9・魔法
突然の申し出に、グレンは驚いた。
「実はボク、王都から来てるんだ。王都は此処から一日くらい掛かるけど、グレンが良いなら、ボクと行かない?」
「えっと…あの…良いの? 何処の誰かも分からない奴と一緒なんて…」
本音をいえば、美少女であるマイルスと行けるのは嬉しいが、幾ら自分がマイルスに対して悪意のある行為をする訳でもないが、初対面の人と一緒に行って良いのかと気になってしまう。
するとマイルスは、笑顔で答えた。
「大丈夫。ボクはグレンを信じるよ。分かるんだ、グレンは悪い人じゃないって!」
「……」
マイルスに言われて、グレンは嬉しさ半分恥ずかしさ半分の気分であった。
「…分かった。宜しくねマイルス」
「よろしくグレン」
マイルスはグレンの両手を握って言った。突然の事にグレンは顔が赤くなるのを感じた。
「あ、あとそうだ! 此れどうする?」
グレンは手を離してもらう為に、別の話題を持ちかけた。それは先程倒したゴブリン達の死体であった。
「グレンが倒したんだから、ゴブリンの装備をどうするかは、グレンの権利だよ」
グレンの手を離したマイルスにそう言われ、グレンはホブゴブリンの死体に近付き、ホブゴブリンの剣を拾った。
剣を拾った瞬間、マイルスはある事に気付いた。
「あ、でもグレン、その小さなカバンしかないよね…流石に全部は持っていけないかな…」
残念そうに呟くマイルス。そんなマイルスに、グレンは得意げな顔を見せた。
「大丈夫。問題ない」
「?」
そう言うとグレンは、手に持っていた剣を、アイテムボックスに収納をした。
「えっ!? 剣が消えた! 何処に行ったの?」
驚くマイルスに、グレンは首に付けられたアイテムボックスを見せた。
「此れはアイテムボックス。此れに入れたんだ」
「アイテムボックス!? 初めて見た!」
マイルスはグレンに近付いて、まじまじとアイテムボックスを見つめた。グレンはマイルスが至近距離に居る事で動揺していた。
『ち、近い…マイルスから良い匂いが…ってヤバイヤバイ! ってかこのままじゃ胸当たる』
内心穏やかではないグレンであった。
「アイテムボックスって、凄く珍しいんだよ! 普通なら国宝級だよ!」
「そ、そうなんだ…」
マイルスは興奮しながら言うが、グレンは速く離れてほしいと思っていた。
「マ、マイルス…近づきすぎ…」
「あ、ごめん」
マイルスは紅蓮から離れた。
『それにしても、アイテムボックスって、ラノベとかで超レア扱いされてるけど、この世界でもそうか…面倒になるから、あんまり言わない方が良いか…』
心の中で決心するグレン。それからグレンはゴブリン達の装備を回収した。
「さてと、ゴブリンの死体はどうするかな。このまま放置する訳にもいかないし、地面にでも埋める訳にもいかないし…」
「あの~グレン。ボクが何とかしようか?」
「えっ?」
グレンが振り向くと、マイルスが杖を構えていた。
「ボクの職業は、魔法使いだから、炎の魔法で死体を燃やせるけど?」
「マイルス、魔法使いなんだ…じゃあ、お願いして良いかな?」
「良いよ。ちょっと死体をマークするから、待ってて」
そう言うとマイルスは、ゴブリンの死体を見回した。
「じゃあいくよ…『焼き尽くすなる炎』」
マイルスが呪文を唱えると、マイルスの杖が光りだし、杖の先端から炎が飛び出て、次々とゴブリンの死体に燃え移り、死体を全て焼き尽くした。
アカン…今書いている部分の手前や…そろそろ、連日投稿止まりますわ