成長した者
いよいよ剣也の戦いです!
バトルスタジアムの準備ができ剣也と律矢はメインステージで向かい合うように立っていた
「本当に懐かしいね・・・まさかまた君とこうして向かい合う日が来るとは・・・だけど・・・」
「ああ・・・この先に行けるのはたった一人だけ・・・!つまり今回の勝ち残るのは一人だけって事だ・・・!」
そう・・・この戦いを勝ち抜き次の試合に駒を進めるのはたった一人だけ・・・
そしてその一人を決める為の激しい戦いが今、始まろうとしており観客の全員が緊張に包まれていた
その緊張は控え室にいる乙女達にも伝わっておりモニター越しから二人の事を見守っていた
(・・・律矢・・・お前には悪いが今の剣也はおそらく俺と同じかそれ以上に強い・・・
正直な話・・・勝つのは相当に難しい事だろう・・・果たしてどんな戦いになる・・・?)
氷塔は現時点では剣也の方が明らかに強く律矢は格下であると判断していた
だからこそ彼がそれをどうやって補うのかを注意深く観戦させてもらおうと考えていた
それからすぐに両者はGATをセットし試合開始のアナウンスを待っていた
『それではGATバトル・・・ファイト!』
試合が開始されると剣也達のGATはスタジアムの中に配置されそこは暗いジャングルの中だった
まさかここまで律矢とのバトルを再現する事になるとは思っておらず剣也も驚いていたが
問題はそこではなくむしろこのステージは彼にとって最も有利なステージだという事に警戒していた
(確かこのステージではあいつの姿を見つけるのは至難の技だったよな・・・
おそらく前回もやったような対策は向こうも考えているだろうし・・・真っ向勝負しかないか・・・)
剣也はどうにかして相手を見つけ出し真っ向からの戦闘に持ち込むしかないと考えていたが
どうやら律矢はそんな考えとは裏腹にわざわざステルス機能を捨てて真正面からやってきた
「!?驚いたな・・・まさかそっちからわざわざ姿を見せるなんて・・・勝負を諦めたのか?」
「いや・・・むしろその逆というべきかな?勝つ見込みがあるからこそ・・・姿を見せたんだ」
律矢の話ではどうやら真正面からの戦闘の方が自分にとって勝ち目があると考えているようで
一体どんな作戦なのだろうと剣也は警戒しながらゆっくりと距離を詰めていこうとする
するとやはり律矢は近づかれたくはないようでヤマトを牽制するように攻撃してくる
ヤマトは当たる直前でその攻撃を躱すと既に律矢のGATであるホロウの姿はなく
一体どこへ行ったのだろうと周りを警戒する中で攻撃は全く予想外の方向から飛んできた
「っ!?上から攻撃だと!?」
まさか上空から攻撃が来るとは思っていなかった剣也はどうにか攻撃を弾いたが
律矢は立て直す暇を与えないかのように攻撃を続けており剣也は矢の雨を防ぐので精一杯だった
(まずいな・・・!上を取られていたんじゃいくら何でも俺の方が不利すぎる・・・!
ここはどうにかして律矢の体勢を崩してこの状況を打破するしかないが・・・どうすれば・・・!?)
このままではダメージはなかったとしても不利な事には変わりないので
剣也はどうにかしてこの状況を突破出来ないかと考える中で一つだけ思いついた方法があった
それを実行する為に剣也は森の中へと入るが上空から見ている律矢にはその姿も見えていた
「無駄だよ・・・!私からは君の姿が見えている・・・!決して見逃したりなんてしない・・・!」
「そうかよ!でも俺ばっかり見てたら意外ととんでもないものが飛んでくるかもよ!?」
律矢は一体何を言っているのか理解出来なかった様子だがそのすぐ後に取った剣也の行動で全て理解する事になった
なんと剣也は一瞬だけその動きを止めたかと思うと目の前にあった大木を両断しそれを投げ飛ばしてきたのだ
流石の律矢もこれを躱さないわけにはいかなかったがそれでは相手を見失ってしまう可能性が高く
一体、どちらを選択するのが正しいのだろうと必死で悩んだ末に出した答えは敢えて攻撃を受ける事だった
(ぐっ・・・!少しだけ視界がブレたがまだ君を見失ってはいないぞ・・・!剣也君・・・!)
(マジかよ・・・!あれを躱さないで受け切るとか無茶しやがる・・・!しかしどうしたもんか・・・
あの感じからして続けたとしても避けてもらえる可能性の方が低そうだな・・・)
残念ながら剣也の狙いは外れてしまいこの状況を打破する事は出来なかったがとても嬉しそうな顔をしていた
それほどまでに律矢の根性に驚いており同時にこの状況をどうやって打破しようか楽しんでいた
そしてそれは向かい側にいる律矢も見ており彼はその姿にどこか嫉妬のような感情を抱いていた
(・・・私にもそれだけの思いがあれば・・・もしかしたらもっと強くなれたのかもしれないな・・・
そうすればもっと・・・氷塔の事を満足させる事が出来たのかもしれない・・・だが・・・!)
それでも氷塔の隣で戦う事だけは譲るわけにはいかないと律矢の覚悟は強かった
もちろん剣也はそんな事を知る由もないのだがそんな事は関係なく彼の覚悟だけは伝わってきた
だからこそ今までのような中途半端な作戦では彼を倒せないと理解し改めて考えを巡らせる
(・・・こうなったら森に閉じこもっていっその事、あいつが降りてくるのを待つしかないか・・・!)
剣也は周囲にあった木々を全て両断しそこから律矢の視線を遮るような巨大な壁を作り出した
「なるほど・・・攻撃で視界を封じられないのなら物理的な壁を作り出しますか・・・ですが無意味です!」
律矢は壁が作られた瞬間、攻撃を繰り出す事で剣也を炙り出そうとしたがもうすでに遅かった
「なっ!?まさか今の一瞬で地面を掘り地中に逃げたのか!?」
そう・・・既にそこには剣也の姿はなく彼のいた場所には大きな穴が空いていた
それは彼が地中に逃げ込んだという証拠であり同時に自分の有利だった状況から逃げられたという事でもある
(いや・・・だが地中の中では彼も私を見つける方法がないはず・・・慌てる必要はない・・・!)
確かにGATの索敵機能では地中の中から地上の敵を探す事は出来ない
それを思い出した律矢は冷静さを取り戻してまずは落ち着いて状況を整理する事にした
(まさか彼がこんな奇策に出るとは・・・だが彼が地中にいるという事が分かっていれば問題はない
向こうは攻撃しようにも私の居場所が分からないはず・・・つまりは必ず地上に出なければならない瞬間がある
それさえ逃さなければ私にも十分に勝機はある・・・!その為には再び上空に飛ばなければ・・・!)
律矢はこれからどうしようかを考えながらホロウのジェットに限界が来たので地上に着地する
もちろん剣也に襲われる可能性があったので最も安全だと見て判断出来る彼が逃げた穴へと着地した瞬間だった
「待ってたぜ・・・!お前が地上に降りてくるこの瞬間をな・・・!」
実は剣也は地中になど隠れてはおらず先ほど律矢が破壊した壁の瓦礫にずっと隠れていたのだ
つまり地面に空けられていた穴は完全なるフェイクであり律矢を安心させる為のエサでもあった
そして見事に誘われてしまった律矢は急いで武器を構えるがこの距離ではヤマトの方が動きは早く
見事にカウンターを決められホロウの片腕を切り飛ばされそのまま壁まで吹き飛ばされてしまう
「・・・まさかこの私が裏をかかれるとはね・・・どうやら彼は強さだけじゃなく戦い方も成長したみたいだ」
どうにか戦闘不能は避けられたようだがもはや勝機はないと律矢も確信していた
しかしどうしてなのかまでは分からないがこのまま負けるわけにはいかないと何かが体を動かした
そしてボロボロなホロウをどうにか動かして立ち上がると目の前にはヤマトの姿があった
(・・・考えている事すら読まれているとは・・・もはや何の言い訳も出来ないほどの完敗ですね・・・
ですがそれでも・・・!まだ私の心は戦いたいと言っている・・・!)
律矢はどうにか武器を構えてヤマトに突っ込んでいくと彼も同じく動き始める
そして両者は再び激突し今度こそホロウの体が両断される形で試合は幕を閉じた
『バトルエンド!勝者!兜選手!!』
敗者となった律矢は大人しく観客席へと向かおうとするとそこへ氷塔が姿を現した
「・・・やっぱり彼は凄いね・・・間違いなく爆裂武闘大会の頃よりも強くなってるよ・・・想像よりも遥かにね」
「・・・だろうな・・・だからこそ俺はあんな修行をしてまであいつと対等になろうとした・・・
だが・・・お前も十分に善戦していた・・・特に序盤はあいつを追い詰めていたしな」
確かに氷塔の言う通り序盤の律矢はかなり剣也を追い詰めていたと言えるだろう
しかしそれはあくまでも序盤の経過だけであり結果としては自身の完全なる敗北
それを理解しているからこそ律矢は素直にその称賛を受け取るわけにはいかなかった
「・・・なぁ・・・今の君だったら・・・どれくらいの確率で彼に勝てると思うんだい?」
「・・・本音を言うのならば・・・確率はかなり低いだろうな・・・それほどまでにあいつは強くなっている・・・
命懸けの修羅場だけじゃない・・・強者との出会いと戦いがあいつを凄まじい速度で成長させている・・・!」
氷塔はあれだけ修行を重ねたはずなのにとてもではないが勝つと言い切るだけの自信はなかった
それほどまでに剣也はこれまでの戦いで強く成長しておりそれだけの差がついてしまった
「・・・だからと言って最初から勝負を諦めていては勝つものも勝てなくなる・・・!
俺はどうあっても証明しなければならないんだ・・・!俺はまだあいつのライバルなのだと!
たとえこの先でどんな強敵と巡り合う事になったとしても俺もその中にいるのだとな!」
そう・・・氷塔にとって勝つ事が目的なのではなく自分の存在を剣也に刻み込む事
それこそが今回の目的であり彼が戦おうとする原動力になっていたのだ
その言葉を聞いてやはり自分はどこかで諦めていたのだと律矢は苦笑いしていた
「・・・君のその思いが彼に伝わる事を・・・祈っているよ・・・」
「・・・ああ・・・必ず・・・お前にも見せてやる・・・俺の生き様を・・・!」
次に駒を進める事が出来た剣也
そして次はあの二人が激突する!?




