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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~迫りくる悪の手~

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クラブ対抗祭~最終演目~

俺はごく普通の家庭に生まれた。俺も両親の後を継いで宿屋を経営しながら生きていくと思っていた。


だがその思いも12歳の祝福の時に崩れ去った。俺は全属性の適性がある珍しい人間だったのだ。それを知った両親は俺の才能を開花させるべく王立高等学院の編入試験を受けることを進めた。


魔法の才能があれば両親をもっと楽にできると思った俺は何も考えずに両親の言った通りに13歳の時に編入試験を受けた。


編入試験の過程にあった魔力測定で異常なほどに高い数値が出たお陰かすんなりと学院に入ることができた。


入ってから知ったことだがこの編入試験や入学金、授業料、寮の賃金などを支払うために両親は莫大な借金をしていた。


その状況を悪化させてはならないと思い、勉学に励んだため一年後には奨学金を受け取れるようになった。


この学院でかかる食事代なんかも自分で払うために授業の合間にも狩りに出かけてお金を稼いでいた。


それでも両親が妹と弟を養うには負担が大きすぎた。


俺は今年で16歳。飛び級試験に何度か合格したため普通よりも速い速度で卒業することができる。


だが、卒業した後に就職できるところはほとんどなかった。


魔法研究には莫大なお金がかかるし、国仕えるための試験にも自分には到底用意できないほどのお金がいった。もはや冒険者になるしか道はないとクラブのメンバーに愚痴った時に俺には才能があるのだから宮廷魔法士になるべきだとたくさんの人に説得された。


俺がお金がないから無理だと言ったときには皆で協力して集めるから問題ないと励ましてくれた。


皆で協力したお陰であと半年で卒業といったところで200万リビアが集まった。


500万リビアには到底及びそうになかったがそれでも嬉しかった。


そう思っていた時に颯爽と現れたのがカイだった。公爵家という高貴な身分とは裏腹に彼には少し親しみやすさがあった。


クラブメンバーにはそれっぽい戦略を伝えた後に僕だけを呼び出しこう言った。


「まだ諦める必要はない」と。


どういうことなのかと聞くと彼は面白げに笑った。


「リーダーはこんなことで300万を集められるとは端から思ってないでしょう?ただ、自分のために頑張ってくれている彼らに水を差したくなかった…違いますか?」



「確かにその通りだ。君もわかっていたならどうしてあんなことを言ったんだ?」



「あれが一番正攻法なので。一応僕がチェスの大会に出て賞金をぶんどってこようとは思ってますけどね。それでも300万いや、その半分でさえ集めることは奇跡に近いでしょう。…リーダーは少し頭が固いんです。金なんて集めなくたってなんとかなる方法が1つだけまだ残っています。」


言葉の意味がわからず首をかしげていた俺に彼が言葉を続ける


「貴族にバックアップしてもらうんです。もちろん実力でね。だからこのことはお祖父様にも言いません。誰もが心のそこからあなたが欲しいと思わせるパフォーマンスをしてください。そうすれば何もかも解決するでしょう。」



「俺は平民だ。誰も俺のことなんて…」



「そう思っている内はそうでしょうね。でも、僕から見てもそんな今のあなたにでさえ利用価値がある。賭けとは言われればその通りですけど、貴族にとってはただの日常です。あなたにかかるお金なんてこれっぽっちも痛くないでしょう。1度だけでいい。僕を信じてください。きっと全て上手くいく。」


そう言って真っ直ぐに自分を貫く彼の瞳を信じないわけにはいかなかった。


*

*

*


「それでは、本日の最後のパフォーマンスをさせていただきます!フィナーレを飾るのはこの人、天才魔法使いヴィアン!!」


歓声とともに少しだけ前に出る。広場の大部分を貸しきって行うため大勢の人が何をするのかと見てくれている。


大丈夫、きっと全て上手くいく。そう思いながら始めの術を展開した


ヴィアンの体が風魔法により浮かび中央へと進んでいく。ふわりと足が地面についたその瞬間、広場の地面が大きな氷の結晶を表すかのように凍りついた。


「炎魔法業火の龍(ドラゴンインフェルノ)!」


ヴィアンがそう言うと手から出た炎が空中に登っていく。


その炎は素早い動きを繰り返しながらも龍の姿のままであった。


その龍は観客の真上を一周すると粉々に離散した。ヴィアンはその火の粉と一緒に草魔法を使って花吹雪を散らした。


大技の連発に歓声が止むことはなく、次は何が来るのかと皆身を乗り出す。


ヴィアンがパチンと指を鳴らすとどこからともなく霧が出てきた。


その霧は観客の場所には来ずきちんとコントロールされていた。


ヴィアンがもう一度指を鳴らすと霧は龍の形となり、地面を覆っていた氷を瞬く間に風で切り刻んだ。


それを見たヴィアンが杖をかざすと杖から光が出ていき伝説とされている金色の龍が飛び出して唸り声をあげると霧でできた龍が一瞬の内に分散した。


それを見届けた黄金の龍も同じように金色の光を散りばめさせながら架空へと消えていった。


これで最終演目は終了した。


多くの人が拍手をするなかで1人の男が前に出た。


「君の名前は?」


「?!…ヴィっ、ヴィアンです。お会いできて光栄です、公爵閣下。」


そう言って深く頭を下げるヴィアンを見てハルシャ家の当主が微笑まそうに頬を緩める。


「なに、そろそろ引退するただのジジイだ。そんなにかしこまらなくていい。ところでヴィアン君、きみを資金的物質的な面で援助したいのだがどうだろうか?」


当主の言葉にヴィアンがパァーっと瞳を輝かせる。


「いいんですか?!」


「構わんよ。君には並外れた才能がある。私が開発した風魔法のウィンドヴォーチェをその年齢でここまでよく使いこなしたものだ。…ああそうだ、見返りは一切いらないよ。宮廷魔法士となって得られる権力も富も全て君のものだ。君が他の貪欲な貴族の元へ行って、ソイツらのいいなりになるのを阻止するという目的が最優先なのでな。」


そう言って公爵は悔しそうに自分を睨み付けている数人の貴族に分かりやすくニヤッと笑ったのだった。



これが王国史上最年少の宮廷魔法士総司令官ヴィアン・ヴァスターナを語る上で必須になる伝説の“龍の舞”である。


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