57・クーデター 4 ヒーロー参上
「う、う~ん…」
腹部に痛みを感じながら、マイルスの意識は覚醒した。
「お目覚めになりましたか? マイルス姫」
「!?」
ルカナスの言葉に、マイルスは状況を思い出し、交戦体勢を取ろうとした。しかし…
「!?」
両腕には金属の腕輪が填められていた。
「これは…魔力封じの腕輪…」
「ええ、貴方の魔力は強大ですから、填めさせてもらいました。幾ら魔法の達人である貴方でも、その腕輪の前では無力でしょう」
マイルスが顔を上げると、勝ち誇ったルカナスの顔が目に写った。そして同時に、自分が居る場所も認識出来た。
「此処は…城壁?」
其処はエルディルを囲っている城壁であり、正門がある場所とは反対の場所でした。
「いかかがでしょう? 城程とはいかないとはいえ、此処からなら貴方の父上の国が亡びるのを見えるでしょう?」
と、まるで演劇の様に述べるルカナスに、マイルスは憤りを感じる。
「黙れ! この国は父さんだけのものじゃない。多くの民によって成り立っている国だ! お前如きに滅ぼされてたまるか! 第一父さんはお前如きに屈しない!」
「さて、どうでしょうか?」
マイルスの激昂も柳に風と言わんばかりに、ルカナスは平然とした口調で返した。
「貴方の命と王の座を降りるという取引なら、流石のジルガ王も首を縦には振らずにはいられないでしょう。貴方は私と結婚し、そして私はこの国の王となり、邪魔な獣共を排除する」
あまりにも独りよがりな考えに、マイルスは絶句するが、同時にある事も考えついた。
「つまり…お前の計画を完璧にするには、私の命が必要って訳だね?」
そう言いながら立ち上がるマイルス。そして城壁の縁へと立ち尽くす。
「! 何を!?」
「ルカナス。お前にこの国はやらない…ボクの命で国が救えるなら簡単な話だ。これでお前の計画は終わりだ!」
そう言いマイルスは、城壁の外側に身を投げた。
「やめろぉぉぉぉぉ!!!!!」
慌てて止めようとするルカナスであったが、僅かに手が届かずに空を切り、マイルスは落下していく。
落下しながらマイルスは思った。
「ごめん…グレン…ちゃんと君と話したかったよ」
目を閉じて、全てを諦めて死を覚悟したマイルスだった。
「…全く、勝手に諦めないでよ」
「!?」
聞き覚えのある声と共に、マイルスは落下する感触を感じなくなった。目を空けると其処には…
「グレン!?」
其処には宙に浮かんだグレンが、自分を抱えていたのだった。
「ヒーロー参上かな?」
捻くれた口調で述べるグレンであった。
感想・ブックマーク・誤字報告受け付けておりますわ。やっと久しぶりに主人公登場ですわ。




