オオヤマト
ヤマトが新しい力を発揮する!?
何故か自分が戦っていた場所だと言うのに先程とは打って変わって別の場所かのように瓦礫が散らばっており
アルゴは自分が戦っている間に一体、何が起こったのだと思っているとそこでようやく伊部牧を視界に捉える
「なるほどな!貴様が戦っている間に何かを仕掛けていたというわけか!それで?一体、何をしたんだ!?」
「別にそこまで大層な事をした訳ではないわい・・・!お前さんが砕いたコンクリートの瓦礫を集めただけじゃ」
その言葉に嘘偽りなどは一切なく本当に伊部牧は二人が戦っている間に瓦礫を集めただけだった
しかし問題はそこではなく一体、何の為にこれだけの瓦礫を集めたのかと言う事
もちろんそれは目の前にいるアルゴという男を足止めする為であり彼に全力を出させない為の処置だった
(彼奴のパワーならば瓦礫は壊せるがそれはあくまでも正面に向けられる力じゃ・・・!
たとえどんな力であろうとも他の場所から飛んでくる力には弱く脆いというもの・・・!
つまりこれだけの狭い空間ではお前さんのパワーも十分には発揮されんという事じゃ・・・!)
伊部牧の狙いとはこれだけの瓦礫を集めて戦える感覚を狭める事でセベクに十分なパワーを発揮させない事だった
セベクのパワーはあくまでも全身の機能をフルに使う事で初めてその力を全力で使う事が出来る
逆を言えばどれか一つでも動きに差し支えが出るようでそのパワーを十分に発揮出来ないという事
その点では体の大きいセベクにとってはこの瓦礫という障害物の多いフィールドは致命的であり
少しでも全力で動こうとすれば先ほどのように瓦礫が邪魔をして一瞬ではあるが動きを制限されてしまう
(そしてその一瞬の隙さえあれば剣也君にとって絶好の反撃するチャンスとなる・・・!
じゃがこの作戦には一つだけ問題がある・・・それは剣也君自身も動きが制限されてしまうという事じゃ・・・)
実を言うとこの作戦にはもう一つの穴がありそれがヤマトの動きにも制限がついてしまうという事だった
流石に体の大きいセベクのように全ての瓦礫が邪魔になるというほどではないのだが近づく為のルートだ
この瓦礫はセベクの動きを封じる為のものなので破壊するわけにも
いかずとなれば近づく為には瓦礫を避けなくてはならないのだがそうなると走れる道が決まってきてしまう
流石に目の前にいるアルゴがそれを読み切れるとは思っていないがそれでも彼は野生の勘が鋭い
下手をしたら最小限の動きで最大限の反撃を喰らってしまう可能性も高くどちらにしても攻めるには危険
しかしそれでも先ほどに比べたら相手の動きを制限出来ている分、反撃される確率はかなり低いだろう
(これだけのお膳立てを伊部牧さんがしてくれたんだ・・・!なら俺達も覚悟を決めないとな・・・!)
剣也はこのチャンスを逃すわけにはいかないと覚悟を決めて一気にセベクへと突っ込んでいく
一方でアルゴもまた追い込まれている自分の状況に対して大いに喜んでいる様子だった
「ガハハハ!まさかこの俺が策で追い込まれるとはな!だが!所詮、ぶつかり合う時はパワーが物を言う!
たとえどんな攻撃であろうともこの俺のパワーで受け切ってみせようようじゃないか!!」
確かにこれまで剣也はアルゴに対してまともにダメージを与えられてはいない
つまり今、攻撃を繰り出したとしても本当にダメージを与えられる保証はどこにもなかった
それでもこのチャンスを逃すわけにはいかないと剣也は渾身の一撃を叩き込んだ
「!?こいつ!腕で防御しやがった!?しかも・・・硬ぇ!?」
しかし最悪な結果としてその一撃はセベクの腕を捉えたが斬り落とすまではいかなかった
(やられた・・・!おそらくあの腕には軍でしか使われていない強化型のパワーシリンダーが使われておる・・・!
そしてその重量にも耐えられるようにアーム自身の強度も尋常ではないという事か・・・!)
そう・・・実は伊部牧の想像している通り、セベクの腕にはどんな重量でも持ち上げられるように
軍でしか使われていない特殊なパワーシリンダーが内蔵されておりその強度も他とは違った
だからこそアルゴはあの一瞬で剣也の攻撃を見抜き最も装甲の硬い腕で防御する事を選んだのだ
渾身の一撃を受け止められたヤマトはそのままセベクの反撃を受けてしまい壁に激突してしまう
あれだけのパワーを持ったセベクに攻撃されればもはや戦闘不能は避けられないだろうと思っていたのだが
そんな伊部牧の予想を裏切るかのように土煙の中からボロボロのヤマトが現れ再び武器を構えていた
「ほう?俺に攻撃が当たる前に何とか状態を逸らして直撃だけは避けたというわけか!
面白い!だが・・・もはや風前の灯な事には変わりあるまい?そこからどうやって俺を倒す!?」
確かにアルゴの言う通りもはやヤマトにはまともに動きだけの機能など残されてはいないだろう
それでも何故なのか分からないが剣也にはまだ戦えるという謎の確信に近い何かがあった
どうしてそんな事を思うのか・・・それを考えた時に剣也が目にしていたのはボロボロになっているヤマトだった
(・・・なんでか分からないけどヤマトが俺にまだ戦えるって言っているみたいだ・・・
まだ自分には出来る事があるって何かを伝えたいような感じ・・・だったら俺は・・・それを信じる!)
「まだ・・・諦めてはいないと言うわけか・・・!本当に貴様は俺を楽しませてくれる!!
いいだろう!俺もこのままでは満足出来ずに終わってしまうところだった!今度こそ引導を渡してくれよう!!」
剣也は先程と同じようにアルゴに向かって突っ込んでいくがやはり彼は野生の勘で反応していた
その光景を見て伊部牧は今度こそヤマトが破壊されてしまうと思ったその時だった
「!?なんじゃ!?『ムサシ』と『シナノ』が急に光を!?」
ヤマトの手に握られていた二つの武器『ムサシ』と『シナノ』が急に光を放ち始めると
そこからは剣也も無意識だったのは二つの武器を重ねると合体を始めていき
そして巨大なる一本の剣『オオヤマト』へとその姿を変えた
「うぉぉぉおお!!」
剣也はその剣を振り抜くと先程の一撃では斬り落とせなかったセベクの腕で今度こそ斬り飛ばした
しかもそれだけではなくその攻撃の余波でセベクを吹き飛ばし壁に激突させた
これには流石のアルゴも驚きを隠せず先程まで戦いを楽しんでいたはずなのに今は目の前にいる男に恐怖を覚えていた
(この俺が・・・震えている・・・?まさか・・・恐怖しているというのか・・・この俺が・・・!)
「・・・ガハハハ!面白い!この俺に恐怖を覚え込ませるとは本当に貴様は面白い!!
いいだろう!ここからは手加減など一切せん!俺の全力を持って相手をしてやろう!!」
それはプライドの問題なのかそれとも恐怖を覚えた怯えからなのかアルゴは本気を出す事を決意し
剣也もそれに対抗しようとは思ったのだが正直な話、ヤマトはもはや限界に近い
このままではどちらが先に負けるのかは目に見えており伊部牧もここまでかと思った時だった
「悪いけどそこから先に関しては俺が代わりに相手をさせてもらおうかな?」
なんと二人の間に降り立ったのはノブナガであり剣也達が後ろを振り向くとそこには信侍の姿があった
どうやら全ての軍用GATとGATDを倒してきたようでようやく二人に追いついて来れたようだ
「すまなかったね・・・本当はもっと早く合流したかったんだけど裏技を使った影響があってね・・・
さてと・・・それじゃあここからは俺が相手をさせてもらおう・・・もちろん退屈はさせないぜ?」
「確かお前は・・・元日本チャンピオンの国崎 信侍だったな・・・!
いいだろう!お前も俺を楽しませてくれそうだ!思う存分、戦おうではないか!!」
片腕を失っているにも関わらずアルゴは戦う事を辞めようとは思っておらず信侍と戦おうとしていた
しかしそこへアルゴの後ろから部下の一人が入ってきて勝負を中断させる
「もう私達がやるべき事は終わりました!後はここから脱出するだけです!戦いはまた今度にしてください!」
「うむ・・・ここからが面白くなるところだったのだが・・・まぁ楽しみは後に取っておくとするか・・・」
部下の指示を聞いてアルゴは素直に撤退しようとするがもちろんそれを許そうとする信侍ではなかった
「そんな簡単にお前達を逃すと思っているのか!?悪いが色々と喋ってもらわなくちゃいけないんだよ・・・!」
「あら?イケメンさんに誘われるのは嬉しいけど・・・貴方は私のタイプじゃないのよね?」
「!?」
信侍は急いで攻撃を躱すとセベクの隣に並ぶかのようにミッドレイのGAT・ツバキが現れた
「部下から報告を聞いて駆けつけてみれば・・・思いの外、手酷くやられてるじゃないの?
まぁ・・・あの坊やがそれほどまでに成長したって事でもあるんだけど・・・」
「うむ!お前の言う通り尋常ではない成長速度だったぞ!生まれて初めて恐怖を覚えたわ!!」
その言葉を聞いてミッドレイはやはり自分の目に偽りはなかったと喜んでいる様子だった
そして満身創痍な剣也を目にするとまるで愛しい存在で見つめるかのような笑みを浮かべていた
「本当は坊やと楽しく遊びたいんだけど・・・今回は彼らの脱出を手伝うのが目的だから・・・
残念ではあるけど・・・また近いうちに会えると思うからその時・・・全力で遊びましょ?」
そう言ってミッドレイはスモークを撒いていき信侍は急いで追いかけようとしたのだが
その煙幕の中には軍用GATが紛れ込んでおり迂闊に動くのは危険だと判断して周りにいる軍用GATを処理した
もちろんその間にミッドレイ達は逃げており結局、誰一人として捕まえる事は出来なかった
「逃げられたか・・・出来れば一人は捕まえて情報を引き出しておきたかったんだが・・・
流石にこんな状態の剣也君を放っておけないし・・・今回は見逃すとするか・・・」
信侍が後ろを振り返るとそこには緊張の糸が切れたのか、気絶したように剣也の姿があった
「・・・本当にお疲れ様・・・」
新しい力・オオヤマトを使って見事にアルゴを退けた剣也
しかし事態は彼らが思っている以上に悪い方向に進んでいた




