新たなる力
ヤマトの専用武器が完成します!
勝負が付いた瞬間、見ていたギャラリー達はとても驚いたような顔をしていた
それは勝敗が特殊だったという事もあるが問題はそこでは無くその勝敗が決まった両者の顔を見て驚いていたのだ
勝ったはずである鮫牙はまるで自分が負けたかのような険しい表情を浮かべており
逆に負けたはずの剣也は幼馴染である清志郎達ですら知らない嬉しそうな表情を浮かべていたのだ
「剣也君・・・負けたはずなのに凄い嬉しそうな顔をしてる・・・!一体どうして・・・?」
「・・・多分だけど・・・剣也はこれまで自分を負かしてくれるほど強い相手に会った事が無かった・・・
つまりは初めてライバルと言えるだけの相手と出会えたって事よ・・・だからあんなに・・・」
その言葉を聞いて清志郎はどうして説明している乙女の顔が険しそうな顔をしているのか理解出来た
先ほどの説明はつまり自分達では剣也の事を本当の意味で満足させていなかったという事
それをついさっきまで名前すら知らなかった相手に先を越されてしまったのだから悔しいと思うのは当然だろう
しかし当の本人である鮫牙は何やら憎しみが籠ったような目で剣也の事を睨み付けていた
(最後の攻撃・・・もしもアイツが武器を使ってたら・・・負けていたのは・・・俺の方だ・・・!)
彼が剣也の事を睨み付けていた理由は他でもない・・・先ほどの勝敗に納得がいって無かったからだった
先ほどの相打ちは実際のところ、剣也の一撃の方が早く入っており本来ならば勝っていたのは剣也の方だった
しかしヤマトは武器を持っていなかったので一撃を入れてもそこまでのダメージにはならず
結果として攻撃を耐えられたジョーズの一撃が更なるカウンターとしてヤマトに突き刺さり
今回の勝敗に繋がってしまったというわけだった
もちろんそんな結果に納得するような鮫牙ではなくもう一度、勝負を挑もうかとも思ったが
先ほどの戦いで既に剣也のヤマトが戦闘不能になっており勝利が必要ですぐには戦えない
それが分かっていたからこそ鮫牙はすぐに戦おうとは言わず冷静に怒りを飲み込むしかなかった
「・・・今回は俺の勝ちと言う事にしておいてやる・・・だがこれで決着だと俺は思っていない・・・!
次に戦う時までにその機体を万全な状態にしておけ!その時こそ・・・本当に決着をつける時だ!」
「・・・ああ・・・!俺もヤマトもその時は・・・もっと強くなってお前に勝ってやる・・・!」
鮫牙は再戦の約束だけを交わしてバトルスタジアムを出て自分の相棒を見た時だった
なんと先ほどの一撃はジョーズを戦闘不能にするほどの一撃では無かったが確かに捉えてはいたようで
バトルが終わってからジョーズの頭に大きな罅が入り欠けていくのを鮫牙は見る事になった
(兜 剣也・・・次に戦う時は必ず・・・完膚なきまでに負かしてやる・・・!)
一方その頃、剣也は本当に負けたはずなのにその顔はとても晴れやかで同時にとてもワクワクした顔をしていた
「ヤマト・・・!やっぱりアイツは凄かったな・・・!俺、もう一度でいいからアイツと戦いたい・・・!
いいや・・・!戦うだけじゃダメだ・・・戦って・・・そして今度こそ勝ってみたい・・・!」
これまで険しい戦いを潜り抜けてきた剣也は今までGATを楽しいと感じた事は少なかった
そう・・・言うならば遊びではなく戦う為の手段としてGATを用いていたようなものだったのだ
しかし・・・今回のバトルで彼はようやくGAT本来の面白さを思い出した・・・いや・・・初めて気づいた
そして今、彼の心の中にはどうやって鮫牙を倒せばいいのか次はどんなバトルをしようかと
まるで買ったばかりの玩具でどんな風に遊ぶかを考えている子供のような感情になっていた
それを感じ取ったのか機能を停止したはずのヤマトの目が淡く輝いたような気がした
「・・・もしも彼に勝とうと思っているのならやはりヤマトの武器が必要・・・それこそ専用の武器が・・・」
するとそんな剣也に対して蜜柑が近づいてもしも鮫牙に勝つのならばヤマトに武器が必要だと告げる
確かにそれは先ほどの戦いで思い知らされた絶対的な差であり同時に今抱えている最大の問題だと言えるだろう
しかし先ほどの戦いで剣也はようやく自分にはどんな武器が必要なのかなんとなくではあるが見えた気がした
「とにかく今から家に帰ってしばらくヤマトの修理と武器についてを考えてみる事にするよ
さっきの戦いで自分には何が必要なのか・・・何を求めているのか理解出来たような気がするからな・・・!」
まだうっすらと影が見えるだけではあるがこの前のような迷いだけは振り切る事が出来た
後はヤマト専用の武器を設計しそれを作り上げる事だけ・・・それが今の剣也がやるべき事になった
「それじゃあ俺は家に帰るけど・・・ってなんでお前ら・・・俺の腕を掴んで離さないわけ?」
「そんな楽しそうな事をするのになんで私達を除け者にしようとしているのかしら?」
「そうだよ!僕達は友達でしょ!?それにGATの事ならなんでも相談に乗るって言ったよね!?」
どうやら清志郎達もこれから剣也が行う武器作りを手伝おうと考えているようで
先ほどから手を離さないのは他でもない彼が逃げないようにする為でもあったらしい
「・・・分かったよ・・・それじゃあみんなにも手伝ってもらうからとりあえず離してくれない?」
どうにかみんなは納得してくれたようで掴んでいた手を離してくれた
そして剣也達は早速、優の家へと向かいヤマトに装備する武器の設計を行う事にした
『・・・どうやら事態が動き出しそうだな・・・もしかしたら・・・ワシが出る必要があるか・・・』
優の家までやってきた剣也達は武器の設計を始めているのだがそれは混乱を極めていた
「・・・とりあえず剣也君の考えは分かったけど・・・スピードとパワーの武器をそれぞれか〜・・・」
「確かにいい案ではあると思うけど・・・問題はそれだとバランスが取れない事よね〜・・・どうするの?」
そう・・・問題となったのは他でもないその両立がとても困難だという事だった
パワー系の武器は重く取り回しも鈍いのでスピードを伴わなくなってしまうし
スピード系の武器は逆に手数で勝負するのが当たり前なので一瞬の隙が命取りになってしまう
つまり二つの武器は完全に相反するものでありそれぞれを補うようには出来ていないのだ
「う〜ん・・・剣也君の考えが分からないわけでもないしとりあえずは実践で試してみるかい?」
すると優がそれをやるにはとても苦労するのをまずは自分で体験するべきだと思い機体と武器を用意してくれた
剣也はそれを優相手に試したのだがヤマトでは勝てていたのに武器を変えただけで全然勝てなかった
先ほどから清志郎達が話している事を実践して理解したという感じだったが同時に可能性も感じた
(やっぱりこれだ・・・!これをどうにか使えるようにすれば・・・俺達はもっと強くなれる・・・!)
「となるとやっぱり問題はこの相反する二つをどうやって実戦で使えるようにするかって事か・・・
清志郎としてはどうなんだ?この二つをヤマトで使うとして・・・やっぱり無理なのか?」
その問いに対して清志郎は答えを出し渋っているというよりもわからないという顔をしていた
「・・・正直な話、僕もこれに関しては答えを知らない・・・と言うよりも分からないんだ・・・
やっぱり武器にはそれぞれ長所があると同時に短所があるからね・・・言うならば武器を別々にするって事は
ファイターにとって弱点を増やす行為でもあるんだよ・・・だから武器を変えるなんて普通はしない・・・
今の剣也君がやろうとしている事はまさに・・・歴史ですら見た事もない・・・無謀な挑戦なんだよ」
そう・・・清志郎の言う通り今の剣也がやろうとしている事はまさに誰も挑戦した事のない
いや・・・正確に言うのならば挑戦はしたが誰も成功させた事もない愚かな挑戦なのだ
しかし何故か今の剣也は別に落ち込んでいる様子もましてや止めようと言う気持ちは一切なかった
「確かに無謀な挑戦なんだろうな・・・でもよ・・・!だからこそ燃えるってもんじゃねぇか・・・!
これまで歴史上の偉人達はそんな無謀とも言えるような事に挑戦して成功させたからこそ歴史に名を残している!
それだけで挑戦する価値はある・・・それに俺は・・・これが失敗するとはあまり思えないんだ・・・!」
「剣也君・・・分かった!そこまで言うのならやろう!まずはみんなで設計からだ!」
こうしてみんなで楽しく武器の設計を行いなんとか形にはなったが今日の制作はこれで終わりとなった
と言うのもみんなで意見を出し合って設計図を書いている間にいつの間にか夕方になってしまっていたのだ
このままでは確実に夜になってしまうので剣也達は急いで自分達の家へと帰っていく事にした
そして家に帰って色々な用事を済ませた剣也は自室でみんなと作り上げた設計図を見ていた
「・・・本当にこれが完成したら・・・俺達は強く・・・もっと強くなれるんだよな・・・!ヤマト・・・!」
そう・・・この設計図はまさに彼らの強くなりたいという気持ちが描かれていた
それを見て満足出来た剣也は設計図を机の上にヤマトと一緒に置いて電気を消して眠りについた
その夜・・・なんと不思議な事にヤマトの目が光りだすと設計図を読み込み始めた
そして勝手に剣也のPCが起動して制作ソフトが動き始めると何かを作り出していく
「・・・あれ?なんで・・・俺まだ作った覚えがないのに・・・」
・・・夜が明けて、剣也は自分の机の上の光景を見て驚く事になった
何故ならばそこにはまだ設計しか終えておらずこれから作り出そうと思っていた武器
片刃の長剣『ムサシ』と同じく片刃で片手で持てるように小型化された斧『シナノ』
そう・・・本来ならばまだこの世にあるはずのない・・・ヤマト専用の武器が完成していたのだ
ようやく完成したヤマト専用の武器・『ヤマト』『シナノ』
そんな中・・・闇もまた動き出していたのだった




