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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
夏休み~Dランク昇格編~

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不安定な心との決着

鑑定!


夢境の首飾り 品質:良


説明:これと対になっている“夢幻の首飾り”を着け

   ている者の夢に入ることができる。(夢での受

  け渡し可能)



なるほど…ホントにここは別世界なんだな。


コンコン


「…カイ、起きてる?中に入れてくれへん?」


声的にコウか


そう思って鍵を開けようとした。


…まて、なんで僕は鍵をかけているんだ?



__寝ている間に殺されるかもしれないという恐怖があったからだ。



!!お前は、誰だ?



__ボクは君の心だ。



ライが殺し忘れた悪霊なのだろうか?


それじゃあボクは誰に殺されるかもしれないと思っているんだ?



__ボクがコウ達に、だ。



じゃあライの『本当の意味で仲間を信頼しているのか』という問いの答えは…



__もちろんNOだろうな。ボクが人を信じるなんてありえない。



彼らは信じてくれた、なのに、、僕は、、ぼくは、なんて最悪な人間だろうか…



__コウ達を利用して必要なくなったらポイかぁ。

 我ながら酷いねぇ?


そう言って僕の中の人は気味悪げに嗤った。


ああ、ああ、こんなんじゃ今扉の向こうにいる彼に顔向けできない。


今さらこんなことに気づくなんて…


そう思って自分の部屋の窓を開けて飛び降りた。


---------------------------------------------------------------------------------------------


「うーん、出てこうへんな…」



「寝てるんじゃないか?」



「物音が聞こえた気がしたんやけど気のせいやったんかな…?」


2人がそんなことを話していると公爵が歩いてきた。


「コウ君、そしてイリアス君も少し離れてくれ。」


どうやら扉をぶち破る気のようだ。


「おっちゃん、合鍵持ってへんの?」



「ああ。合鍵を作ったことがバレたらカイが余計に警戒するだろう?」


その言葉に皆納得する。


「ぶっ壊す必要ある?カイ、寝てるだけかもしれへんで?」



「いや、気配がないからいないだろうな。」



「えっ、それやったらなんで」


ぶっ壊すん?


と聞きたかったがその前に扉がおっちゃんの蹴りにより壊れた。


「やっぱり窓から外へ出たか…フィオレーナもよくした手だが親に似たな。」



「えっ、ここ三階やと思うねんけど。」



「ハルシャ家の者は身体が特別丈夫だからな…骨折はしてないだろう。」



「おっちゃん、俺心配やし探してくるわ!」


そう言ってコウが駆けていく。


「ルークスさん、やっぱりカイの人間不信は治らないと思いますか?」


心配そうにイリアスが言う。


「今まで君たちはカイと本音で語り合ったことは一度もなかったと思うが、コウ君がその厚い壁を今日この扉のようにぶち壊せるかにかかっているだろうな。」



「僕に出来ることは余計なことをせずに見守ることだけでしょうか?」



「まあそうだな。コウ君が一番付き合いが長いのだから彼にまかせるべきだろう。さて、玄関からこの部屋までの人払いをするか」


そう言って公爵とイリアスはカイの部屋を出た。もちろん扉は新しい物を早急で設置された。


-------------------------------------------------------------------------------------------


コウ視点


「アイツどこに行ってん!」


屋敷の中には多分おらんし、外やとは思うねんけど…


俺が昔文字を教えてもらってた時もたまにパニックになってどっかに隠れることあったし今回もそういうやつやと思うねんけどな。


イリアスを仲間にした時あたりからなかったのになんで急に…


そういや、カイはいつも森林の中に隠れてたよな…

一番安心するとか言って。



公爵家が管理してる森林って確かあっちやったな。よしっ、行こか!














「カイ?」


そう俺が声をかけるとカイはビクッと肩を揺らして逃げようとした。


「まっ、待って!!俺、こっから動かんからカイも止まってくれへんか?」


素直に止まってくれたので、俺も動く気がないという意思表示をするために地面に座る。


「そろそろ俺らも腹わって話した方がええと思うねん。俺にはカイの気持ちがわからへん。でも、それはカイも同じやろ?だからさ、俺らも本音で話そうや」



「僕はコウ達を信頼していなかった。あわせる顔もないし、言うべきこともない。」


そう言ってカイはその場に座り込んでうつむく。


「カイが何を恐れてるんかは知らへんけど、カイが俺らを信頼してへんことぐらい皆わかってるで。」


俺のこの言葉が衝撃的だったのだろう。カイは酷く驚いていた。


「なっ、なんで…?」



「寝るときはいっつも最後に寝るし手には小さめの武器が添えられてる。鍵は絶対にかけるし自分の背中を任せようとは絶対にしない。普段一緒に生活してるんやからそれぐらいのことはわかってもおかしないやろ?」



「なら、、なんで…」



「一緒にいるかって?そんなん皆カイのこのが好きやからに決まってるやん。好きでもないのに一緒におったりはせえへんよ。別に10年の付き合いってわけでもないし信頼でけへんのは仕方ないで。たとえ一生信頼してくれへんでも俺は別に構わへんし。カイと一緒に世界を見てみたいからそんな些細なことは気にせえへん。信頼したいと思ってくれているだけで俺はすごく嬉しい。」


昔何があったんか詳しくは知らんけどカイの心の傷は思っていたよりも大きいものや。


それを全て一人で抱え込む必要はないんやで、カイ


「…ずいぶん人間らしい表情ができるようになったな。」



「…うるさい」



「言うようになったやん。…そんじゃ皆心配してるから帰ろう?」


そう言って右手を差し出すと掴んでくれた。


「…言っとくけど夕食は部屋で食べるよ。こんな姿、見せたくないし。」


と不貞腐れて言うカイに少し笑う。


おっちゃんが人払いをしてくれているとふんで、二人でゆっくりと帰った。

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