67・浴室での一幕
今回も短いですが、間章だと思って下さいな。
カポーン…という音が聞こえそうな浴室の湯船に、グレンは浸かっていた。
「まさか個人の部屋でこれだけの広さの浴場とは…一国の姫恐るべし…まるで旅館かホテル並みだ…」
あまりの浴場の広さに、唖然とするグレンだった。其処に…
ガチャ…
一人の侵入者が入って来た。
「……」
正体を理解しつつも、恐る恐る振り向いたグレンの眼に、生まれたままの姿のマイルスが映った。
「な、何やってるんだよ!?」
慌てて正面を向いて、視界から逸れるグレン。
「何って、お風呂入りに来ただけだけど? それ以前に此処はボクの部屋の一部だし」
からかう様な口調で言うマイルス。
「ってか起きてたのマイルス!?」
「グレンがお風呂に行く音で、目が覚めたんだよ」
「だったら待ってても良かったでしょ? 俺が出るまで」
「別に良いじゃないか。もうお互いの裸は見たんだし!」
「ッッ!!!」
あまりにも堂々と言うマイルスに、グレンは赤面する。そうこうしている内に、マイルスが湯船に入って来た。
グレンは逃げる様にマイルスから離れる。
「逃げなくても…」
呆れるマイルス。
それから暫く、二人の間に沈黙が流れた。
「ねえ、マイルス?」
グレンから話しかけた。
「本当にさ…俺で良かったの? その…俺より相応しい身分の人が居たんじゃない?」
不安そうに尋ねるグレンに、マイルスは静かに答えた。
「…お母さんに言われたんだ」
「お母さん?」
「うん…ボクが五歳の頃に死んじゃったんだけど、凄い魔法使いだったんだよ。実はお母さんも貴族とかじゃないんだ」
「えっ?」
グレンは驚いた。一国の王妃というならば、普通に考えたら王族や貴族が普通だと思っていたからだ。
『あ、でも俺の世界でも、一般の人が王妃になるって例はあるな…』
そう考えたら納得出来た。
「冒険者だったらしんだけど、父さんが一目惚れして求愛して、結婚したんだって…そのお母さんに言われたんだ」
「…何て?」
「…『貴方が愛した人を選びなさい』って」
「!」
マイルスは静かにグレンの背中に寄り添った。
「だから君が良いんだ…ボクは君の事を愛してる」
「マイルス…」
グレンは振り向いて、マイルスを抱き締めた。
「ありがとう…マイルス…」
そう言って、優しくマイルスの唇にキスをした。その後湯船で温まった後、再びベッドに戻って、抱き締め合いながら静かに眠ったのだった。
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