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12、それぞれの心

郊外の林の中を、車一台やっと通れるほどの細い小道が続く。

空き家が多いところとは聞いていたが、確かに町から遠すぎる為かあまり人の気配はない。

静かな中に、鳥の声が響いて羽ばたいていった。

サトミがポケットから荷受け表を取りだし、住所を確認する。


「この先の一軒家だ。お疲れ。」


「もうすぐお別れね。」


「また会えるさ。」


エリーが、うつむき目を閉じる。

それはきっと無いだろう、その可能性は低い。

それでも、人間ならこう答えるべきなのだ。


「そうね、また会いましょう。」


サトミもわかっている。

恐らくもう、二度と会うことはないだろう。

彼女のマイスターだというミラノ・タチバナは、この家にいない。

軍と敵対する何かが、彼女を欲して、そして連れ去ってしまうのだろう。


「あなたがいてくれたから、安心だったわ。ありがとう。」


「いや……」


これも仕事だ。だいたいこの子はアンドロイドじゃないか。

でも、こんな気持ちは…………何故だろう、胸が、痛い。





ゆっくりと、2人と1頭を遠くから追う車が林道に入る彼らを見送る。

電話の振動する音が、曇って鳴った。

運転席の若い男が、ちらりとバックミラーを見る。

後ろの席の軍服の男が、電話を耳に当て、車を止めてそのまま待つように合図する。


「あのポストアタッカーは……そうか。なるほど・・・」


ずいぶん報告が長いようだ。

運転席の男はチラチラと目をやりながら、周囲にも気を配って待つ。

やがて電話を切って腕を組み、考えていると再度電話がかかった。


『目標確認しました。外に6名、中は確認中。スナイパー2名待機していますが、位置につけますか?』


「いや、待て。ミラノ博士は?……わかった、そのまま待機しろ。

敵も相応の武装をしているだろう、死傷者は最低限に抑えなくてはならない。作戦の合図を待て。」


再度電話を切って、しばし考える。

本来なら、あのアンドロイドが受け渡される前に突撃するべきだろう。

仮に受け渡されたあと、部隊を突撃させるとリスクはどう変化するか。


死傷者の予測は……

周辺の被害は……

あの、アンドロイドをを人質に前面に押し出された場合の対処は……


「利用できるものは、利用するか……

あのポストアタッカー……どんなものか見てみたい。」


男が高揚した面持ちでニヤリと笑う。

ふとバックミラーに映った部下と目が合い、咳払いすると座り直して電話を取った。





木立の間から、小さな家が見えてくる。

しかし庭先は荒れ果て、人が住んでいないことを思わせる。

エリーの手が、不安そうで落ち着かない。

いわく付きを感じさせるように、建物の玄関先にはスーツ姿の男達が数人うろついている。

しかし時は無情にも、待ちかねたようにサトミ達を迎え入れた。


それぞれの心の中、幕あい的一息。

それではまた。

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