様々なGAT
今回は新しいGATが出てきます
伊部牧との話し合いを終えた剣也達は自宅へと帰りながら色々と話し合っていた
「・・・伊部牧さんには悪いけど・・・やっぱりヤマトを持ってるのって危険じゃない?」
「でも警察に渡せないんだったら僕達みたいな子供が持っている方が安全だよ
そんな重要な物を子供が持っているなんて普通の人は思わないだろうからね」
「それよりも問題はこのヤマトに搭載されたコアユニットを誰が作ったのかって事だろ?
俺達はそう言った事を調べられないけど・・・少なくとも複製される可能性はあるんじゃないのか?」
確かに剣也の言う通りいくら時間が掛かると言っても複製自体が出来ないわけではない
今はヤマトを狙ってくる可能性があったとしても手に入らないとなれば複製する可能性は十分にある
だからこそ複製されてしまう前にコアユニットを作り出した者達を捕まえたいと思ってはいるのだが
「・・・人物の特定は不可能・・・伊部牧さんの話では当時の研究に協力していた人数は十名以上
それ以外にも自分達の研究を知っていた人物は百人を超えると言っていた・・・
そんな中から手掛かりもなしに今回の犯人を見つけるのは無理・・・」
「ですよね〜・・・そんなに甘くないと思ってたけど・・・やっぱり無理か・・・」
「それに!警察が関係してるなら間違いなくそこら辺の後始末もしてるでしょうから
どう頑張ったって私達じゃ何も出来ないわよ!」
乙女の言う通りこの事件には少なくとも警察の偉い人が関係しているはず
ならば学生である剣也達がどんなに頑張ったとしてもなんの成果も得られる事はないだろう
彼らに今、出来るのはヤマトを狙っている悪い連中を待っている事しかないというわけだ
「・・・でも・・・待つのなら・・・一つだけいい方法がある・・・!」
「いい方法?待つだけなのに相手が寄ってくるような方法なんてあるの?」
「確かこの近くのバトルスタジアムで大会があったはず・・・知名度は低いけど・・・」
「そうか!その大会にヤマトが参加して活躍すれば向こうも気づくはず!
それを利用してその悪い連中を誘き出そうって事なんだね!?」
「そういう事」
地元の大会では効果はあまり期待出来ないだろうがそれでもやらないよりかはマシだろう
それにヤマトは武器を持てないのでそう言った意味では良くも悪くも目立つのは間違いない
「・・・えっと・・・つまり俺はその地元の大会に参加しなくちゃいけないって事か?」
こうして剣也も地元の大会に参加する事になったのだった
翌日になり剣也達は優にお願いして今日もフィールドを使わせてもらおうと思ったのだが
「・・・なんで・・・増えてるんだろうね・・・」
「すいません・・・三夏ちゃんがどうしてもって・・・」
「え〜?私だけ〜?歌女ちゃんだって先輩がどんな風に戦いのか知りたいって言ってたじゃん!」
「それは大会でも見れるから大丈夫だって言ったもん!」
「あれ?そうだっけ?」
何故か優の家にやってきたのは剣也達四人だけではなく後輩の歌女と三夏も一緒だった
どうして彼女達まで一緒にいるのだろうと思っていたがどうやらその理由は剣也の戦う姿を見たかったようだ
「まぁ僕としても別にお客さんが増えたところでそこまで困ってはいないよ
それよりも地元の大会に参加する事にしたんだね?理由は聞かないけど負けないからね!」
「おう!大会に参加する以上は優もライバルだ!・・・ところで今日は誰とバトルすればいいんだ?」
「はいは〜い!それなら私とバトルしましょう!」
「三夏と?確かにバトルした事のない相手とするのが一番か・・・よし!やろう!」
剣也は三夏とのバトルを受け早速、フィールドにヤマトを設置してバトルを開始する
(三夏のGATは前に見せてもらった事はあったけど・・・実際のバトルスタイルはどんな感じだ?)
「それじゃあ行きますよ〜!はぁぁぁああ!!」
三夏のGATである虎娘は速度に秀でている機体のようで凄い速度でヤマトに突っ込んでいく
しかし速度という意味ではヤマトも負けてはおらず最初の攻撃は見事に躱すのだが
そこからしなやかにまるで新体操のような動きで攻撃され続けていた
「このGATは他のものよりも可動域が広くて人間に近い攻撃が出来るのか・・・!」
「それだけじゃないですよ!本来なら人間では絶対に出来ない体勢からの攻撃も出来るんです!」
確かにGATはあくまでも機械なので人間の限界可動域に縛られる理由はない
つまりスポーツ万能の三夏にとってまさに虎娘は自分の理想的な動きを実現してくれるGATなのだ
「流石にこんだけ無茶苦茶で変幻自在な攻撃をされたら普通はひとたまりもないだろうが・・・!」
「凄いです・・・!私の攻撃をさっきから紙一重で躱してる・・・!なんて反応速度!」
しかし剣也も負けておらずヤマトの反応速度のおかげで攻撃を先ほどから紙一重で躱しており
いくらかの攻撃を受けて徐々に動きが見えてきたのか蹴り上げられた足を掴んで投げ飛ばし戦闘不能にした
「負けた〜!まさか初見で私の攻撃を見切られるなんて〜・・・」
「それじゃあ次は僕のダビデと勝負しよう!」
次に勝負を挑んできたのは優であり手に持っていたGATは他と比べて大型な感じだった
優はダビデをフィールドにセットしてすぐさまバトルを開始する
ダビデの装備はバズーカで派手な攻撃でヤマトを追い詰めていくが弱点はすぐにバレてしまう
(ダビデはパワー型のGATでさっきの三夏ちゃんみたいなスピードはないのか・・・
というよりも優の戦闘スタイルが乙女以上の猪突猛進って感じなんだな)
これならばもう攻撃を受け続ける必要もないと剣也は一気に突っ込んでいく
バズーカは攻撃力が高い分、弾速は遅いのでヤマトの反応速度でも十分に躱す事が出来た
最後は懐に入り込んでダビデの頭に拳を振り上げて戦闘不能にした
「まさか僕のダビデが負けるなんて・・・!流石は剣也君と言うべきか・・・!」
「いや・・・どう考えてもあんたの戦い方が酷すぎるだけよ・・・剣也じゃなくても負けるわ」
「確かに・・・これじゃあ大会でも一回戦負けしちゃうかも・・・」
「むぅ・・・やはり特訓あるのみか・・・!」
自分の戦い方を見直す事にした優は清志郎や乙女と戦い始めてしまい剣也は少しだけ休憩をする事にした
「いや〜!それにしても剣也先輩は流石ですね!まさか負けるとは思ってませんでした!」
「そう言う三夏ちゃんも凄かったよ。それにしてもGATは様々な特徴があるんだね」
「そりゃあそうですよ!そうだ!歌女ちゃんも先輩と戦ってみるのはどうですか!?」
「えぇっ!?でも私はバトルとか苦手で・・・そんなに強くもないですし・・・」
どうやら歌女も自分のGATを持っていたようで三夏に剣也と戦ってみればいいと言われるが
バトルはあまり得意ではないようで戦いたくはないと話していると
「それならどんなGATなのか見せながら教えてくれないか?それくらいならいいだろ?」
「・・・分かりました・・・それくらいならいいですよ」
歌女はカバンの中から自分の所有しているGAT・セイレーンを取り出した
「それが歌女ちゃんのGATか・・・なんかまるで人魚みたいな見た目だね?」
「実際に人魚をモチーフに作られていて足はヒレに変形するようにもなっていますから」
「マジで!?って事は地上での戦いよりは水中での戦いが得意って事なのか・・・」
やはりGATにとって得意な事はそれぞれに異なるのだと剣也は改めてその奥深さを知る事になった
(でも・・・これくらいで知った気になっちゃダメだ・・・!もっともっと知らないとな!)
一方その頃、伊部牧は大樹所長の元を訪れて剣也達に全てを話した事を伝えた
「そうですか・・・全てをお話になったのですね・・・それにしても・・・」
「うむ・・・まさか獣兵衛の孫娘まで関わってくるとは・・・これも運命なのかのう・・・」
「そうですね・・・そういえばヤマトの件なのですが・・・やはり極秘裏に調べるには時間と人手が・・・」
「足らぬか・・・やはり表立って捜査できないのは痛いのう・・・」
警察関係者が今回の事件に関与しているので流石の大樹署長も動く事は出来なかった
信頼出来る部下に一応の捜査はさせているがそれでもバレないよう慎重にやらせているので
普通に捜査するよりも時間が掛かってしまうのは誰でも理解出来る事だった
「出来る事ならば向こうから尻尾を出してくれるとありがたいのですが・・・」
「ここまで用意周到に計画しておるような者達がそう簡単に尻尾を出すわけなどなかろう・・・
もしも尻尾を出したとしてもおそらく黒幕までは辿りつけぬじゃろうて」
流石の伊部牧も今回の相手は尻尾を出したところでトカゲのように切られるだけだと考えていた
つまり結局は自分達の手で黒幕を暴き出して捕まえるしかないというわけだ
「・・・やはり鍵を握ってくるのは・・・ヤマトを託したあの少年ですか・・・」
「うむ・・・あの子がこれからどう動くかによって悪者の動きも変わってくるじゃろう
しかし気になるのはやはりあの手紙じゃ・・・」
「獣兵衛さんのお孫さんに送られてきたという手紙ですか・・・確かに気になりますね
その手紙に書かれていた内容もそうですがその目的に関しても謎です」
蜜柑が五年前の事件で意識不明をなった者の親族だという事はどこにも話してはいなかった
情報規制もしていたのでバラされる心配もなかったのだが何故か手紙の送り主はそれを知っていた
しかも蜜柑を誘い出す為ではなく守る為に近づくなという忠告の手紙だった
それこそが二人にとって最も疑問に思っている部分なのだ
「あの子を近づけなさせない為ならばおそらくそんな手紙を送らない方が良かったはず・・・
それにも関わらずそんな気になる文章を送れば逆に近づかせてしまう事になるはずだと・・・」
「・・・もしかしたら・・・逆に彼女を剣也君に近づかせる為にあんな手紙を送った可能性もあるな・・・」
「馬鹿な!?一体、何の為にそんな事をする必要が!?」
「分からぬ・・・こればかりは書いた本人に聞かぬと無理じゃろうな・・・」
『・・・これでどちらも見守れるから丁度いいか・・・
しかし伊部牧め・・・!余計な事を言いおって・・・!』
謎が深まっていくばかりの事件
果たして剣也達の作戦はうまくいくのだろうか!?