17、奪還中(流血有り)
ギィィン!
「うおっ!」
辛うじて刃を銃身で受けるが、力負けして切っ先が顔に迫る。
ギラギラと輝く鋭い刃を目にして恐怖に汗がドッと噴き出し、顔を背けた。
「く、く、く」
その刃が、じわじわと下がって行く。
サトミはニヤリと笑って刃を滑らせ、グッと突き出した。
「ぐあっ!」
刃が男の右の肩口へと突き刺さる。
サトミの冷笑が、魔物のように見えて寒気が走った。
「彼女を、引き渡して頂けませんか?」
苦悶の表情で、刃を受ける銃が震える。
黒シャツは右手の骨が折れたのか、慣れない左で銃を構え、撃つべきか焦っていた。
「く……くそっ!」
「離れなさい!」
横から女が銃を数発撃った。
それを腰から取った小刀で受けてはじき返す。
「いっ!」
跳弾が一発、黒シャツの男の腹に当たる。
「い……つ!」
男が、腹を押さえてうずくまった。
「え!なんで?なんでこいつに撃つと別の人に当たるのよ!」
「ククッ」
サトミが笑って引いた瞬間、傷の男がハンドガンを諦め、椅子にかけていた自動小銃に手を伸ばす。
キンッ!
音を立て、手先の小銃が二つに割れた。
「ギャッ!」
手を止めた瞬間、その手の甲を突き抜け、椅子の背もたれに刀がドスンと刺さり、傷の男が苦悶の表情で声を上げる。
サトミがいつの間にか背に寄り添い、彼の耳元にささやいた。
「この狭い部屋で、小銃は危ないだろう?」
「この!」
「俺を、銃で殺せると思うな。」
「くっ!このいかれ野郎!」
左手で腰のサバイバルナイフを取り、サトミの顎から刺そうとして空振りした。
サトミが刀を抜いて一歩離れると、一矢なりともとナイフを振り回す。
左から、窓際にいた黒シャツの男が右手を添えて銃で援護する。
サバイバルナイフを受け流し、別の方向から来る銃の弾を紙一重で避ける。
まるで、全身が目のようにかすりもしない。
「なぜだ!何故だ!何故当たらない!」
それは、神業と言うべきか。
しかも、サトミを見ると目を閉じている。
傷の男は戦慄し、黒シャツの銃の弾が切れたのを見計らってエリーの背に銃を向けた。
「動くな!動けば撃・・!」
「動けば切る」
銃を持つ腕に、いつの間にか刀が添えられている。
その刀はじりじりと服を切り、そして皮膚を、肉を傷つける。
「ひ、ひ、ひぃ、」
黒シャツの男が、端から見ていて思わず悲鳴を上げた。
ゆっくりとしたその動作に、恐怖に3人が凍り付く。
ギラギラと窓から入る西日を反射して、刀身が輝く。
ガチャンと音を立て、黒シャツがとうとう銃を放棄した。
「い、いやだ、いやだ!俺は切られたくない。」
耐えられず、黒シャツが両手を頭の後ろに挙げて壁を向く。
傷の男も、そっとエリーに向けた銃を下ろした。
「降参だ。俺も腕を失いたくない。
なあ、あんた。何でスタン機能を使わない、その剣、付いてるだろう。」
それを使ってくれれば、もっと短時間でかたも付いて、自分達もこんなに怖い思いもしなくて良かったと思う。
軍人が言うことじゃないと思うが、ナイフとは違いすぎる。銃で撃ち合いが訓練も受けているし、心情的にうんとラクだ、
サトミが、ああと笑う。
「だから言ったじゃないか。俺を怒らせた、そのことを後悔しろって。」
息を飲んだ、私情をガッツリ挟んで来やがる。
こんな奴が何でのんびり手紙の配達なんかやってるのかわからない。
もう、すでに二人は戦意を喪失している。
壁を向き、手を上げるとその場に座り込む。
サトミは、あのアンドロイドを渡さないと消えないだろう。
ここで手足を失う事や死ぬことが、どれだけ馬鹿馬鹿しいかと頭の中で言い聞かせる。
そうだ、こいつは荷物を取り戻しに来たのであって、我々を倒しに来たのでは無い。
「中佐、もう諦めましょう。別の方法で・・・・・」
「駄目よ!ポストアタッカー、我々にはこのアンドロイドが必要なの!
軍を出たあなたもわかるでしょう?!今の政権は・・・」
ピュン!
「ひ」
鼻先を、真っ直ぐに刀がかすめた。
奪還の中。
サトミは刀の怖さを知っているからこそ、無駄な戦いをしない為にそれを利用して・・いるはず・・
しかし、戦っている時が一番生き生きしてます。
それではまた。




