勝負の行方
小烏丸編ラストです!
どうにかテングに対して一矢報いる事が出来た剣也達だったがまだ完全に決着が付いたわけではない
あくまでも先ほどの攻撃で破壊出来たのはテングの翼だけで本体自体にダメージを与えられたわけではないのだ
それが分かっているからこそ剣也は一旦、距離を取るが何故かテングは攻めてこなかった
「お前ら・・・!よくもオイラのテングに傷を付けてくれたな・・・!こうなったらただじゃおかねぇ!!」
「自分のGATを傷つけられただけで随分と怒っているみたいだな?やはり子供だからと言うべきか?」
「うるさい!こうなったらオイラの機体に搭載されているとっておきを見せてやるよ!」
自分のGATであるテングが傷つけられた事で小烏丸はかなり怒っているようで
傷を付けた相手である剣也達に対してとっておきの何かを使おうとした時だった
「そこまで・・・流石にそれ以上の戦闘は私も容認出来ないわよ?」
そこへ謎の美女が姿を現し暴走しようとしている小烏丸のCRバンドの電源を切った
「ミッドレイ!なんで邪魔をするんだよ!?アレさえ使えばこいつらなんて!!」
「駄目よ・・・確かにアレを使えば普通のGATには絶対に勝てるでしょうけど・・・
それは使用を禁止されているでしょう?もしも使ったのがバレたら・・・分かっているでしょ?」
ミッドレイと呼ばれていたその美女は小烏丸が使おうとしていた何かを知っているようで
それを使う事は禁止されておりそれを止める為に彼女はこの場に姿を現したらしい
「・・・分かったよ・・・流石のオイラもリーダーには怒られたくないし・・・勝負はお預けにしておくよ」
「ええ・・・それにもうこの工場を破棄する準備も出来たし・・・私達もこの場から去らないと」
どうやら剣也達が必死に戦っている間、この工場を廃棄する為の準備を裏で進めていたようで
それが終わったので彼女達もここから去ろうとしており剣也達はそれを阻止しようとする
「悪いがそんな簡単に逃がしてやらねぇよ・・・!こっちも命懸けでここに来たんだからな・・・!」
「残念だけどそれは無理・・・でも私個人としては貴方に興味が湧いて来ちゃったから近々会いに行くわ
それまで・・・どれくらいになるかは分からないけどお別れになっちゃうわね・・・それじゃあね?」
そう言ってミッドレイが手に持っていたスイッチを押すと急に床が揺れ始めて地下施設の壁や床に亀裂が走る
「ちぃ!予想していた最悪の展開になったか!悔しいがここは退くしかない・・・!」
「くっ!せっかくここまで来たっていうのに・・・!」
悔しいながらも剣也達は崩れていく地下施設から脱出しなんとか瓦礫の下敷きになる事だけは避けられた
「はぁ・・・はぁ・・・なんとか・・・生きて・・・出られたけど・・・成果は・・・ゼロか・・・!」
「仕方・・・ないだろ・・・!むしろ・・・生きて・・・帰ってこられただけ・・・マシってもんだ・・・!」
確かに氷塔の言う通り生きて帰ってこれただけでも十分に満足出来る結果だと言えるだろう
しかしそれでも剣也としては少しくらいは情報を得たかったと悔しく思っていたようだったが
『安心してくれ・・・確かに確実な情報を得る事は出来なかった先ほど三人が戦っている間
工場にハッキングして少しだけではあるが彼らの情報を得る事は出来た・・・ちゃんと成果はあったんじゃよ』
なんと伊部牧は剣也達が戦っている間にハッキングを仕掛けていたようで既に情報を得ていたのだ
と言っても全ての情報を抜き取れたわけではないのでこれから情報を精査しなくてはいけないが
それでも今回の作戦は無駄ではなかったという事だけは間違いなかったと力強く告げる
「そっか・・・それを聞けただけでも十分に頑張った甲斐があったな・・・疲れた〜・・・!」
「そうだな・・・安心した瞬間に何やら腹まで空いてきた気がする・・・帰ったら飯にするか!」
『それなら私達の方で何か美味しい物を用意しておくからゆっくりと帰ってくるといいよ』
『うむ・・・迎えに関しては大木署長に頼んでおるから安心せい』
それからしばらくして大木署長が部下を連れてきて現場を抑えに来たようで
その一人の車に乗せてもらい剣也達はみんなのところへと帰っていくのだった
そして現場に残った大木署長は部下達と一緒に崩れ去った現場を調べていた
(おそらくはもう彼らを知る為の物は残されていないだろうな・・・やはり伊部牧さんが得た情報だけが頼りか)
しかし現場には予想通りと言うべきなのかほとんど何も残ってはおらず調べるのは困難であり
残された最後の希望は伊部牧がハッキングで得た情報だけだと考えていた
「・・・それにしても・・・酷いものだな・・・ここまで躊躇なく建物を破壊するとは・・・」
「ええ・・・本当に周りの被害などお構いなしですね・・・こうなってくると迂闊な捜査は・・・」
「ああ・・・逆に彼らを刺激して余計、危険な事になってしまう可能性がある・・・より一層の注意が必要だろうな」
今回の事件をきっかけにおそらく例の組織はこれまで以上に行動を起こす可能性が高いだろう
かといって捜査を厳しくすればそれこそ本当に人死を出すほどの抵抗が待っているかもしれない
だからこそより一層、相手に気取られないように注意しながら調査しなくてはならないと考えていた
(あまり考えたくはないが内部に協力者がいる可能性も少なくはないからな・・・
やはり剣也君達には悪いが・・・彼らに協力してもらう以外に選択肢はないようだ・・・)
悲しい事ではあるがやはりこれ以外に最善と呼べるような選択肢はなく大木署長は無力な自分を恨む
そしてまだ若い彼らに対して試練を与える敵に対しても怒りを向けるのだった
「署長!瓦礫の下に埋まっているGATなのですが・・・処分はどうしましょうか?」
「下手に廃棄してもまだ再起動する可能性がないわけではないからな・・・署に持ち帰り厳重に隔離だ」
部下が持ってきたボロボロのGATを見て大木署長はとても悲しい気持ちになっていた
実は彼にも子供がおりその子もGATをやっていてとても楽しそうな笑顔を浮かべる事があるのだ
そんな身近な笑顔を知っているからこそ大木署長は軍用として作られたGATに同情してしまった
「・・・お前達も・・・子供達に遊ばれる幸せがあってもよかっただろうに・・・」
「・・・そうですね・・・犯罪に利用される為だけに作られたなんて・・・辛いですよね・・・」
大木署長は考えずにいられなかった・・・このGAT達が軍用ではなく子供の玩具として作られたのなら
一体どれほどの笑顔が生まれどれほど人を幸せにする事が出来たのだろうと・・・
「いや・・・こんな事を考えていても仕方ない・・・彼らは何も悪くはないのだ・・・
もしも悪者がいるとするのならば・・・それを悪と分かっていて作った人間とそれを使う人間だ・・・
そして我々、警察はそんな彼らを逮捕するのが・・・仕事なのだからな・・・」
一方その頃、剣也達は先ほど送ってもらい優の家で豪華なご馳走にありつけていた
「すみませんのう。ワシらにまでこんなご馳走を用意してもらって」
「いやいやこれは私の退院祝いではなく皆さんに助けてもらったお礼のような物ですから
どうか遠慮せずどんどん食べていただけると私としても嬉しい限りです」
優の父親は例の立て籠り事件から自分達を助けてくれたお礼としてこのご馳走を用意してくれたそうなのだが
生憎と剣也達はそれを聞く前からご飯を食べていたので最初から遠慮などしていなかった
「そういえば・・・・私の会社にいたスパイなのですが・・・昨日の事件から行方が分からなくなりまして・・・」
「・・・おそらくはあの工場施設が消えるのと同じくして本拠地に戻ったのでしょうな・・・
この前のビル立て籠り事件の手引きをしたのも・・・おそらくは・・・」
伊部牧の考えではおそらくその消えたスパイこそがビルの立て籠り事件の手引きをした人間であり
それが終わり自分がスパイだとバレたからこそ彼らの本拠地に撤収したのだろう
「ええ・・・彼の使っていた住所や電話番号も全て偽物でしたからね・・・
おそらくはバレる事も最初から視野に入れて行動していたのは間違いないでしょう・・・
しかし・・・よもやあのような事件に発展するとはとても思っていませんでした・・・」
「仕方ありますまい・・・ワシらとてあんな大きな事件が起こるとは思っておらんかった・・・
しかもその解決に子供達まで使い・・・大人としてはとても恥ずかしい限りじゃよ・・・」
今回の事件は自分達の危機管理が甘かったのだと伊部牧達は反省をしているようだったが実際は違う
単純に向こうの方が動くのが早く対応する暇がなかったのがそもそもの原因なのだ
つまり彼らが反省する事など何一つとしてないのだがそれでも伊部牧達は申し訳ないと思っていた
その理由はもちろんそんな危険な事件に子供達を巻き込んでしまった罪悪感だった
(今回は本当に彼らの命が危険に晒されたと言っても過言ではないわい・・・
下手をすれば・・・考えただけでもゾッとする・・・これからはもっと慎重にならないといかんのう・・・)
これまでと違い伊部牧は出来るだけ危険な事には剣也達を関わらせないようにしようと誓うのだが
この時の彼はまだ知らなかったのだ・・・すでに彼らは巻き込まれているという事に・・・
某所・・・とある施設の中では・・・
「・・・任務は一応成功だったみたいだが・・・例の機能を使おうとしたのはいただけないな・・・」
「そっそれに関しては悪かったと思ってるよ!でもしょうがないだろ!?アイツら思った以上に強かったんだ!」
「残念だが彼らが強かったわけではない・・・お前が単純に油断し過ぎていただけだ・・・
これ以上、勝手な行動をすればどうなるか・・・分かっているだろう?」
「わっ分かってるよ・・・!それにしばらくの間、オイラはお休みなんだろ?」
「ああ・・・お前のテングを修理しなくてはいけないからな・・・だがそれが終わったら・・・」
『・・・どうやらワシが出るまでもなかったな・・・
だがこれからあやつらの活動は活発になる・・・その時は・・・』
小烏丸との戦いが終わり平穏な日々が戻ってきた剣也達
しかしそれは新しい戦いの始まりでもあった・・・




