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プロミネンスの再創生記  作者: レモンと愉快な仲間たち
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#1 神話の始まり

第一話 神話の始まり


無機質な部屋の中、僕がウトウトとしていると、突然扉が開き男が入ってきた。

男は僕と机を挟んだ向かい側に座り、真剣な顔つきでこちらを向いて淡々と話し始めた。

僕は男の人の話を睨みながら聞いた、僕は警察自体大っ嫌いだ。


「ではまず確認だ、【尾尻帆助】、戸塚の産婦人科で生まれる、出生時の体重は1978g、低出生体重児として三週間カプセル内で過ごす、母親は尾尻石須、父親は尾尻克己、生まれつき背が低かった、アレルギーはエビ、カニ、アボカド、その他南国系統のフルーツ全般」


僕の説明だ、警察には嫌な思い出しかない、早くここから出たい。


「その後東京の西十条の家で三歳まで通常の幼児として生活、母方の祖父母は既に死去、父方の祖母も死去、祖父は行方不明、そして一家が叔父の尾尻瀬人に殺害され君だけが生のこ……」


警察を前に話を聞くだけでも不快だがそこで僕は心の中の糸がぷつんと切れた。こいつらにあの日のことを語る資格はないんだ。こいつも同じ。


「よくその事件を僕に説明できますね!あなたたちのせいでまだ彼奴が……彼奴がのうのうと生きてるってのに!」


僕は気づいたら立ち上がっていた、僕は敬語だったが、その言葉一つ一つに怒りを込めて言い放った。すると、男は驚いたように目を見開き、少々戸惑う素振りを見せた。

さっきまでおとなしく話を聞いていた子供がいきなり怒ったのだ。


「なんですか?知らないふりして驚いて。取り調べもこれで三回目ですよ?何回もこの話をしなきゃいけないんですか?なら良いです、何度でも答えてあげます。僕が3歳の頃……」


そう、あれは今よりもっと小さかった頃、お酒を呑んでばっかりの叔父さんが急に怖い顔してナイフ……そう、確かナイフを持ってお父さんを刺した、僕は怖くてお風呂から出られなかった。

少ししたら、お母さんの泣き声が聞こえた、どうして、どうして、って。

奥に行っちゃって見えなかったけど、多分お母さんも刺された、泣き声が止んで、次は僕だって思って、そしたら叔父さんはこっちに来た、そして結界がなんとかとか言って。

結局は僕だけ生き残った。

ずっと寂しかった。

孤児院の人の話を盗み聞いた時知った、警察は捜査どころか死体を焼いて一家心中ってことにしたらしい。

その後の孤児院じゃ変な名前のせいでいじめられて、こんな名前にしたお父さんとお母さんまで嫌いになりそうで、それが嫌で逃げ出した。


「そこで君は路頭に迷った。そして、空腹のあまりおにぎりを盗み、そこを僕に見られてってことか。」


男は話を理解したようにそう言った、男の真剣な顔つきが緩み始めた。


「安心してくれ、我々は警察じゃない、フッ、僕は子供の頃貧しい家庭でね、万引の一つくらいしたさ」


男の人は少し笑ってそう言った、それが僕を落ち着かせるための嘘だとしても僕は嬉しかった、そして申し訳なかった、僕の勘違いで困らせてしまっただろうか。


「そう、でしたか、すいません……僕の勘違いです、警察だと思って……」


男の人は少し待ってその後落ち着いた口調で微笑みながらこう言った。


「自己紹介が遅れたね、私は黒田、RD財団統率部人事班の黒田駒霧だ。君を保護しに来た。」


◆◇◆◇◆


「ただいま速報が入りました、東京都内の小王子で、ん?おい、これで合ってるのか?

えー、あ、失礼いたしました小王子型の敵対的未確認生物が出現したようです。既に、最低7、な、76!? ……76人が殺害されています。付近の住人は速やかに避難してください」


「未確認生物ねえ。今日はエイプリルフールでもないってのに何放送してんだか」

「いやぁ、でも先輩、リリッターとかフェイモスブック、ヨフーでもこのニュース流されてますよぉ」

「へっ、そんなの嘘に決まってんだろ。」

「でも先輩、同時にフェイクニュースなんて流れないですってぇ」


これが二人の最後の言葉だった。突如、後ろから水の刃が2つ繰り出され、二人の首が飛んで地面を転がった。


「コイツ、デモ……ナイ。コイツモ……チガウ。ニンゲ、ンオオ、スギル」


「ば、化け物だ!あ、ああぁ!」


「オロ、カナ」


近くを通りかかった通行人は必死で逃れようとするが、それも虚しく水の檻に閉じ込められ窒息死した。


「……イナイ。イッタ、イドコ……ニ?」


次の瞬間、その者が叫ぶと同時に半径50m範囲が水の刃によって切り開かれ、数人がまた血を吹き出して死んでいった。


カエルのような頭を持つその怪物は水色、金色、白の装束を身に纏い、不気味に光を反射していた。


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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