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黒猫の騎士  作者: 黒猫キッド
第一部・クーデター編
57/77

57・クーデター 4 ヒーロー参上

「う、う~ん…」

 腹部に痛みを感じながら、マイルスの意識は覚醒した。

「お目覚めになりましたか? マイルス姫」

「!?」

 ルカナスの言葉に、マイルスは状況を思い出し、交戦体勢を取ろうとした。しかし…

「!?」

 両腕には金属の腕輪が填められていた。

「これは…魔力封じの腕輪…」

「ええ、貴方の魔力は強大ですから、填めさせてもらいました。幾ら魔法の達人である貴方でも、その腕輪の前では無力でしょう」

 マイルスが顔を上げると、勝ち誇ったルカナスの顔が目に写った。そして同時に、自分が居る場所も認識出来た。

「此処は…城壁?」

 其処はエルディルを囲っている城壁であり、正門がある場所とは反対の場所でした。

「いかかがでしょう? 城程とはいかないとはいえ、此処からなら貴方の父上の国が亡びるのを見えるでしょう?」

と、まるで演劇の様に述べるルカナスに、マイルスは憤りを感じる。

「黙れ! この国は父さんだけのものじゃない。多くの民によって成り立っている国だ! お前如きに滅ぼされてたまるか! 第一父さんはお前如きに屈しない!」

「さて、どうでしょうか?」

 マイルスの激昂も柳に風と言わんばかりに、ルカナスは平然とした口調で返した。

「貴方の命と王の座を降りるという取引なら、流石のジルガ王も首を縦には振らずにはいられないでしょう。貴方は私と結婚し、そして私はこの国の王となり、邪魔な獣共を排除する」

 あまりにも独りよがりな考えに、マイルスは絶句するが、同時にある事も考えついた。

「つまり…お前の計画を完璧にするには、私の命が必要って訳だね?」

 そう言いながら立ち上がるマイルス。そして城壁の縁へと立ち尽くす。

「! 何を!?」

「ルカナス。お前にこの国はやらない…ボクの命で国が救えるなら簡単な話だ。これでお前の計画は終わりだ!」

 そう言いマイルスは、城壁の外側に身を投げた。

「やめろぉぉぉぉぉ!!!!!」

 慌てて止めようとするルカナスであったが、僅かに手が届かずに空を切り、マイルスは落下していく。

 落下しながらマイルスは思った。

「ごめん…グレン…ちゃんと君と話したかったよ」

 目を閉じて、全てを諦めて死を覚悟したマイルスだった。

「…全く、勝手に諦めないでよ」

「!?」

 聞き覚えのある声と共に、マイルスは落下する感触を感じなくなった。目を空けると其処には…

「グレン!?」

 其処には宙に浮かんだグレンが、自分を抱えていたのだった。

「ヒーロー参上かな?」

 捻くれた口調で述べるグレンであった。


 感想・ブックマーク・誤字報告受け付けておりますわ。やっと久しぶりに主人公登場ですわ。

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