特訓(勉強編)
まさかまさかの勉強回!?
特訓合宿も終わりを迎え剣也達は大会までの数週間を個々の特訓で済ませようと考えていたのだが
ここで一つ・・・最大の誤算が生まれてしまい剣也達は今、優の家に集まっていた
「・・・いやまぁ・・・正直、予想外ではあるけど・・・流石に珍し過ぎないか?清志郎が宿題を残すとか」
「うぅ・・・本当に夏休み入ってからGATに忙しくてやっている暇がなかったんだよ〜・・・」
そう・・・彼らにとって最大の誤算とは大会に参加するはずの清志郎がまだ宿題を終わらせていなかった事だった
このままでは間違いなく大会当日などに補習で学校に居残りする羽目になってしまう可能性もあった
だからこそ剣也達は特訓を休む事にして清志郎の勉強に付き合う事にしたのだ
「あれ?でも確か生徒会長に勉強を教えてもらったんだろ?なんでその時に終わってないんだ?」
「えっえっと・・・それはまぁ・・・色々とあったって言うか・・・むしろ何もないというか・・・」
「・・・アンタもしかして・・・言われたノルマすらやってなかったの!?嘘でしょ!?」
どうやら清志郎がここまで宿題を残していた最大の理由は言われたノルマをやっていなかったからのようだ
それを聞いて流石の剣也も呆れているようで今日は徹底的にやらなくてはならないと考えいたのだが
彼ら以上に怒りのオーラを放っている存在がおり清志郎はその存在を発見し恐怖で怯えていた
「清志郎君?私はちゃんと宿題はしているって報告されてたんだけど・・・それは全部嘘って事なの?」
「いやあの!それは本当に終わると思ってただけで決して嘘をついていたという訳じゃなくて」
「でも実際は終わってないんだよね?なら私に嘘をついていたって事に変わりはないんじゃないのかな?」
もはや正論で殴られるしかない清志郎は何も言い返す事が出来ず咲良の説教を受け入れるしかなかった
その間に剣也達は清志郎の宿題がどれほど残っているのか確認するとなんと半分以上も残っていた
「いや・・・確かにまだ夏休みはあると言ってもこれは流石に多過ぎだろ・・・本当に終わるのか?」
「私も合宿の間に会長が見てくれたからギリギリ終わりそうだけど・・・もっと酷い奴がいたのね・・・」
一緒に勉強を見てもらった乙女としてはなんとも複雑な感情を抱いている様子だったが
今はそんな事を気にしている場合ではなく残りの期間でどうやって宿題を終わらせるのかを考える
「とりあえずGATはマジで禁止させるとして・・・一日中、勉強させたらどれくらいで終わると思う?」
「別に清志郎の学力自体は悪くないんだし三日くらいあれば十分に終わるんじゃないの?」
「あっあの〜・・・なんかすごく不吉な提案をされている気がするんだけど・・・僕の意見は聞かないの?」
「清志郎君?今の君の立場で意見する事が出来るなんて本当に思っているの?」
「・・・大人しく受け入れます・・・」
こうして清志郎だけの勉強合宿が始まりその間に剣也達は監視の意味も含めて優の家で特訓していた
「そういえば月白さんの姿が見えないけど・・・彼女は来ないのかい?」
「・・・今日は亡くなったお祖父さんの命日らしい・・・墓参りしてから来るってさ・・・」
実は今日は蜜柑の祖父である獣兵衛が亡くなった日であり彼女は家族と一緒に墓参りに向かっていた
それを聞いて優は仕方ないと思いながら剣也との特訓に集中するのだった
そして墓参りに来ていた蜜柑はそこで珍しい人物達と顔を合わせていた
その人物達とは他でもないあの事件に関わっていた関係者である伊部牧と大樹署長の二人である
「・・・まさかお二人も来ているとは思っていませんでした・・・もしかして毎年?」
「いや・・・ワシはあの事件以降は来れんかったわい・・・どんな顔で会えばいいのか分からんかったからのう」
「私も仕事が忙しい時はどうしてもね・・・でもやはり忘れられるわけではないよ・・・
私にとっては初めて担当し・・・そして死人を出してしまった事件だからね・・・」
伊部牧にとっては唯一の親友を亡くした事件であり大樹署長にとっても忘れられないものだった
しかし二人がここに来たのはもちろん偶然などではなく例の事件が発生した事で
獣兵衛の事を深く思い出してしまったからこそ彼に相談したかったというのが本当の理由だった
「無論、死人であるはずの彼奴が何かを答えてくれるとは思えんが・・・それでものう・・・」
「伊部牧さん・・・大丈夫です・・・きっと祖父はみんなの事を助けてくれると思います・・・」
蜜柑はあまりにも弱々しい伊部牧の姿を初めて見たからなのか自分でも慣れないような事を言っていた
しかしそうでもしなければおそらく伊部牧はその重圧に潰されてしまうのではないかと思ったのだ
するとその言葉の真意を悟ったのか伊部牧はゆっくりと墓の前でお祈りを済ませると蜜柑の方へ向き直る
「すまんのう。少しだけ弱気な部分を見せてしまったようじゃわい・・・安心せい・・・!
これはワシにとっての罪じゃ・・・!だからこそ獣兵衛の分まできっちりと償ってみせるわい!」
「だからと言ってあまり無理はしないでくださいね?それにこれは我々、警察にとっての問題でもあります
約束します・・・獣兵衛さん・・・必ず子供達の未来は私達が守って見せます・・・どうか見守っていてください」
二人は亡き獣兵衛の前でそう固く誓っておりその様子を見ていた蜜柑は安心したような表情を浮かべていた
そして天国にいるであろう祖父にどうか自分だけではなく剣也達の事も見守って欲しいと願うのだった
『・・・蜜柑・・・伊部牧・・・悪いが俺は・・・お前達に祈ってもらえるような男では・・・』
一方その頃、氷塔は今の特訓では物足りないと感じたのかとある場所へと向かっていた
そこは律矢ですらも止めるような無法者の溜まり場でありそこにいる人間はほとんどが違法GATを使っていた
しかし氷塔からしてみればそんな戦いを逆に望んでおり敢えてその地獄へと足を踏み入れる事を決めたようだ
(思えば俺はずっと不良を相手に戦ってきたがそんな奴らの使っている機体も正規品ではある・・・
つまり・・・ぬるま湯に浸かっていたのにいい気になって大将面をしていたというわけか・・・
ならば・・・今こそ俺は本当に地獄に浸かり己を高めてみせようじゃねぇか・・・!)
今回ばかりは流石に危険なので律矢は置いてきておりここには彼一人だけでやってきた
そしてようやく例の地区にやってくると肌からでも気配が変わった事を氷塔は感じ取っていた
「・・・ここからば本番ってわけか・・・!いいぜ・・・!どっからでも掛かってきやがれ!」
「ほう?見ない顔が入口に立っただけで随分と大口を叩くものだな・・・おい・・・!相手をしてやれ!」
入口には氷塔よりもガタイが良さそうな男が立っておりその後ろには部下らしい人が大勢いた
そして男の命令により彼らは違法に改造されたGATを取り出して戦闘の構えを取る
それを確認した氷塔も待っていたと言わんばかりにベアルを取り出して戦いを開始する
もちろん今回は正規のルールなどではないので完全に多勢に無勢となっているが氷塔にとっては関係なかった
問題なのは彼らが普段、戦っているような正規品のGATではないので倒すのにそれなりの時間が必要な事
(クッソ・・・!この程度の奴らでこんなに苦戦しているようじゃダメだ!俺はもっともっと強くなるんだ!!)
そう・・・氷塔がリベンジを誓っている鮫牙と剣也は既にこんな相手を秒殺出来る程の実力を持っている
現状の氷塔ではとてもでは相手にはならないだろう・・・しかしあくまでもそれは現状での話
ここで全ての違法ファイターを倒す事が出来ればもしかしたら彼は最も強くなれるかもしれない
彼はそう信じて全ての敵を倒し終えると先ほどまで腕を組んで戦いを見ているだけだった男が動き出した
「どうやらあれだけの大口を叩くだけあってそれなりの強さを持っているようだな・・・!
よかろう・・・!ならば今度はこの俺が直々に相手をしてやろう・・・!」
「頼むぜ?俺はもっともっと強くならなくちゃいけねぇんだ・・・!弱い相手じゃ修行にすらならねぇ・・・!」
その言葉を聞いて流石に男も腹が立ったのかGATを取り出して即座に勝負を始める
氷塔は油断していた事もあって最初の一撃を躱す事は出来なかったがそれでも当たり負けはしておらず
そこからゼロ距離での殴り合いを始めておりまさしく一歩も引く事もない鬼のやり合いとなっていた
(待ってろよ・・・!必ず俺はもっと強くなってお前らの前に立ってやる・・・!)
一方その頃、剣也達は墓参りを終えた蜜柑が合流してGATの特訓を終えると
清志郎の様子はどうなのかを確かめに向かうとそこには明らかに魂の抜けている清志郎の姿があった
「う〜ん・・・一応は生徒会長に任せてみたんだけど・・・これは予想外だったか?」
「大丈夫よ?これくらいは前にもやった事があるからまだまだ耐えられるわよね?」
(・・・会長だけは絶対に怒らせないようにした方がいいな・・・)
笑顔で答えていた咲良に対して剣也はあまり彼女を怒らせない方がいいかもしれないと判断していた
するとそこへ優がやってきて晩御飯の準備が出来たと教えに来てくれて彼らは食堂へと向かった
「そういえば気になってたんだけど・・・清志郎と会長って仲が良いよな?昔からの友達なのか?」
「いわゆる幼馴染というやつですね。家同士が隣だったのもあり昔から交流があって
よく玩具で遊んでいる清志郎君を外に連れて行ったりしたんですよ?」
「・・・なんかそれを聞くと幼馴染っていうよりは姉って感じだな・・・」
二人の仲はもはや家族と同じなのだと理解し剣也はそれならばあの仕打ちも理解出来ると思っており
清志郎には悪かったがこれはもう頑張って彼女に従うしかないのだろうと祈っておくのだった
(・・・姉ですか・・・まぁ勘付かれていないのなら良かったかもしれないですね・・・)
どうにか困難を突破した清志郎
そしていよいよ大会が始まろうとしていた




