53・さらば エルディア王国
まだ朝霧の立ち込めるエルディルの街中の宿屋から、一人の黒猫獣人が出て来た。グレンである。服装はこの世界に来た時の服装である学生服であり、腰には夜月が差し込まれていた。
『マスター、宜しんですか?』
街の出口に向かって歩きだすグレンに、リアが話しかけた。
「何が?」
『マイルスに別れの挨拶をしなくても…』
「…別れの挨拶は昨日したよ、簡素なモノだったけど…それに会ったら此処を去るのがつらくなるだろ?」
『それはそうですが…』
「だから良いんだ。行こう」
話を強制的に取りやめて、足を進めるグレン。やがて街の出入り口の門に辿り着いたが、時間帯的に当然ながら閉じており、通り抜けるのは不可能であった。なので…
『飛行猫』
十秒間空を飛べる『飛行猫』を使用した。『超感知能力』で調べた際、幸いにも辺りに、門の詰所以外は人は居なかったので、グレンは気にせずスキルを使った。
まず一度城壁の上に上がった後、再度『飛行猫』を使用して、地上へと降り立った。
降り立って直ぐに目に入ったのは、見渡す限りの草原と舗装された道であり、振り返るとエルディルの城壁が目に入った。
「じゃあね…マイルス…」
そう呟くとグレンは走りだし、エルディルから離れた。
※ ※
暫くして、グレンはエルディルから離れた草原に居た。その頃には日も大分高く上がっていた。
「さて、此処までくれば良いかな?」
『マスター。一つ尋ねたいのですが?』
リアが尋ねた。
「何を?」
『何故あんなにも早朝に、エルディルを出たのですか?』
「答えは簡単。あのまま宿に居たら、ロイナスかラインが来て連行されると思ったから」
『…要は逃げ出したって事では?』
「はっきり言うなよ! 抵抗して大立ち回りして騒ぎになるのが面倒だったんだから…!」
その時グレンは、何かを感じ取った。
『…マスター、感じましたか?』
「ああ…これは…戦か?」
エルディルの方向から、多くの闘気や殺気を感じ取った。
『超感知能力』
嫌な予感がしたグレンは、『超感知能力』のレーダーで、戦らしき事が行なわれている場所を調べた。そして其処は…先程まで居たエルディルであった。
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