魂に刻む戦い
いよいよ剣也VS氷塔
お昼を食べ終えて剣也達は再びドームへと戻りメインステージの下へとやってきていた
『さぁさぁやってまいりました!遂に準決勝第一試合!盛り上がって参りましたよ!
それでは早速、このバトルスタジアムで戦う選手の二人に入場してもらいましょう!
まずはこの方!おそらくこの大会において最もパワーに秀でている選手!
その圧倒的なパワーで今回はどんな戦いを披露してくれるのか!?氷塔選手!』
その紹介と共に氷塔はゆっくりとメインステージに上がると凄まじい歓声が聞こえてきた
よく見ると観客席のところには氷塔の子分をしている人達の姿があり応援旗などを振っていた
本人もまさか彼らが来ているとは思っていなかったようで少しだけ驚いたような表情を浮かべていたが
それもたったの数秒だけでありすぐにその視線はこれから戦う男へと向けられた
『そして相対するはハンドメイドの機体であのギガンテスにすら戦いを挑んだ男!
その姿はさながら勇者の如し!それでは登場していただきましょう!兜選手!』
そして剣也も同じく紹介を受けるとメインステージへと上がっていき氷塔と向かう合う
両者の間にはおそらく他には見えていない火花が散っておりそれがこの戦いがどうなるかを物語っていた
司会のお姉さんもその雰囲気に飲まれてしまったのかマイクを持ったまま、たじろいでいた
しかし向かい合う二人は全くそんな事を気にしておらずお互いに楽しみだと笑い合っていた
「本当に事の時を待ち望んでいたぞ・・・!爆裂武闘大会ではお前との決着は付けられなかった・・・
いや・・・もしかしたら俺はお前から逃げていたのかもしれない・・・!
だが!今日!お前の前に立っている俺は違う!必ずお前に勝利しそしてアイツにも勝つ!」
「氷塔・・・!なるほどな・・・それがお前の覚悟ってわけか・・・!だが負けるわけにはいかねぇ!
見せてやるぜ!俺もあの時よりも強くなったって事をな!行くぜヤマト!」
両者は司会の合図を待たずにGATをセットしておりお姉さんは急いで進行していく
『・・・はっ!いっ言い忘れていましたがこの準決勝からフィールドの設定が通常とは異なります!
言うならば大会専用のフィールドというわけでお二人の戦いを大いに盛り上げてくれる事でしょう!
それでは皆さんもご一緒に!GATバトル・・・ファイト!』
こうして試合開始の合図が鳴り響くと同時に二人のGATはフィールドへと転送され
両者はお互いに向かい合う形で大会専用の特別フィールド・マグマステージに立っていた
「・・・行くぞ!剣也ぁぁぁああ!!」
「来い!氷塔ぉぉぉおお!!」
二人はマグマステージだという事を全く気にしておらず真っ向からぶつかり合うように戦闘を開始する
氷塔は凄まじい一撃を放つが剣也はそれを華麗に回避してベアルを蹴り飛ばす
体勢を崩したところに追撃をしようとするが流石の氷塔もこれ以上は許さず金棒を振って追撃を回避する
「やっぱりそんな簡単には決めさせてくれないか・・・!」
「当然だ・・・!これくらいでやられるような鍛え方はしていない・・・!」
序盤から凄まじい攻防に会場はまさに大盛り上がりであり最高潮と言った感じだった
まさにどちらが勝つか誰も予想出来ないという感じだったが実力者達は先ほどの攻防でなんとなく理解していた
実力に優っているのは間違いなく剣也であり真正面から戦えば彼の勝ちが見えているという事を
そしてそれを一番理解しているのは他でもない剣也と相対している氷塔本人だった
(・・・このままじゃ俺の勝ちはない・・・やはり真正面からの戦闘は無意味だったか・・・
ならば・・・ここからは俺の流儀ではなく勝ちに拘った戦い方をさせてもらう・・・!)
氷塔はこれまでの自分の流儀を捨てて真正面からの戦いではなく勝つ為の方法を取ることにした
その為にまず彼がやったのはこのステージのギミックを利用する事だった
ここはマグマステージとなっておりその主なギミックは落ちたら最後の溶岩だろう
しかもその溶岩は時折、ステージの中にも入ってくるので二人はそれを避けて戦わなくてはいけない
(・・・だが・・・剣也はそれくらいの戦闘くらいはこなせて当然だろう・・・
何せ数百を超える無人GATとの戦闘を勝ち抜いたほどだからな・・・
だが無人のGATと人間が動かしているGATは違う・・・!それを今からお前に教えてやる!)
確かに氷塔の考えている通りいくら軍用のGATと言っても無人と人が動かしているのでは動きがまるで違う
前者に関しては動きさえ覚えてしまえば後は作業のように次々と倒す事が出来るようになるだろう
しかし人が動かしてるGATは相手の考えを読んで攻撃や回避などをしてくる心理戦が出来る
つまりいくら剣也といえども不規則に飛んでくるマグマを躱しながら氷塔と戦闘をするのは困難という事だ
問題はそれは剣也だけではなく戦いを挑む氷塔にも同じ事が言えるという事であり
ここからの戦いに関してはまさにお互いがどこで隙を見せるかの心理戦となってくる
それを理解した上で氷塔は距離を取りながらその瞬間が来るのをじっと待つ事にした
一方で観客席側から二人の戦いを観察していた清志郎は氷塔が何を狙っているのかを理解していた
「・・・おそらく氷塔さんは真正面からの戦いを避けて一瞬の隙を狙うつもりだ・・・!」
「それってマグマが降ってくる瞬間って事?でもそれはアイツにも言える事なんじゃないの?」
乙女の指摘通りマグマが降ってくる瞬間は両者に等しく確率がありそれによって氷塔が先に追い詰められる事にもなる
しかし清志郎は氷塔がそれを理解していないはずもなくそれを分かった上で何かをしようとしていると考えていた
(正直な話・・・氷塔さんが何をしようとしているのかまでは分からない・・・!
でも・・・間違いなく今のあの人は純粋に勝利だけを求めて様々な事を考えている
剣也君・・・氷塔さんの狙いを読み切らない限りはおそらく勝ちは見えないよ・・・!)
清志郎はおそらく氷塔ならば何かしらの策があった上でこの賭けに挑んでいると理解しており
その策を超えない限りは剣也に勝ちはないはずだと考え不安に思っていた
「・・・とにかく・・・次にどちらかが動き出した時・・・同時に試合の形勢も決まる・・・!」
「・・・そうね・・・おそらくそれだけで決まるって事はないでしょうけど・・・試合が動くのは間違いないわ」
そしてまた、控え室から試合の様子を見ていた鮫牙も清志郎と同じような事を考えていた
(・・・なるほど・・・どうやらアイツも本当に修羅場を潜り抜けてきたというわけか・・・
戦いを楽しむ考えは捨てていかにして相手を倒すか・・・それだけを考えている・・・
だが・・・アイツは忘れているようだな・・・兜という男はそれだけじゃないという事を・・・)
そう・・・確かに氷塔の考え方は勝つ上で間違っていない事だという事は鮫牙も理解している
だが剣也がそれだけの気持ちで勝てるほど弱い人間だとも思っていなかった
何故ならば彼はこれまで相手がどんな強敵であろうとも決して退こうとせず戦ってきた
その上でどんな状況に追い込まれても勝つ意志を捨てず見事に勝利を収めてきた
つまり剣也は逆境に追い込まれてもそこから勝つだけの力と勇気を持っているという事
それこそが剣也にとって最大の武器でありライバルである鮫牙が最も警戒している部分だった
(・・・氷塔・・・貴様が今、どんな気持ちになって戦っているかは知らない・・・
いや・・・たとえどんな気持ちであろうとも・・・お前には逆境を跳ね返すだけの力はない・・・
断言してやろう・・・もしもお前の策が破れるような事があれば・・・負けるのはお前だ・・・!)
みんなが試合の行方を気にする中で・・・いよいよ試合は動き出そうとしていた・・・!
(・・・っ!来たか!しかも俺と剣也の両方に向かって飛んできている!これは好都合だ!)
氷塔が待ちに待ったマグマが吹き出し、しかもそれが両者に向かって飛んできていた
これは氷塔の考えていた中で最も望んでいた事であり氷塔は己の勝利を確信していた
(躱したら氷塔にその瞬間を狙われる・・・!なら躱すんじゃなくて打ち払う!)
そんな中で剣也は自らに飛んできたマグマを躱さずにそのまま斬り払う選択をした
一方で氷塔は金棒を大きく振り被って自らに飛んできたマグマを剣也に向かって打ち返した
流石の剣也もこの行動は予想外だったようで全く同時のタイミングで二方向からマグマが飛んできていた
しかも既にヤマトの体は自分に飛んできたマグマを斬り払おうとしている最中であり
とてもではないがここからもう一つを回避するように体を動かす事は出来なかった
(・・・いいやまだだ!体を無理やり捻ってもう一つの武器を当てる・・・!)
なんと剣也はヤマトの体とマグマを斬り払った腕とは反対側の腕を動かし氷塔が打ち返してきたマグマに対処した
「なんて少年だ・・・!二方向から飛んでくるマグマをあんな形で対処するなんて・・・!」
「ああ・・・!これはもう地区大会なんてレベルじゃねぇよ・・・!全国大会でも滅多に拝めねぇぞ・・・!」
まさしく誰しもが地区大会で見る事が出来るとは思っていない凄技を披露した剣也だったが
たった一人だけ・・・彼がそれすらもやってのけると信じていた人間がいた・・・!
「・・・そうだ・・・!お前ならばそれくらいの事はしてくれると思っていた・・・!」
「なっ!?」
そう・・・誰しもが剣也の凄技に対して驚いている中で氷塔だけは両方のマグマに対処出来ると信じており
だからこそ彼が最も無防備になった瞬間を狙って突っ込んでいく事が出来たのだ
もはや無理やりにマグマを斬り払った剣也に体勢を立て直すだけの時間はなく氷塔の攻撃を躱す事は出来ない
「これで・・・俺の勝ちだぁぁぁああ!!」
誰しもが氷塔の勝利を確信した中で・・・ヤマトは彼が放った渾身の一撃を受けて吹き飛ばされた
(・・・そんな・・・!剣也君が・・・負ける・・・!?)
氷塔の作戦に嵌ってしまい一撃を受ける剣也
果たして彼はこのまま負けてしまうのか!?




