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黒猫の騎士  作者: 黒猫キッド
第2部・猫獣人の村編
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3・孤児院 

 初めに言っておきますわ。少し長くなりそうなので、2回に分けますわ。なので少々短いですわ。※追記・後半を書いたのですが、思ったより短かったので、合併させました。

エルディルの街中にある噴水広場で、一人の少女が噴水に腰掛けていた。銀色の髪をポニーテールにしており、左耳に金のイヤリングをした、真紅の瞳の美少女であった。

 但し服装は刺激的であり、背中の中ほどまでしかない、短めのマントの下の上半身は、豊富な胸周りを囲っただけの格好であり、下半身はスリットの入ったミニスカートであり、惜しみなく出している脚は、ブーツと二―ハイソックスという出で立ちであった。

「マイルス様!」

 其処にやってきたのは、グレンであった。

「遅いよグレン。お菓子を買いに行くだけだったのに、十分近くも遅れてるよ」

「申し訳ありません。街中でトラブルを見つけまして、その処理を行っておりました」

と、丁寧な口調でグレンは説明するが、マイルスは頬を膨らまして返事をした。

「グレン。僕に対してはそういう風な口調で喋らなくていいって言ったよね?」

「しかし今の私は、護衛部隊の隊長ですから…」

「それ以前に君は、僕の婚約者だろ?」

と、キッパリとマイルスに言われて、グレンは溜息を吐いた。

「…分かったよ。遅れてごめん。これで良いマイルス?」

「宜しい」

 グレンの口調が親しみを込めたモノに変わり、マイルスは満足そうに頷いた。

「それでグレン。お菓子は買ってきてくれた」

「買ってきたよ。この中に入っている」

 そう言いながらグレンは、アイテムボックスを指さした。

「毎回沢山買っていくね…俺からもお金出そうか?」

 グレンは提案するが、マイルスは首を横に振った。

「良いんだ。これは僕が好きでやっている事だからさ」

「そう…でも助けが必要な時は、何時でも言ってな」

「うん。ありがとうグレン」

 二人は街中を進んでいった。


※         ※


 二人がやってきたのは、街の中心部に近い、教会の様な建物だった。其処の庭では沢山の子供達が遊んでいた。其処はエルディルに存在する孤児院であった。

「あっ! 姫お姉ちゃんと黒兄ちゃんだ!」

 遊んでいた子供の一人が、やってきたマイルスとグレンを見て叫んだ。

「お姉ちゃん、お姉ちゃん。遊んで、遊んで」

 他の子供達も気づき、マイルスに群がってくる子供達。

「はいはい。その前にお菓子あげるから。グレン!」

「ああ」

 グレンはアイテムボックスから、紙袋に入った大量のお菓子を取り出して、マイルスに渡した。マイルスはそのお菓子を皆に配った。因みにグレンの腰にあった夜月は、子供達の安全の為に、アイテムボックスにしまってある。

「黒兄ちゃん、黒兄ちゃん!」

 一人の子供が、グレンに話しかけてきた。その手には木の板が持たれており、板には細かいマスが書き込まれていた。

「囲碁か、いいぜ。相手になってやるよ」

 そうグレンが言った。

 グレンが言った『囲碁』。それは本来地球のゲームであり、この世界には存在していなかったゲームであった。

 しかし実は、地球に居た時にグレンは、囲碁の趣味があり、ルールも把握していたので、グレンのスキル、『物質物錬成能力』で碁版と碁石を作成して、それを孤児院の子供達に上げたりしたのであった。

 孤児院の子供達も、グレンに懐いており、グレンから教わった囲碁は、孤児院の中で大ブレイクをしていたのであった。


※           ※


 建物の中で、子供達に囲碁をやってあげているグレンを見ながら、マイルスは椅子に腰を掛けている。

「マイルス様」

 其処に声を掛けてきたのは、恰幅の良い中年女性であった。

「院長」

 マイルスに院長と呼ばれたこの女性、この孤児院の院長である。

「何時も寄付などをありがとうございます」

「気にしないで、僕自身が好きでやっているんだから」

「…グレン様も子供達の相手をして下さって助かります」

 そう言ってグレン達を見る院長。マイルス達からは盤上ははっきりと見えないが、冷静な表情のグレンと、苦しそうな表情の子供、その様子からどっちが勝っているかマイルスには理解出来た。

「負けた~」

 脱力する様な声を、グレンが対局していた男の子が言った。どうやらグレンの勝ちの様だ。

「黒兄強すぎ! もう少し手加減してよ」

「何言ってるんだ。九子も置かせてあげているだろうが! これ以上手加減出来るか」

 碁石を片付けながら、グレンは呆れるような声で言った。

「グレン。もう少し手加減してあげなよ」

 マイルスが窘める様に言った。その時、午後の鐘がなった。

「そういえばグレン。今日は午後から騎士や兵士達の鍛錬に出るんじゃなかったっけ?」

「ああ、そうだった…俺は訓練場に行くけど、マイルスはどうする?」

「ボクはまだ此処に居るよ」

「必要なら迎えにくるけど…今の俺なら訓練場に居ても可能だから」

「? どういう事?」

 マイルスはグレンの言葉の意味が分からない様だ。

「そういえば、マイルスにはあのスキルの事を教えてなかった…あとで教えるから、帰るときは、此れで教えて」

 グレンは耳のイヤリングを触りながら言った。

「うん、分かったよ」

 マイルスも耳のイヤリングを触りながら言った。

「それじゃあ俺は行くから」

「うん、じゃあね」

「またね、黒兄ちゃん」

 マイルス達の言葉を聞くと、グレンは孤児院から去っていった。



 囲碁の事は、この話を考えた時に、囲碁に夢中になっていたので、グレンが囲碁を趣味にしていたという設定を設けましたわ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 冒頭の紹介の口調が、いい。 [気になる点] 「合併させました。」→「合併させましたの。」  [一言] 雰囲気が水戸黄門で安心して読める
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