第八話 1067mのキョウキ!
ソンタクンに跨がり屋敷を見て回る
建物の状態、訓練場、蔵、部屋数、炊事場どれを取っても今住んでいる家より格段に上だ!特に圧巻なのは浴室だ三十人が余裕で入れる湯船、裏の山林に面した露天風呂!
期待に胸が躍る!
皆んなの所に戻ると、手に武器を持ち籠手や脛当てなどの防具を装備した美女達が…
「皆んな似合ってるよ!」
「ご主人様、ありがとうございます」
「明日から拠点をここに移そうと思う
内勤班と補助班は引っ越しとらっきょう屋敷からの荷物の運搬をして欲しい、外勤班と俺は朝から新温泉町へ行く!」
「「「「「「「はい」」」」」」」
「一人一部屋与えるので好きに使って欲しい、内勤班と補助班の者は自分の部屋に装備している物を置いて来てくれ その後、食材を買って夕食の準備
外勤班は俺と背嚢や保存食の買い出しと辻馬車の予約をしに行く」
割り振りを伝えて イチゴにお金を渡す
「こ、こんなに沢山⁉︎ ご主人様多過ぎます!」
「五日分の食費と不足している生活必需品の購入費だから妥当な金額だと思うけど」
「それでも、20万は多いです」
「じゃぁ、庭に畑を作ろう!畑で育てる野菜のタネや苗、肥料もそのお金で買っておいて」
「はい、畏まりました」
「行こうか」
俺が外勤班のソーナ、ミーナ、ヒトミ、サクヤの四人に声を掛けると、ソンタクンが鳴いた
「クゥゥン」
「ソンタクンも行きたいか?」
「ワン!」
「それじゃあ、一緒に行こう」
「ワン♪」
嬉しそうに鳴いたソンタクンは背中に俺を乗せて外へと歩き出す
「待って下さい、ご主人様」
ミーナが声を上げて四人は俺を追いかける
「ご主人様、教えてほしいです なぜ五日分ですか?」
「ボクも知りたいですよ、新温泉町まで辻馬車で五時間位で行けますよね、だから二日か三日分で良いと思うんですよ」
屋敷を出て通りを歩いているとソーナとヒトミが聞いてきた
「たしかに予定通り進めば三日で良いが、何かしらの問題が起こり予定通りに行かなかった場合を考えて、予定日数を五日にした、食費もイチゴの金銭感覚なら節約するだろうから七日分位になる、不測の事態が起こっても臨機応変に対応できるように、予定はゆとりを持って立てる事が大切だと思う」
「「そう言う事だったんですね」」
「教えて頂きありがとうございます」
「ありがとうございます」
ミーナとサクヤが声を揃えて納得しソーナとヒトミがお礼を言う
「それと、ソンタクン!君に重要な任務を与える、明日からの五日間イチゴ達と屋敷を守ってくれ!問題が起きたら俺達の所へ知らせに来て欲しい!」
「ワン!」
ソンタクンは俺の言葉に任せてと言わんばかりに元気良く鳴いた
その後、武器屋で『鎧通し』を俺が使える様に改造を依頼
雑貨屋で背嚢と保存食を購入
辻馬車屋で六人乗りの馬車を明日の朝八時出発で予約して家へ帰った
「「「ご主人様、お帰りなさいませ」」」
「ただいま」
「お風呂の準備が出来ております、お食事前に如何でしょうか?」
「ありがとう、いただくよ」
「では、お連れ致します」
イチゴがソンタクンに乗った俺を抱き上げ風呂場に連れて行く
「それでは、ごゆっくりお楽しみください」
風呂場にはムツミ、ヨーカ、フミ、ニコが一糸纏わぬ姿で待っていた!
これは、イカン!犯罪臭がするどころじゃない!完全にguiltyだ!
ヨーカが若干大人びてるけど少女の域を出ない、ムツミは四人の中で一番年上の18歳だが見た目が露里だし、ニコは言動や考え方がしっかりとしているが年齢・見た目共に露里、フミは年齢も見た目も精神も完全なる露里だ!
イチゴはこの中でゆっくり何を楽しめと言うのか?
ちなみに…
露里とはむかしロシアで使われていた長さの単位 ベルスタの事で日本語では、ロシア(露西亜)の里という事で露里と書く
1露里は約1067mである
さらに…
1067と言えば、日本の鉄道で多く採用されているレールの幅(軌間)が1067mmで世界で最も普及している軌間(標準軌)の1435mmより狭い事から狭軌と呼ばれている、狭軌は6段階に分かれており広い方から1372mm、1067mm、1000mm、914mm、762mm、600mmである、標準軌より広い軌間を広軌と呼ばれ…
眩しさを感じて辺りを見渡すと…
朝露に濡れたイチゴの実り豊かな二つの苺にしがみついていた…いつの間に朝になっている、昨夜の記憶が曖昧だ
ただ、朧げに1067m(露里)の狭軌(狂気)に晒されたような気がする…




