私の一風変わった休日
「私の一風変わった日常」を読んでない方! 先にそちらを読んでくださるとより楽しめると思います。
拙い作品ですが、楽しんでくださると嬉しいです!
―ミーンミーンミーンミーン。ジジジジジジ。
響く蝉の声。夏だなぁっと実感させられる。
そんな夏の日。私、本條 瑠梨奈は友達の宮野 湖恋とショッピングモールに遊びに来ていた。
彼女は中学に入ってから知り合った。どこかの誰かさんたちのようにとてつもないキャラのこさをしているわけでもなく、普通に優しくて可愛い女の子だ。いつもツインテールを揺らしている。可愛い。
強いて言うなら男の趣味がアレなことぐらいだろうか?
何を隠そう、彼女の彼氏はあの厨二と男の娘の権化、春樹なのだ。彼女曰く「可愛すぎる性格に惚れた」らしい。もちろん緋奈みたいな趣味ではないらしい。(私は少し疑っているが)。
確かに、春樹が子犬のしっぽの幻覚が見えそうになるくらい私に懐いてきてくれている所を見ると、可愛いとは感じる。すごく可愛らしい。しかし、私にとっては、それを補って余るほどの難点がある。(もちろん男の娘な所と重度厨二病患者なところだ)
デート中に、「妾と光魔法の習得に行くぞ」とか、「ぐぅ……左腕が疼く」とか言われたら嫌だ。もう別れたい。
そう考えると、湖恋もだいぶ変わった人ではないだろうか?
「るーりーな! なに人の顔みて難しそうな顔してんの?」
おっと、考え込んでいたのがバレたようだ。
「ううん、なんでもない。強いて言うなら湖恋の彼氏について考えてただけー」
「えー石丸のこと? 」
「そ。いや、春樹、厨二のくせに湖恋とやってることが昭和だなっと」
「昭和って失礼な! 確かに交換日記とかはしてるけどさぁ」
「それが昭和だって(笑)」
「因みに石丸、日記の中でも一人称妾だよー」
「まじか。因みに湖恋は? 我とか某とか?」
「んなわけあるかぁー! 普通に私だよ」
「えぇー。彼氏が厨二病なら彼女も厨二病なのかと」
「違わい!……瑠梨奈の方は? 好きな人くらいできたの?」
「……(ぷぃっ!)」
「あぁー!かっわいい〜。絶対好きな人いるね。コレは」
「……黙秘! 黙秘権を発動します!」
「えー。でも私が予想するに……。テニス部の子かな?」
「……!? なぜバレたし」
「だって最近、めっちゃテニスコートの方見てたもん!」
「……まじか。普通に驚き。私、そんなことしてたんだ」
「そーだよぉ。私にはバレバレだからねー?」
「……くっ!」
「で? 誰々?」
「……名前はわかんないし、学年もわかんない。一目惚れだから」
「ほほう……。それは今後に期待、ですね」
「もぅ!!」
「あっれー? 瑠梨奈先輩がいるー! こんなところで会うなんて、やっぱ運命の相手だからですかね!?」
声をかけてきたのは緋奈だった。
「緋奈、久しぶり。……あと運命の相手違うから」
「えぇ。付き合うくらいいじゃないですか!」
「嫌だよ」
「酷い……。あ、湖恋先輩こんにちはー! そろそろ春樹から私に乗り換えません?」
「い、や、だ、よ?」
「ふぇーん……。2人して酷い」
「「いや、会う人会う人口説いてる貴女の頭の方が酷いわ」」
「酷いよー。ねぇ水葵! 慰めてー?」
「え? 嫌だよ?」
―そこに居たのは、ショートヘアで涼し気な目元の子。スラリとしていて、クールな子。だけど、いつも誰よりも早く、テニスコートにきて、一生懸命練習していた、熱いところもあるあの子。そう、私が一目惚れしたあの子だった。
……こんなところで、出会えるなんて。嬉しい。
心臓が大きな音をたて、ドクンドクンと鼓動する。頬が熱くなって、真っ赤に染る。
名前くらい、聞けたらいいな。
「先輩!ところで何してたんですかぁ?」
緋奈の声で、我に返る。
……あれ?なんか違和感が……。なんだろう、しっかり思い出してみよう。
……あっ!?
緋奈が男の子といる? そんなの初めて見た。それにあの子への当たりが優しい。緋奈、男子に関しては結構つっけどんな反応しか返さないのに。
あのガチ百合変態が、女子といない? それは多分地球がなくなってもないだろう。だってあのガチ百合変態だから。てことは、 まさか……。
引き攣る顔を何とか笑みの形にする。
「緋奈? その子は? なんていう子?」
「あぁ! 先輩方は会うの初めてでしたっけ。 ……この子は1年の山本水葵。女テニ、新進気鋭の1年エースです!」
「初めまして、山本水葵です。よろしくお願いします」
……やっぱり、女の子だった。初恋って叶わないって言うけど、ほんとだね。泣きたくなるよ。
一応言っておくが私には百合の趣味はない。断じてない。恋愛対象は男性限定だ。
「初めまして、私が3年の宮野湖恋で、こっちが本條瑠梨奈」
「よろしくお願いします、宮野先輩、本條先輩」
……1つ、叶える道があるとすれば、私も緋奈みたいな百合系少女になる道だが。それは絶対に嫌だ。他になにか、道は……!
「そういえば。緋奈ちゃんは誰か1人に相手決めないの? 学校中の女子に告白してたよね?」
「あ〜。決めませんねー。私、実はポリネシアにあるマルケサス島の出身でして」
「え? マルケ……何?」
「マルケサス島です、湖恋先輩」
「で、そのマルケサス島がどうかしたの?」
「実はそこ、一妻多夫制の国なので。なんか1人に決める、ていう概念が……」
「へ〜、そうなんだ」
「でも、貴女が告白してるのは全員女性。一妻多夫はならないのでは?」
「ぐはぁっ!? 水葵、痛いとこつくね!?」
「そして、貴女とは赤ちゃんの頃から日本で一緒にいるんだけど? 」
「うぐっ!?」
「してやったり。私の1907連勝」
「あははは。緋奈ちゃんがやられてるとこ、初めて見たわ」
「……もう。あ、先輩方名残惜しいんですけどそろそろ行きますね。湖恋先輩、瑠梨奈先輩、告白の返事、考えておいてくださいねー?」
「先輩方、無視していただいて結構です。緋奈ともども、よろしくお願いします」
「はいはい、またねー」
……他に、道は……!!
「…な!…梨奈!…瑠梨奈!! 大丈夫!?」
「……ん? なんだ。湖恋か。ん。私は大丈夫だよ?」
「いや、大丈夫じゃないでしょ。ホントに大丈夫?」
……湖恋に、言うか。
「……湖恋ぉー! 失恋したよぉー! 初恋だっのにぃー!!」
「えっ!? どしたいきなり……」
「……実は」
「えぇ!? まじか……。え? 女の子ってわかんなかったの?」
「……遠くからだったし。かっこよかったし」
「どんまい(笑)」
今日学んだことー。
初恋は叶わないってことー。誰か叶える方法教えてください。……ぐすん。
読んで頂き、ありがとうございましたぁ!
皆さんに最大級の感謝を!
緋奈
「先輩!下の星を押すか、感想を送ってくださると嬉しいです!」
瑠梨奈
「押したよ?」
緋奈
「付き合ってください」
瑠梨奈
「嫌だけど?」
緋奈
「……ぐすん」