り上げられてしまったんだけど…。見つかってよかった。」
「よかったやん!ここ、ちゃんと整理したら形見もすごい武器とか本とかも出てきそうやな。」
「そうだね。とりあえずリビングに戻ってご飯食べない?お腹すいて死にそう…」
「でも材料買ってないで?」
「ああ、そうか。そういえばそうだったな。今日いろいろ有りすぎて忘れてたよ。じゃあ買い出しに行こうか」
「あ、俺肉食べたい!」
「はいはい、わかってるよ。」
そうして僕らは買い出しに行くのだった。




