憎しみの狭間で
なんでも涼しい顔でできてしまう貴方が憎い。
貴方は私より年上だったが昔からよく遊んでいた。鬼ごっこをすると当然、私の手が貴方を捉えることはなく、勉強をすればいつも貴方は一番を取ってしまう。
そんな貴方の話を両親が聞くと私は叱責を受けた。
貴方のせいで私が何度怒られたかは分からない。だが、怒られるたびに貴方への憎しみは強くなっていった。
そんな時、貴方は私に声をかけてきた。
「君のことが羨ましい」
私が貴方に憎しみしか感じていないのに対し、貴方は私に羨ましいと伝えてきたのだ。なんでも持っている貴方は私のどこが羨ましいのだろうか。
「なぜ私のことが羨ましいの?」
そう問いかけた時、貴方はうっすら涙を浮かべたまま言葉を発した。
「君の周りはいつも温かい人たちがいて、きっと君が願ったことはなんでも叶ってしまうんだろうなって思ってしまうの! そう思うと辛くて……」
貴方の思いもよらない言葉に耳を疑った。私のことを貴方がどう感じているかなど知らなかったからだ。
だが、貴方の周りにはいつもたくさんの人がいて幸せそうな表情をしていた。あれは作っていたものなのだろうか?
「私は貴方が羨むものなんて何も持ってない。それと違って貴方は私が欲しいものをなんでも持っているんだよ? 運動や勉強もできて人気者な貴方が私になんかになりたいわけ無いじゃないか! 冷やかしなら何処かに行ってくれよ」
この言葉を聞いて貴方は言われるがまま何処かに行ってしまった。
数日後貴方が飛び降り自殺をしたと聞いた。全てを持っている貴方がなぜ自殺をしたのだろうか? それは、本人にしか分からないことなのだろう。
だが、貴方が亡くなって私が貴方に抱いていた感情が憎しみではなかったことに気づくことができた。
私は貴方になりたい




