64・マイルスとの話し合い
「…それって、昨日マイルス…様が話していた事と同じですか? それならお断りしたはずです」
グレンは毅然とした態度で返した。一方ロイナスとラインは、何の事だか分からない様だ。
「それは分かっている。けど、もう一度マイルスと話し合ってくれないか? これは王としてではなく、マイルスの父親としての願いだ」
そう言って、もう一度頭を下げるジルガ。マイルスはただ黙ってグレンを見ている。
「……分かりました」
短い沈黙の後、グレンが答えた。
「すまないなぁ…マイルス。グレンを部屋まで案内してやってくれ」
「はい」
マイルスは立ちあがると、グレンを付き添って玉座の間から出て行った。
残ったのは、ジルガとロイナスとラインの三人だけである。
「お前達はどう思う?」
突然ジルガに話しかけられて、一瞬驚く二人であったが、直ぐにロイナスが答える。
「私は戦力的な意味ではグレンを騎士にするのは賛成ですが、陛下、他にも何かあるのでは?」
「その事か…昨日マイルスがグレンに結婚を申し込んだ」
「! それは本当ですか!?」
ラインが驚いた声を上げる。
「マイルスが決めた相手だ。俺は反対はしなかった。しかし、断られたそうだ…自分とマイルスは釣り合わないという理由でな…だがな…」
「? 何か?」
ロイナスが尋ねる。
「俺にはアイツが断ったのは、何か別の理由がある気がするんだ…」
※ ※
一方グレンは、マイルスに案内されながら城内を進んでいた。
「着いたよ」
辿り着いたのは、見覚えのある青い扉の部屋であった。
「此処は…マイルスの部屋…」
てっきり二日前に入った部屋に案内されるかと思ったグレンは驚いた。
「さあ、入って」
扉を開けてグレンを入る様に促すマイルス。言われるがままグレンが入ると、マイルスは扉を閉めた。
ガチャ
「えっ?」
マイルスが扉の鍵を閉めた様だ。
「色々と邪魔されたくないからね」
そう言ったマイルスだった。部屋の中は外の明かりが差し込む程度で薄暗かったが、直ぐにマイルスがベッドの脇のサイドテーブルのランプに火を灯し、部屋の中は明るくなった。
何気なく部屋を見回すと、入り口の扉の脇に、もう一つ扉がある事に気が付いた。
「其処はボク専用の浴場だよ。二十四時間湯が沸いているんだ」
見ていた事に気が付いたマイルスが、そう説明した。
マイルスはベッドに腰を掛けて、立っているグレンを見た。
「…話してくれるかな?」
「えっ?」
突然のマイルスの言葉に、グレンは戸惑う。
「君がボクの騎士になるのを断った、本当の理由を…あれは建前でしょ?」
「……」
どうやら前と同じ説明をしても、認めてくれないとグレンは察した。
「分かった…でもその前に別の事も話さないといけないんだ…本当は話すつもりはなかったんだけどな…」
そう言うとグレンは、来ている武道着から一冊の手帳を取り出し、一枚の写真を手渡した。それは人間だった頃のグレンと幼馴染の遥人と琉季が写った写真だった。
「その目つきの悪い、女顔の少年がかつての俺だよ。あとの二人は幼馴染だ」
「…やっぱり…この子グレンなんだ…」
マイルスは薄々写真の黒崎 紅蓮がグレンである事に気付いていた様だ。
「俺と琉季と遥人…幼馴染の二人とは、昔から一緒だった…」
そしてグレンは語り始めた。
果たしてグレンは何を語るのか、お楽しみに…。
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