50・マイルスの告白 グレンの涙 2
前話の続きですわ。
「グレン…君が好きだ…ボクと結婚して…ボクの騎士になってほしい…」
そう告げたのだった。
「…えっ?」
一瞬グレンは、マイルスは何を言っているのか分からなかった。
「流石に今ので分からない程、鈍くはないよね?」
からかう様に言うマイルスだが、その瞳は本気であった。
「…! い、いやちょっと待った! 何でいきなり? 僕がマイルスと結婚!? よく分からないよ!?」
あまりの事に混乱するグレン。
「…理由は? 僕なんかを選ぶ理由は?」
落ち着いて尋ねるグレン。マイルスは少し考えて答える。
「簡単に言うと…一目惚れかな…」
「一目惚れ?」
「君と会った時からさ…ボク何だか君に魅かれているみたいなんだ…、グレンと話していると楽しいし、グレンの上着の匂いとか嗅ぐと落ち着くし…」
「……」
グレンが無言を貫いて顔を俯かせていると、マイルスがグレンの手を握ってくる。
「ボクはグレンが好きだ…誰よりも…ボクと一緒になって…」
そう真摯に告げるマイルスに、グレンは…。
「…ゴメン…無理だよ」
そう言って顔を上げた。その顔は何故か笑顔だった。
「!?」
「僕は只の民間人だから、マイルスとは釣り合わないよ。マイルスには相応しい、王族や貴族があるでしょ? 何より君の父親の王様が許してくれない」
「そんな事無いよ! 父さんはボクが選んだ相手なら、誰であっても認めるって、小さい頃から言ってたよ!」
反論するマイルスだが、決定的な事をグレンは言う。
「それに君は、僕の事が好きだって言ったけど、それ以前に君が愛する存在が居るじゃないか?」
「えっ!?誰それ、そんなの居ないよ!?」
「またまた…ルカナスって騎士だよ。此処に来る途中、その人に会って聞いたよ。『愛し合っている』って…」
「ルカナス…アイツ…嘘だ! ボクはルカナスなんか愛してない! 誰かを愛しているとしたら、それはグレンだけだ!」
グレンはマイルスが、ルカナスとの関係は出鱈目だと主張している事に疑問を抱くが、そんな事はおくびにも出さず続ける。
「…仮にルカナスの言葉が嘘でも、僕は君には合わないよ。分かってほしい」
「!!!!!」
グレンにそう言われ、マイルスは黙り込んでしまう。グレンは気まずくなり、部屋を見回すと、部屋の隅の机に先程貸した上着があった。グレンは机まで脚を進めて、上着を手に取って羽織った。
「マイルス…僕は明日此処を去るよ…元気でね」
笑顔でそう告げると、グレンは静かに部屋を出て行った。それに対してマイルスは、声を掛ける事も追いかける事も出来なかった。
※ ※
元来た道を辿っていると、やがて中庭へと辿り着いた。其処には見覚えがある姿があった。
「お、王様」
其処に居たのは、相変わらず王様らしくない服装のジルガであった。
「おう、グレンか」
ジルガがグレンに気付いた為、慌てて姿勢をとろうとするグレン。
「ああいい、そのままで!」
そう言うとジルガは、行っていた花壇への水やりを止めて、グレンに向いた。
「! お前…」
「?」
ジルガは何かに気付いた様であったが、グレンには分からなかった。
「まあ良いか…ところでお前、マイルスの奴に結婚を申し込まれただろう」
「え、ええ…そうですが…」
まさか知っているとは思わず、グレンは驚いた。
「それで、何て答えた?」
「……断りました」
一瞬言うのを躊躇ったが、グレンは正直に言う事にした。
「そうか…まあ、アイツの想いをお前に押し付ける訳にはいかないからな」
「いえでも…嬉しかったです。僕みたいな、捻くれた猫獣人を好いてくれたのは…では僕はこれで…」
そう告げるとグレンは、逃げる様にその場を去って行った。
「……」
グレンを見送ったジルガは、城の中へと入って行った。
※ ※
「…折角見つけたと思ったのにな…」
部屋の中でポツリと呟くマイルス。その時…
「マイルス。入るぞ!」
ノックと共に部屋の外から、父親であるジルガの声がした。
「うん、良いよ」
マイルスが許可すると、ジルガが入ってきた。
「体は大丈夫か?」
部屋に入って開口一番に具合を聞いた。
「大丈夫だよ父さん。其れより何か用かな?」
「さっきグレンと会ってな、断られたらしいな…」
「…うん、そうなんだ。でもグレンはボクの事が好きじゃなかったみたいだから、仕方ないよね」
精一杯強がって言うマイルスに、ジルガが言った。
「本当にそうか? アイツは気を遣ったんじゃないか?」
ジルガの言葉に、マイルスは戸惑う。
「そ、それってどういう事?」
マイルスが尋ねると、ジルガは言った。
「アイツ…泣いてたぞ…」
ジルガがグレンを見て気付いた事は、涙を流していたという事であった。
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