激闘の果てに
いよいよ地区大会編終了へ!
鮫牙の攻撃方法を理解した剣也だったがそれを理解しても彼の怒涛の攻めを捌くので精一杯だった
それほどまでに鮫牙の攻めは苛烈なものであり剣也自身も改めて彼の強さを再確認する事になった
(強ぇ・・・!やっぱり鮫牙は俺が戦った他の誰よりも・・・!だからこそ勝ちたい!)
「いくぜヤマト・・・!俺とお前で鮫牙を・・・限界を超えて倒すんだ!!」
剣也と叫びに対してヤマトは目を光らせる事で応えているようにも見えた
そして次の瞬間、ヤマトの動きが格段に早くなり先ほどまで捌くのが限界だった鮫牙の攻撃を華麗に受け流し始めた
しかもそれだけではなくまるで余裕と言わんばかりに歩き始めてその距離を縮めていく
(こいつ・・・!距離を縮めれば縮めるほど俺からの攻撃が激しくなるのにそれも捌いてやがる・・・!
本当に底が知れない男だ・・・!だが・・・近づいてきてくれるのは俺としてもありがたい・・・!
お前と俺・・・どちらの方が強いのかを真正面から決める事が出来るからな・・・!)
中距離から攻撃している鮫牙ではあるが実際に彼が得意としている戦い方は近距離戦
それ故にトドメを刺すためには大きなダメージを与えられるように近づかなくてはいけなかった
しかしそれを向こうから距離を縮めてくれるというのだからこれを喜ばない人間はいないだろう
問題はその近づいてきている相手が自分と同等かそれ以上の強さを持っていると部分なのだが
今の鮫牙にとってそれはもはや喜びでしかなくむしろ戦う事に対してワクワクしているようにすら思えた
「二人共なんて胆力だ・・・!一歩も譲らないし逃げようともしないなんて・・・!」
清志郎はそんな二人の戦いを見て素直に凄いという感想しか出てこなかった
それほどまでに二人共、譲る素振りも逃げる素振りも見せず距離を縮めていたからだ
普通ならば安全策をとって戦う部分でここまでリスクを背負うような人間はいないのだが
目の前にいる二人は全くの真逆でありむしろ近づく事を喜びとしているようにも思えた
すると氷塔があの二人ならばむしろそんな事すらも楽しんで当然だと清志郎に告げる
「あの二人は言うならば鏡合わせのような存在・・・つまり何を考えていても同じという事だ
自分と同じような存在が現れて喜ばないようなGATファイターは存在しない・・・!
特に・・・アイツらのような飛び抜けた強さを持っているのならば尚更な・・・
おそらくこの戦いはあの二人にとって・・・最も至福な時間だと言ってもいい・・・!」
しかしそんな至福の時間も必ず終わりの時がやってくるという事を彼は知っていた
そう・・・その時はもうすぐそこまで迫っていた・・・!
両者はお互いの武器が届く距離になった瞬間、先ほどまでの激しい攻防が嘘のように止んだ
もちろんそれは勝負が付いたからではなく逆にこれから勝負をつける為だった
この攻撃が始まれば間違いなくどちらが戦闘不能になるまで攻撃し続ける事になるだろう
それが分かったからなのか先ほどとは一変して会場も静かになっており二人が動き出すのを待っていた
みんながいつになるだろうと待っている中で二人が目を見開くと同時にその瞬間はやってきた
二人は火花が散るほどの凄まじい打ち合いを開始しており二体のGATは打ち合う度に傷が増えていく
その様子を見て流石の蜜柑達も心配してしまうほどに剣也が負けてしまうのではないかと思っていたが
そんな中で彼らの戦いを裏で見ていた伊部牧だけは全く別の感情を抱いている様子だった
(・・・この戦い・・・おそらくは勝っても負けても二人は賞賛される事になるじゃろうな・・・
正直な話、ワシですらこんな戦いになるとは予想しておらんかった・・・あの二人・・・
この先、良くも悪くも話題は彼らを中心に動いていく事になるかも知れん・・・
そして・・・あの組織もまた・・・二人の事を警戒するじゃろうな・・・)
伊部牧もまさかここまで両者の戦いが白熱するとは思っておらずしかも二人は例の組織にも目をつけられている
今回の大会でその注目度は更に増す事になってしまうだろうし何よりもその片棒を担いだのは自分
それ故に伊部牧は申し訳ない気持ちになってはいたが同時に心から彼らの戦いを楽しませてもらっていた
それこそ自分の孫を見ているような感覚ではあるがだからこそ申し訳ないとも思っていた
(おそらくは二人共・・・そんな事はないと言ってくれるのじゃろうな・・・
確かにワシが何かをしなくてもあの二人ならば活躍していたとしてもおかしくはないじゃろう・・・
しかし・・・それでも今回の一端を担ったのは他でもないワシじゃ・・・
そして・・・そんなワシに出来る事は二人の今後を見守り手助けする事だけ・・・不甲斐ないのう・・・)
改めて自分の無力さを考えていた伊部牧だったがそれほどまでに二人が強くなったとこの大会で証明してくれた
もしかしたら今後は自分の手助けなど必要ないのではないかと思ってしまうほどに・・・
それに対して嬉しいという気持ちがあると同時にどこか疎外感のようなものも感じてしまっていた
それでもこれまでの罪を償う機会だと思うのならばこれくらいは当然の事だと伊部牧は考えながら
二人の決着がつくのを見守っている中で大樹署長だけは彼の異変に気がついていた
(伊部牧さん・・・貴方が何を考えているかは分かりませんが・・・二人は貴方に感謝しているはずですよ・・・)
(そうでなければあそこまで嬉しそうな顔で戦ってなどいません)
両者は満身創痍ながらもまだ一撃分の余力は残されており二人は最後の一撃とばかりに武器を振り下ろした
そんな刹那の一瞬の中で鮫牙だけはこの勝敗がどうなってしまうのかを悟っていた
(ああ・・・出来る事ならもっと続いてほしいと思ってしまうな・・・勝敗など関係なくずっと戦っていたい・・・
そんな風に考えてしまう相手はお前が初めてだ・・・剣也・・・いずれまた・・・戦おう・・・!)
そして・・・ヤマトの一撃がジョーズの両腕を斬り落とし膝をつく形で機能を停止した
同時にバトル終了の音が響き渡り司会のお姉さんが勝者の名前を高らかに宣言した
『バトルエンド!今大会の優勝者は・・・兜選手とヤマトだぁぁぁああ!!』
観客席からはおそらくこの大会で一番の大きな声が上がり鳴り止むまでしばらく時間が掛かったとか
その後はトロフィーの授与式が行われて自分の息子が金のトロフィーを貰う姿を見て剣也の両親は泣いて喜んでいた
『これにて全てのスケジュールが終了となりました!それでは皆様、改めて!
この大会に参加してくれた彼らに大きな拍手をお願いします!』
こうして無事に大会は幕を閉じて剣也も約束の戦いを勝利で収める事が出来た
その後、会場の前で謙也は両親に言われてみんなと記念写真を撮っているとそこへ鮫牙がやってきた
「今回は俺の敗北だ・・・本当にあの時とは見違えるほどに強くなっていた・・・
いや・・・あの時からお前が強いという片鱗はあった・・・俺がそれを認めてなかっただけでな・・・
だが今回の戦いで俺はそれを思い知らされた・・・世界にはまだお前みたいな強者がいるんだとな・・・」
「それは俺も同じだよ・・・GATを始めたばっかりでどんな強い奴がいるのかとか右も左も分からない中
鮫牙と出会えて本当の強者がどんなものなのかって事を教えてもらった気がする・・・!
でも・・・お前も俺もこれで満足するような人間じゃないだろ?お前の目はそう言ってるぜ?」
もちろん今回の大会はこれで終わりを迎えたが別に勝負自体がこれで終わったわけではない
いや・・・むしろこれからもっと色んな強者を交えた戦いが始まろうとしていた
それを考えただけで今の剣也はとてもワクワクしたような顔をしており鮫牙も同じだと彼は思っていた
すると本人はまさか剣也が同じ気持ちだとは思っていなかったようで少しだけ驚いた様子を見せていたが
次第にその顔は笑みへと変わっていき夕暮れの空を見ながら彼は剣也の問いに答えた
「当然だ・・・!俺が目指しているのは全国・・・いや・・・それよりも遥かな高み・・・世界だ!」
「世界か・・・!いいな!それじゃあどっちが日本の代表として世界に挑戦出来るか・・・勝負だな!」
「ああ・・・!次こそは絶対に負けん・・・!」
こうして地区大会は終わりを迎えて剣也達の大きな戦いは一旦、幕を閉じたのだった
一方その頃、某所のとある施設では地区大会の様子を見ていたミッドレイの姿があった
するとそこへリーダーである男が現れて彼女が見ているのが例の少年だという事に気がついた
「また見ているのですか?どうやらよほど彼の事を気に入った様子ですね・・・」
「ええ・・・彼だけが・・・私の体を痺れさせてくれる攻撃をしてくれましたから・・・
ああ・・・!思い出しただけでも昂ってきちゃう・・・!もう一度・・・戦いたい・・・!」
ミッドレイは再び剣也と戦う事は出来ないかと考えている様子だったがリーダーはそれを許そうとはしなかった
「残念ですがしばらくの間はちゃんと貴方の任務をこなしてもらわないと困りますよ
我々の計画自体は既に最終段階へと近づいていっているのですからね・・・」
「分かってるわよ・・・でも・・・今度の大仕事って確かこの坊やが住んでいる場所の近くでしょ?
また邪魔をしに来るかもしれないのに私が参加しなくても大丈夫なの?」
どうやら彼らの計画は着々と進んでいるようで次のターゲットはなんと剣也の暮らしている街の近くらしい
それ故にミッドレイは再び邪魔をされる危険性があるのではないかと思っている中でリーダーは首を横に振る
「ちゃんと番人としてアルゴを派遣していますよ・・・まぁ多少の不安はありますが・・・」
「いや多少ではと思うんだけど・・・アイツって脳みそまで筋肉で出来ているような男よ?
GATバトルこそ強いけど、とても計画自体を理解しているとは思えないわね・・・」
「別に構いませんよ・・・今回の目的は奪取などではなく破壊が目的ですからね・・・!」
再び動き出した例の組織
果たして今度は何を企んでいる!?




