6・美しき魔法少女
ヒロイン登場ですわ。
「…かれこれ一時間は歩いていると思うけど…街はおろか村すら見当たらないな…」
辺りを見回しながらグレンが呟いた。
「異世界だから、モンスターとか出るかと思ったけど、何にも現れないし…実は地球の外国でしたってオチな訳じゃないよね…」
少々不安に思った時、ある事を思い出した。
「そうだ。確か能力の中に、『超感知能力』ってのがあったな…」
早速グレンは、『超感知能力』を鑑定してみた。
超感知能力
『全方向十キロ四方の生物の感知及び、遠距離攻撃の感知を行う。感知した物は使用者の脳内にレーダー表記として、使用者と対象までの距離を含めて表示する』
「生物だけじゃなく、遠距離攻撃…恐らく魔法とかの攻撃も感知出来るのか…よし、早速やってみるか!」
『スキル使用 超感知能力!』
スキルの発動と同時に、グレンの脳内にレーダー表示がされた。レーダーには三キロ先に青い点が一つと、赤い点が十個表示されていた。
「何だコレ? どっちが何なんだ?」
そうグレンが呟いた時、青い点に『HUMAN』、赤い点に『GOBURIN』と表示が追加された。
「青い点が人間…赤い点がゴブリ…! 襲われているの!?」
人数差からグレンは、人が襲われていると判断した。
「三キロ先か…よし」
『スキル使用 音速猫!』
五秒しか使用できないが、普通に走るより断然早いと考えたグレンは、『音速猫』を使用した。
「今行くから!」
グレンは音速のスピードで、レーダーに表示されている場所に向かった。
※ ※
その頃一人の少女が、十体のゴブリンと対峙していた。
「う~ん…不味いな…流石のボクも疲れてきた…」
ゴブリンを見ながら呟く少女。その容姿は銀色の髪をポニーテールにした髪形に、左耳に金のイヤリングを装着した、真紅の瞳をした美少女であったが、その服装は扇情的であった。
背中の中ほどまでしかない、短めのマントの下の上半身は、豊富な胸周りを囲っただけの格好であり、下半身はスリットの入ったミニスカートであり、惜しみなく出している脚は、ブーツと二―ハイソックスという出で立ちであった。
『グルルゥゥゥ…ガルルゥゥゥ…』
少女の服装が魅力的な為か、ゴブリン達も興奮状態であった。
「悪いけど、ボクは負ける気なんか更々無いよ」
そう言いながら、少女は手に握られた装飾の施された杖を構えた。装備から魔法使いの様だ。
「ガルァァァァ!!!」
挑発された事に腹を立てたのか、将又只単に欲情したのか、一匹のゴブリンが襲い掛かって来た。
「!」
少女は杖に魔力を込め、魔法を使おうとした。
ヒュン! ザンッ!!!
その時、一陣の風と共に、少女の脇を黒い影が通り過ぎたと思ったら、少女に襲いかかろうとしたゴブリンが、真っ二つになって倒れた。
「大丈夫?」
「!?」
少女の前に現れ、ゴブリンを切り捨てたのは、見たことが無い奇妙な服装をし、見た事が無い細長い剣を携えた、黒猫獣人であった。
今回も原版が長いので、分けさせてもらいましたわ。