55・クーデター 2
ちょっと短いですわ。
クーデターが起こる少し前、早朝のエルディルでマイルスが歩いていた。
「…グレンに振られたのは残念だけど…子供達に心配かけない様にしない
しないとね」
そう言いながら歩くマイルスであったが、ふと立ち止まる。
「グレン…泣いていたって言ってたけど、どうして泣いていたんだろう…」
その事がどうしても分からないマイルスであった。
「…孤児院に行ったら、グレンの泊まっている宿屋に行って、もう一度話し合おう」
そう決意して、歩き出そうとした時だった。
「マイルス姫!」
「!」
背後から声を掛けられて、マイルスは振り返る。
「…ルカナス」
其処に居たのは、何故か武装状態のルカナスであった。
「何かな? 『私』は今は忙しいのだけれども?」
冷ややかな口調でマイルスは言った。
マイルスは普段は自分の事を、『ボク』と呼んでいるが、心を許していない相手には、『私』と一人称を変えているのだ。
そしてマイルスは、このルカナスが嫌いであった。国や父であり王であるジルガが認めている獣人達を排泄的に扱うからである。マイルスが訪れている孤児院にも獣人の子供は居る為に、それは尚更の気持ちであった。
「いえ、お時間は取らせません。ただ私は姫様に求婚を申し出たいと思いまして…」
そのルカナスの言葉に、マイルスは眉を顰めると同時に、悪寒の様なモノを感じた。
「…何言っているのか分かっているのか? いくら貴方が貴族出身であろうと、王族である私に求婚だなんて…不敬罪にも程があるぞ」
そう厳しい口調で告げると、ルカナスは何故か笑いだした。
「何がおかしい?」
「いえ…それよりも、その心配なら無用です。何故なら…間もなくジルガ王の政権は終わりを迎えるのですから…」
「!? それはどういう…」
マイルスがそう言い掛けた時であった。ルカナスが素早い動きでマイルスに向かってきた。そして…
ドゴォ!
「ぐっ!?」
殴られた様な音と共に、マイルスは腹部に痛みを感じて倒れ込んだ。
「…グ…レン…」
小さな呟きと共に、マイルスの意識は閉ざされた。
※ ※
それからクーデターが起きた後、ラインの軍の兵士が、マイルスの探索の為に、マイルスとルカナスが居た道に訪れた時であった。
「! これは…」
其処に落ちていたのは、マイルスの杖であった。
「ライン様に報告しないと!」
兵士は踵を返して、杖を持ってラインの元へと向かった。
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