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第52話 事後報告

 同棲しているお部屋で、わたしはライオネルから襲撃事件について分かったことの報告を受けていた。


「結局、拉致工作員の黒幕は分からなかったんですね」


「すまないクレア。あの拉致工作員はとてつもなく用意周到で、誰かとの繋がりを示すようなものを何一つ持っていなかったんだ」


「ライオネルが謝ることじゃありませんよ」


「ただおそらくだけど、どこかの国の諜報部隊か特務部隊のエージェントだと思う」


「あまりに何も出てこないから、ですか?」


「ああ。それとこれは戦った時に感じたことなんだけど、あの剣技はおそらくシェンロン王国の騎士が使っている正統の剣術流派だ。すこし我流が強かったけどね」


「ということは彼はシェンロンの元騎士……やっぱりシェンロンが黒幕だった可能性が高いわけですね? わたしを『神龍の巫女』として呼び戻すために」


「ああ。だからしばらくは君の警護を強化する方向でいこうと思ってる。ブリスタニア王国第3王子の名に懸けて、二度と君に指一本触れさせはしないから、そこだけは安心してほしい」


「お手数をおかけします」

 何から何まで任せっきりのライオネルに、感謝の気持ちを込めてわたしはぺこりとお辞儀をした。


「それにしても、バーバラと言うニセの巫女はよほど君に頭を下げるのが嫌みたいだね。なんとなくだけど、これまでの非礼を詫びて名誉回復さえすれば、クレアはきっとシェンロン王国に戻ったと思うんだ。ずっとは無理にしても神龍さまの怒りを収めるまでくらいならさ」


「はい、ライオネルの言う通りです。『神龍災害』でシェンロンの国民が苦しむのは、正直心苦しいので……」


「だけど現状では、こちらから深入りすると不当な内政干渉ととられかねない。そうならないようにとりあえずは様子見をするとして。だけどおいおいシェンロン王国とも、正式な外交ルートを使って交渉を始めようと思ってるんだ。相応の待遇をするのであれば聖女クレアを派遣してもいいよってね」


「その時は神龍さまのお怒りが鎮まるよう、全力を尽くしたいと思います」


「ああ、ボクも昔から交流のある隣国シェンロンの民が苦しむのを、見て見ぬふりはしたくないからね。その時はぜひとも頼むよ。ブリスタニアを救ってくれた時のように、シェンロンも救ってあげてほしい」


「はい、お任せください!」


 そんな感じで。


 しばらく様子見ということで、拉致工作員によるわたし襲撃事件の事後報告が終わろうとした時だった。


 コンコンとノックの音がして、


「夜分にご歓談中申し訳ありませんライオネル殿下」

 近衛兵が一人、入ってきたんだ。


「どうしたんだい? こんな時間に?」


「はっ! つい先ほど、シェンロン王国にいる協力員より火急の知らせがまいりました」

 そこまで言って兵士はわたしをチラッと見た。


「あ、ごめんなさい、すぐに席を外しますね」

 すぐにわたしはとなりの部屋に行こうとしたんだけど、


「いやクレアはそのままで構わないよ。シェンロンの事なら君はむしろ一番の当事者だ。話の腰を折ってすまない、報告を続けてくれ」


「はっ! シェンロン王国にいる協力員の情報によりますと、シェンロン王国で多数の民衆が蜂起し、王宮や行政庁舎になだれ込んで占拠するに至ったとのことです」


「なんだって!? それは本当なのかい?」


 ライオネルがガタっと椅子をひっくり返しながら立ち上がった。

 ものすごく驚いているみたいだった。


 で、でもそれも仕方ないよね!?

 わたしなんてビックリしすぎて、言葉が出ないくらいなんだから。


 だってだって、シェンロンの王宮が民衆に占拠されちゃったんだよ!?


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