ヤマトのいない日
彼らが動き出す・・・!
この日、剣也は伊部牧に呼ばれて警察署まで向かう事になっておりそれには清志郎達も同行した
もちろん彼らも勝手についてきた訳ではなくちゃんと呼ばれたからこそ剣也と一緒にやってきた
そして剣也達は警察署に着くと婦警が会議室まで案内してくれてその部屋には伊部牧と大樹署長の姿があった
「おお!よく来たの!実は剣也君にはこれからワシと一緒にとある場所へと向かってもらう
清志郎君達はここで大樹署長から話を聞いて欲しいんじゃ!それじゃあ早速で悪いが行くぞ!」
全く訳も分からないまま剣也は伊部牧に連れられて警察署の外へと出ていく事になった
そして車に乗せられて到着したのは巨大なビルの前でありそこに入ると中には信侍の姿があった
「信侍さんがいるって事は・・・もしかしてここ・・・GATを作っている会社なんですか?」
「その通りだよ。ここは俺が所属している企業の会社なんだ。早速で悪いけどヤマトを貸してもらえるかな?」
剣也は言われるがままにヤマトを信侍に託すと何やら凄い機械のある部屋へと案内されて
そこの機械の一つにヤマトが置かれるとまるで危険物でも調べるかのように解析が始まった
「実はこの前の戦いで倒したGAT・・・あれに対抗する為にはヤマトの力は必要じゃろうが
向こうが同じ性能のGATが複数いるのに対してこちらは数が少ない・・・
じゃからこそ今の内にヤマトの解析を進めてGATを強化出来ないかと考えた訳じゃ」
「そうだったんですか・・・でも・・・この解析をしている間はヤマトを使えないんじゃ・・・」
そう・・・実を言うと問題なのはこの解析を進めている間に事件が起こってしまった場合の対処だった
先ほども話していた通り、彼らのGATに唯一対抗出来ているのはおそらくこのヤマトだけ
それが使えないとなると幹部が動かれた場合、それに対処する事は出来ないと言う事だ
しかし伊部牧達もそれを考えていないわけではなくちゃんとした理由があってヤマトの解析を進めていた
「流石にあれだけの事件を引き起こした後じゃし何よりもヤマトの攻撃で破損しておるからのう
そんな簡単にまた行動を起こせるとは思えん・・・だからこそ今しかないと思ったと言う訳じゃ」
確かに伊部牧の言う通りあれだけの事件を引き起こした後ならば警察組織なども最大限の警戒をしており
そんな中で行動するほど彼らも馬鹿ではないと伊部牧は考えておりだからこそ今、ヤマトの解析をしていたのだ
(と言ってもこれはあくまでも確率の話じゃからのう・・・それに幹部が動かない可能性はあっても
彼らの手下が動かないと言う保証まではないからのう・・・まぁ・・・じゃから清志郎君達を呼んだのじゃがな)
今頃は清志郎達も大樹署長から同じような説明を受けている頃合いだと思いながら伊部牧は解析を進めるのだった
一方その頃、大樹署長から大体の話を聞いた清志郎達は最後に自分達が呼ばれた理由を聞かされていた
「・・・というわけでしばらくの間、剣也君は戦いに参加する事は出来ない・・・
そこで君達に警護の手伝いをしてもらいたいんだ。おそらく今回の事件で彼らは確信したはずだ
剣也君とヤマト・・・この二つが自分達にとって最大の脅威であるという事を・・・!」
彼らが呼ばれた理由とは他でもない剣也とヤマトの二人を護衛する事を手伝ってほしいからだった
この前の事件で大樹署長達は剣也とヤマトが敵にとって最大の脅威になったのではないかと考えていた
だからこそ次にもしも彼らが動く事があるとするのならば直接、彼を狙ってくる可能性があると
そして今はヤマトを解析に出している為、戦う事が出来ず一方的にやられる事は明確
「それで僕達に剣也君の護衛をお願いするってわけですね?ヤマトは会社にいるから警備は部隊の人がしますけど
剣也君は学校などがあるから護衛をするにしても学校の中にまで入れる人物じゃないといけない・・・
つまりは僕達以外に剣也君を護衛出来る人物がいないからこそのお願い・・・ですね?」
「なるほど・・・確かにそれだと適任者は私達しかいないってわけか・・・
まぁお願いされなくても剣也は友達だもん!どんな相手が来ようと絶対に守ってみせるわ!」
どうやら大樹署長がお願いするまでもなくみんなは剣也を守るつもりでいたようで大樹署長は安心していた
(・・・だが・・・問題は果たして彼らだけで対処可能な敵が出てくるかどうかだな・・・
幹部が出てくるとは流石に思えないが・・・彼らのこれまでを考えるのなら私達の常識は通用しない・・・
もしもの時は我々、大人が覚悟を決めなくてはいけないだろう・・・この命に変えても・・・!)
大樹署長はたとえ自分の命を犠牲にしたとしても彼らだけは守ろうと決意を固めていた
そんな中でたった一人、蜜柑だけは彼らとは別の事を頭の中で考えていた
それは前に剣也の事を助けてくれて合宿所で囚われていた研究者を救出してくれた謎の人物とそのGAT
(・・・もしも彼にコンタクトを取れて協力を取り付ける事が出来たら・・・心強いんだけど・・・)
あれほどの実力者ならばおそらく自分達の足りない穴を埋めてくれるだろうと蜜柑は考えていた
しかし相手は顔はおろか名前すらも知らない人物でありその人が操っているGATすら自分達は見ていない
見た事があるのは剣也だけだがGATだけで人が特定出来るわけでもなく蜜柑は諦めるしかないと考えていた
(・・・お爺ちゃん・・・こんな時、どうすれば兜君の役に立てるのかな・・・)
そう思いながら蜜柑は外を見ておりそんな彼女を隣の屋上から見ている謎のGATの姿があった
『ふむ・・・どうやらまた・・・俺が出ていく事になりそうだな・・・』
一方、敵の研究施設ではミッドレイからの命令で例のエネルギーを使った新しいGATDが開発されていた
その姿はまるで神話の中に出てくる怪物・ヒュドラのように首が複数あり巨大な体を持っていた
「どうですか!?これこそが新しく我々が開発したGATD!その名も『ナーガ』!
八つある首にはそれぞれ特殊なビーム砲が搭載されており全方向からの砲撃が可能!
そして胴体部分には近距離戦用の小型機銃が無数に内蔵されており
更には近づかれた場合の事を考えて鋼鉄を切り裂くチェーンソーも内蔵されております!」
「へぇ?まさに至れり尽せりって感じだけど・・・もしかしてこんなに武装を積んだのは例の件があるから?」
今回の目的は新しいGATDで何か事件を起こす事ではなくあくまでも莫大なエネルギーを使うのに対して
どれくらいの耐久力が必要になってくるのかという実験テストに他ならない
だからこそ研究者達は持てる技術の全てを使ってこれだけの武装をナーガに搭載したのだ
「それじゃあ早速だけどテストをするとしましょうか?相手は・・・普通のGATDでいいかしら?」
「いや・・・悪いがコイツのテストは中止だ・・・面白い情報を手にしたからな・・・」
ミッドレイが早速、ナーガのテストを始めさせようとした時、突如としてリーダーが現れて中止を宣言した
一体どうしてなのだろうと全員が思っているとリーダーは一つの写真を取り出しミッドレイに手渡した
「・・・へぇ?どうやら今、あの坊やの手元にはヤマトって言うGATはないみたいね?」
「ああ・・・これは我々にとっては好都合・・・もはやあの少年は危険因子に他ならないからな
ここで潰しておく必要がある・・・という訳で性能実験は彼で試させてもらうとしよう・・・!」
もはやこれ以上は剣也達の存在を見逃しておくわけにはいかないとリーダーは考えたようで
今回の実験をする対象として剣也を抹殺する事を決めたのだった
(流石に子供を殺したとなれば警察組織も大掛かりに動いてくるようにはなるだろうが仕方あるまい・・・
もはやそれほどまでにあの少年は我々にとって脅威となってしまった・・・
彼には申し訳ないが短い人生として・・・その幕を下ろさせてもらおう・・・!)
そんな中で剣也の事を気に入っていたミッドレイは少しだけ不服そうな顔をしていたが
リーダーに逆らうわけにもいかず、今は彼がどうやってこの状況を乗り越えるのかを見守る事にした
(はぁ・・・どうせだったら私がこの手で遊んであげたかったんだけど・・・
まぁこれくらいの事を乗り切れないようじゃ本気の私と戦うなんて出来ないでしょうし・・・頑張ってよね?坊や)
その夜、ヤマトを伊部牧達に預けて家へと帰ってきた剣也だったのだがどうにも落ち着かない様子だった
(ううん・・・なんかヤマトを持っているのが当たり前で何をするでも連れてらからな・・・
いざ手元にないとここまで落ち着かないとは思ってなかった・・・どうしよう・・・)
どうやら剣也が思っていた以上にヤマトという存在は彼にとってなくてはならない物だったようで
たった一日だけだというのにどうすればいいのだろうと完全に手持ち無沙汰な感じになってしまっていた
するとそれを見かねたのか次郎と雲母の二人が剣也に飛びついて来て急に自分達のGATを見せてきた
「兄ちゃん!俺達にもっとGATの事、教えて!俺も兄ちゃんみたいに強くなりたいんだ!」
「私ももっと知りたい!GATってどんな事が出来るのか、いっぱい教えて!」
「二人共・・・そうだな・・・!それじゃあ俺が教えてもらった限りの事を教えてやるよ!」
それを聞いて二人はとても嬉しそうな顔をしながらソファに座り剣也の話を真剣に聞いていた
その様子を見ていた剣也の父は先ほどまでの挙動不審な感じが嘘のようだと少しだけ安心していた
(・・・大会で剣也が戦っている姿を見て二人もGATにハマってしまったみたいだな・・・
私はGATの事は何も知らないし力になれる事なんてないのかもしれない・・・剣也に任せっきりになってしまうが
あの様子を見る限りだとそこまで心配しなくてもよかったのかもしれないな・・・)
三人の楽しそうな姿を見て剣也の父はGATを与えて本当に良かったと微笑むのだった
ヤマトが手元にない剣也
そんな最悪の状況の中で命を狙われる!?




