59・グレンVSルカナス 2
キィン! ギィン! キィン! ギィン!
激しく刃をぶつけ合うグレンとルカナス。その合間にグレンは思った。
『夜月はこの世界でも、上位に値する硬度の刀なのに、ルカナスの剣はそれでも刃毀れもしないなんて、随分頑丈な剣だな』
そう思えるのは、余裕から来ているからなのかは、グレンにも分からなかった。
「くそ! 何故こんな奴の剣捌き如き、私は押し通せぬのだ!?」
憤怒の表情でルカナスが言った。
刃を打ち合いながら、グレンに切りかかろうとすれば、その手に持つ剣の刃で防がれ、逆にグレンが切り掛かってくると、ギリギリでガードをするという展開が続いており、状況はグレンが優位に立っていた。
刃が弾き合い、お互いが離れると、ルカナスが言った。
「何故だ!? 何故貴様の様な猫獣人が、私と渡り合える!?」
「経験値ならアンタの方が上…だけど、戦闘力は俺の方が上って事さ…それにそれはこっちも同じさ…俺の夜月と互角に渡り合えるなんて…アンタの部下の剣は一太刀で折れたのに…」
夜月を構え直しながら、グレンは言った。
「我が家に代々伝わる魔剣だ…貴様の剣は見た事が無いが、かなりの業物だと見た…感謝するが良い…貴様を殺して、私の物にしてやろう」
「アンタじゃ夜月の主には役不足だ! それに俺は死なない」
「さて…それはどうかな…『土竜の鉾』!」
突然ルカナスが魔法を発動したかと思うと、左手から土の鉾が飛び出し、グレンの方に向かってきた。だがそれは僅かにグレンから逸れていた。
「!?」
その時気付いたのは、自分の背後に居るのはマイルス。ルカナスの狙いはマイルスだと気付いた。
グレンが振り向いた時、土の鉾はマイルスに向かっていた。
『電撃の疾走』
極力威力を弱めた『電撃の疾走』を、マイルスに向かっている土の鉾に放った。マイルスに当たる前に、電撃はそのまま土の鉾を粉砕した。
「…それが貴様の甘さ」
「!?」
ルカナスの声を背後に聞いた瞬間、グレンはルカナスの真の狙いに気付いた。注意をマイルスに向けさせて、グレンの隙を作る事だった。
グレンは素早く身を翻すが、その時には既にグレンの腹部を、薙ぎ払う様にルカナスの魔剣が迫っていた。
ザンッ!!!
切り裂く音と共に、薙ぎ払われるグレン。腹部から血を流しながら膝から崩れ、グレンの手から夜月が離れる。
「グレン!」
マイルスの悲痛な叫びが辺りに響いた。
「ふん。他愛もない奴だ…さてマイルス姫。邪魔者も居なくなった事ですし…」
「誰が居なくなったって?」
「!?」
ザシュ!!!
ルカナスは背後から聞こえた声に、背中に激痛が走った。素早く振り返ると其処には…
「き、貴様、何故…」
其処には切られて死んだと思った、グレンが夜月を持って立って居た。
「アンタの攻撃は食らったさ…ただ、俺が死ななかっただけだ。自分で言うのもなんだけど、結構ステータス高いから…アンタも鎧のおかげでダメージは最小みたいだな」
グレンの制服のワイシャツの腹部の部分には、確かに切られた跡と血があったが、肝心の傷がなかった。『超回復力』による瞬時の回復によるモノだったが、当然ながらルカナスは知る由もなかった。ルカナスの方も鎧のおかげと、グレンの攻撃が突発的立った為、その程度で済んだ。
「しかしワイシャツとネクタイが、駄目になってしまったじゃないか?」
まるでダメージの事など、無かったかの様に振舞うグレンだった。
「おのれ…騙し討ちとは…」
「それアンタが言うか? 此れは俺とアンタの戦いだろ? なのにマイルスに手を出して…もう手加減は要らないな」
改めて夜月を構えるグレン。ルカナスの方も、グレンに背中を見せるのは危険と判断し、マイルスに手を出す事を諦めて、魔剣を構えてグレンと向き合った。
戦いは更に激化する。
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