奪われた物
今回は伏線回になりそうです
あの後、すぐに大樹署長達が信侍の持っていた発信機を頼りに拠点の場所へと突入してきた
しかしそこにはもう既に彼らの姿はなく成果として残ったのは奪われた例の鉱石だけだった
「しかも既に鉱石の中にあったであろうエネルギーは奴らによって回収された後じゃったわい・・・
ワシらはまんまと時間稼ぎの片棒を担いでしまったと言うわけじゃ・・・悔しいがのう・・・」
鉱石を取り返してすぐに調べて分かったのだが、肝心のエネルギーに関しては既に抽出を終えられており
取り返した鉱石はもはや宇宙からのやって来たという事以外では全く意味のない石に変わっていた
「まぁあれだけの幹部が囮になるなど珍しい事ではないでしょうな・・・それに聞く限りは彼は力専門・・・
つまりは戦うだけに特化した幹部と言った感じでしたからね・・・しかし問題は奪われたエネルギーですか」
「うむ・・・あれは前にも話した通りこの日本を吹き飛ばせるほどのエネルギーが内蔵されておった
それを丸々、彼らの手に落ちたと考えると・・・もはや国家レベルの犯罪者と言ってもいいじゃろうな・・・」
今回の一件でもはや彼らが日本だけで収まるような犯罪者組織ではないと伊部牧達は考えていた
だからこそ世界に対して彼らへの警戒を強めるように告げる必要があるのではないかと
するとその言葉を聞いた大樹署長は何かを知っているようで伊部牧達にとある資料を見せた
無言で渡されて伊部牧達は何なのだろうと思っているとその資料には驚くべき事が書かれていた
「これは・・・!?まさかこの日本だけではなく他の国でも同じような犯罪が起こっておったのか・・・!」
「ええ・・・この事実を知るのにかなりの苦労をしましたが・・・
どうやら彼らは最初から世界的な犯罪組織だったようです・・・
しかもさらに危険なのは他の国でも未だに対処出来ていないと言う部分です・・・!」
大樹署長の話を聞いて伊部牧達は他の国ですらも未だに対処が出来ていないと事実に驚くを隠せなかった
何故ならばGATを作り出した国はこの日本ではあるが世界のGAT開発の技術も引けを取らない
いや・・・それこそ日本を上回るGATやファイターだっているはずなのに対処が出来ていないのだ
つまり例の組織はそれほどまでに危険なグループという事であり同時に対処にも時間が掛かるという事
「・・・正直な話をしますが・・・伊部牧さんから見て彼らの使っている軍用GAT・・・
アレを超えるようなGATが出て来た場合・・・私達はそれに対処する事が出来ますか?」
「・・・はっきりと言おう・・・もしも幹部が持っていたようなGATすらも上回るような物が出てきたら・・・
それはもはや人類の脅威となる戦略兵器と同義じゃ・・・対処など・・・出来るわけがない・・・!」
一方その頃、拠点へと戻ってきたミッドレイ達はリーダーに作戦は成功した事を報告していた
「・・・どうせだったら彼らも倒して欲しかったんだが・・・
まぁあの元日本チャンピオンがいたのでは無理も出来ないですね・・・それに・・・武器の合体・・・」
「ええ・・・この目で確認したけどセベクの腕を両断するだけの威力はあったわ・・・
今の技術力ではあの攻撃を受け止めるのは不可能かもしれないわね・・・どうするの?」
エネルギーを手に入れたところであくまでもそれは機械を動かす動力でしかない
つまりエネルギーとは別に例の攻撃に耐えられるだけの金属も手に入れる必要があるという事だった
「・・・まぁそれに関しては科学者達が必死に答えを探し出すはずだ・・・問題はそれよりも・・・」
「このエネルギーをどうやって一つのGATに入れるかって事でしょ?確かにこれだけのエネルギーともなると
その器も簡単な物じゃすぐに壊れる可能性があるものね・・・
そう言った意味じゃ機体の装甲よりも問題になりそうね?・・・何かでテストでもしてみる?」
ミッドレイの言う通り、ぶっつけ本番でエネルギーを消費してしまえば奪ってきた意味がなくなってしまう
だからこそ何かでどれほどのパワーを生み出す事になるのか実験をする必要があるのだが
問題はやはりその入れ物であり中途半端なものでは試す前に動かすだけで壊れてしまう可能性があった
「そうだな・・・確か例の研究チームが名誉挽回の為に新しいGATDを作っていたのだったな・・・
面白い・・・今回は彼らにその役目を一任してみる事にしましょうか・・・戦闘データも欲しいですしね」
「いいの?彼らは一度、失敗している身なのよ?また失敗される可能性だってあるんじゃないの?」
確かにミッドレイの言う通り彼らは既に大きな失敗をしておりその尻拭いをさせられた事もあった
しかし別にリーダーはその事に対して特に気にしている様子もないようでむしろ好都合だとばかりに笑っていた
「確かに彼らは失敗しました・・・だからこそ今度は失敗しない為にそれこそ何でもするでしょう?
私はそこを利用するだけ・・・最初から彼らには期待もしていないし信用もしていないのですよ・・・」
「・・・本当に冷酷な男ね〜・・・まぁだからこそ私達のリーダーをしているんでしょうけど・・・
それじゃあリーダーの代わりに私が彼らに説明してくるとするわ〜・・・そっちの方がリアリティがあるでしょ?」
ミッドレイも同じくこの状況を楽しんでいるような節があり例の研究チームの元へと向かっていった
そんな彼女を見送りながらリーダーである男が考えていたのはアルゴを退けた剣也とヤマトの事だった
(例の二人・・・まさかミッドレイだけではなくアルゴまで退けるとは・・・
この目で直接、見極める必要があるかもしれないな・・・この先の計画を成功させる為にも・・・!)
その次の日、大樹署長達は鉱石を例の博物館に返却した後、即座に会議を開いていた
議題はもちろん盗まれたエネルギーを彼らがどう使うのか、そして彼らの目的についてだった
「盗まれたエネルギーはこの日本を消せるだけのパワーがあるんですよね?脅しとかには使われるのでは?」
「それはないだろうね・・・彼らには脅して何かを叶えようとするメリットがそもそもない」
信侍の言う通り彼らにはエネルギーを引き換えに何かを交渉するようなメリットはないのだ
何故ならば彼らほどの力があればそれ相応のものはどこからでも手に入れる事が出来るから
現にその力を使って彼らは鉱石を奪取しこうしてエネルギーを回収されてしまったのだから
「となるとやはりエネルギーの使い道は新しい兵器の開発・・・と言ったところでしょうか?
流石にそれで何をするかまでは予想出来ませんが・・・問題はそのエネルギーを動力とする器・・・ですね?」
「うむ・・・ワシもアレほどのエネルギーを兵器に利用した場合の事は計算したのじゃが・・・
とてもではないが地球上にあるような物質ではあのパワーに耐える事は出来ん・・・」
どうやら伊部牧はすでに彼らが奪ったエネルギーを兵器として利用する可能性を考えて
その計算を進めてくれていたらしいのだが結果としては思ったよりも上手くはいっていないようだった
しかしこれは逆を言えばいい事であり例の組織ですらもその扱いには困っているという証明でもあった
「奴らがすぐにでも兵器開発を進めるとはとても思えんが・・・それでも警戒は必要じゃろう・・・
特に何かしらの重要な施設な狙われる可能性はこれから高くなってくる・・・気を引き締めておいた方がいい」
「・・・伊部牧さん・・・科学者である貴方の意見として・・・敵の幹部が操っていたGAT・・・
その腕を斬り飛ばしたヤマトに関して・・・正直にどう思っているのか・・・教えてもらってもいいですか?」
そんな中で信侍が気にしていたのは彼らに唯一、対抗出来る可能性がある存在・ヤマトについてだった
昨日の戦いで剣也が自分の弟にも引けを取らないファイターだという事は理解出来たが問題はヤマトの方
「あれは俺の見た限り、普通のGATではありませんよね?かといって違法に改造されているわけでもない・・・
となると・・・あのGATにはおそらく俺達ですらも知らない何かがあるって事なんじゃないですか?」
その言葉を聞いて伊部牧は本当の事を告げるかどうかを悩んでいる様子だった
それは過去の自分の行いを告白する事が怖いのではなく
剣也からヤマトを取り上げる事になるのではないかと恐れているからだった
すると隣にいた大樹署長が大丈夫だと伊部牧を励ますかのように肩に手を置いて立ち上がった
「それに関しては私から話そう・・・過去の事件・・・そしてヤマトの秘密を・・・!」
一方その頃、剣也はこの前に起こった事件について、清志郎達に話していた
「そんな事が・・・彼らの動きもだいぶ本格的になってきたね・・・僕達も警戒しないとね・・・
それよりも!ヤマトの武器が合体したって話だけどそれってどんな感じなの!?」
「あっああ・・・モニターの画面には『オオヤマト』って表示されてたな・・・
威力に関しては個別で使っている時の倍はあったと思う・・・多分だけど・・・切れない物はない・・・」
剣也の言葉を聞いて清志郎は感動しているのに対して他のみんなは若干、引いている様子だった
ただでさえ強いヤマトに伝説級の装備が手に入ったという話なのだから当然と言えば当然の反応だろう
しかし問題なのはやはり当初の設計図ではそんな機能は搭載しておらず誰が手を加えたのかと言う事だった
「ヤマトといいその武器といい・・・どうなってんのよ・・・アンタの周りは・・・」
「・・・まるで何かの意思が兜君を戦いの場へと導いているようにも感じる・・・」
確かに蜜柑の言う通りここまでお膳立てをされているともはや何者かの意思を感じてしまうだろう
分からないのはどうして剣也が選ばれたのかという事とここまでの事をして何が目的なのかという事だった
「・・・まぁ何にしてもこれで俺はもっと強くなれるんだ!後はこれを使いこなせるようにならないとな・・・!」
奪われたエネルギーを利用しようとする敵
果たして次に現れるのはどんな兵器なのか!?




