5・武器と爆発的な戦闘力と能力
分けたもう一つの方です。今回は逆に長いですわ。
数分後…
とりあえず落ち着いた紅蓮は、状況を整理した。
教室で異世界転移があり、自分の肉体消滅
↓
自称、『神』に出会い、新しい肉体を貰った
↓
新しい肉体は、猫の獣人だった
「……」
整理しても、紅蓮には理解出来なかった。
「何で? 何で猫なんだ!? 新しい肉体なら、人間で良いじゃないか!? 魔王の呪いで、カエルになった騎士は知っているけど、神の行為で猫になったなんて、聞いた事ないよ!?…あっ!?」
その時紅蓮は、ある事を思い出した。
『猫は良いな…自由にしてて…』
それは、今朝自分が言った言葉だった。
「まさかアレか!? あの言葉で猫にしたのか!? 言ったからって、ホントに猫にするか普通!?」
憤る紅蓮であったが、やがて後悔しても仕方がないという結論に辿り着き、とりあえず落ち着く事にした。すると…
「んっ?…これは…」
すぐ傍の草むらに、見慣れたものが落ちていた。それは紅蓮の通学カバンであった。
「神が一緒に転送したのか? まあ何かの役に立つかな…」
そう言いながら紅蓮は、カバンをひっくり返してみた。
「ん? 何だこれ?」
出て来た教科書やノート、筆記用具の他に、見慣れない腕輪の様な物が出て来た。
「何だ腕輪? こんなの知らないし、神が入れたのか?」
そう言いながら紅蓮は、右手に腕輪を填めようとした。しかし…
「な、何だコレ? ブカブカじゃないか。しかもコレ、一部が外れる様になっている」
腕輪はあまりに大きくて、腕に填められなかった。更に腕輪はデザイン的に後ろの部分が外れる様になっていた。
「…! まさか」
紅蓮は徐に腕輪を、首に近付けた…。
カチッ…
しっかりと紅蓮の首に填まった。腕輪ではなく、首輪だった。
「何処まで人を馬鹿にすれば気が済むんだ! あの腐れ神は!?」
あまりの馬鹿さ加減に激昂する紅蓮。勢いに任せて首輪を外して、投げ捨てようとした。その時…
「? 手紙?」
教科書等の間に、一通の手紙があった。差出人に想像が付きながらも、首輪を外すのを止めて読んでみる事にした。
『やあ、黒崎 紅蓮君。この手紙を見ているって事は、異世界に着いたみたいだね。どうかな新しい体は? その体に合わせてアクセサリーもあげたけど、気に入ってくれたかな(笑)』
「……」
紅蓮は破きたい衝動に襲われたが、何か必要な事が書いてあるかもと思い、とりあえず続きを読む。
『まあ冗談はさておき、君のその首輪は、ラノベでいうアイテムボックスだ!』
「アイテムボックス!?」
紅蓮は反射的に首輪に触れる。
『僕が作った特注品だから、キャパは無限大。更に入れた物は時間経過も起こらないから、食べ物とかも大丈夫だよ。あと君の注文の日本刀も入っているから。頭に思い浮かべれば、中のリストも確認出来るし、取り出したりも出来るよ』
やり方を確認して、紅蓮は頭の思い浮かべる。
「…成程、確かに日本刀が有るね…よし」
今度は取り出すイメージをした。するとその一瞬で、紅蓮の手に一振りの黒い日本刀が現れた。
紅蓮は日本刀を鞘から抜いて、掲げてみた。刀身は銀色の光を放っており、刀身の長さはかなりあった。まるで夜空に浮かんだ月の様に見えた。
「…夜月…夜月が良いかな!」
紅蓮は日本刀‐夜月‐を鞘に仕舞うと、ズボンのベルトに差し込んだ。更に手紙の続きを読んでみる。
『それと君の能力について述べよう。君の様々な能力は爆発的に上げておいたから。確認するなら頭の中で、『ステータス』って述べれば、透明な板(君の世界のゲーム等でいえば、ウィンドゥ)が現れて見れるから』
「成程ね…じゃあ見て見ますか…」
紅蓮は頭の中で、『ステータス』と述べた。すると目の前に透明な板、即ちウィンドゥが現れた。
グレン クロサキ
種族・黒猫獣人
年齢・15歳
レベル・1
職業・魔法剣士
能力・剣術、雷魔法、炎魔法、水魔法、風魔法、土魔法、無属性魔法、言語理解、鑑定、ステータス隠蔽、物質物錬精製成能力、物質物付属能力、飛行猫Lv1、音速猫Lv1、???、???、???、超感知能力、完全精神耐性、超回復力。
称号・異世界の勇者、神の加護を受けし者、偉大なる捻くれ者。
体力・630
知力・650
魔力・889
精神力・659
身体力・1290
「……」
とりあえず絶句するしかなかった。
「何だこのステータス値!? この世界の基準値は知らないけど、神の言葉どおりなら、レベル1でこのステータス最早化け物クラスだよな!? ってか能力の数パネェ!? RPGに出て来る属性の魔法全部あるじゃんか! おまけに称号の内、『異世界の勇者』と『神の加護を受けし者』は分かるけど、『偉大なる捻くれ者』って何だよ! 最早馬鹿にしてるのか、褒めているのかすら分からない!」
激しいツッコミを入れた後、冷静になって気になる点を見つける。
「この『飛行猫』と『音速猫』って何だ? 鑑定能力で調べられるかな?」
そう紅蓮が呟いた瞬間、ウィンドゥの表示が切り替わり、能力の詳細が現れた。
飛行猫
『スキル使用者を5秒間、浮遊させます。スキルのレベルの上昇と共に、持続時間が伸びて、最大では時間無制限での使用が可能になります。』
音速猫
『スキル使用者を5秒間、音速での移動を可能にさせます。スキルのレベルの上昇と共に、持続時間が伸びて、最大では時間無制限での使用が可能になります。』
「マジで!? 空飛べるの僕?」
飛行猫の能力に興奮する紅蓮。
「しかし5秒だけか…一応やってみるか…」
グレンは飛行猫のスキルを使用してみる事にした。
「ステータスの時みたいに、頭に浮かべれば良いのかな?」
『スキル使用 飛行猫!』
試しにスキルの使用を浮かべてみる事にした。すると…
「!? 浮いた!」
紅蓮の体は地面から離れ、空中に浮かび始めた。
「移動出来るかな?…出来た!」
ゆっくりであるが、紅蓮の体は移動し始めた。しかし…
「うわっ!?」
突然紅蓮の体は浮遊力を失い、草の上へと落ちた。幸いにも高さは地面から二m程の高さであった。
「あ痛てて…痛くないな? 身体能力おかげか?」
痛みを感じるかと思ったが、紅蓮は全く痛みを感じなかった。
「現段階では、5秒しか使えないな…崖から落ちた時とかには使えそうだな…さて、お次は音速猫だな…」
『スキル使用 音速猫!』
そう呟きながらも、紅蓮は音速猫を使用した。
「…? あんまり体の感じは変わらないけど…試しにあの岩まで走ってみるか…」
紅蓮は50m程離れた所にある、岩まで軽く走りだそうとした。
ヒュン!
「!?」
気が付くと紅蓮は、何時の間にか岩の傍まで移動していた。
「…速すぎて、自分でも分かりにくい! 殆ど瞬間移動じゃないか!」
音速猫に対しての、紅蓮の感想だった。
紅蓮は元の場所に戻り(音速猫は未使用の徒歩)、今度は夜月を鑑定してみる事にした。
夜月
『神から与えられた、グレン クロサキ専用の日本刀。
この世界において、かなりの強度を持つ物質で作られており、グレン及びグレンが心から認めた者のみ持つことが出来、それ以外の存在が持つと重量が増す。
離れた所にあっても、グレンが呼びかけ(その際、声は不要)で、手元に飛んでくる』
「夜月も中々のチートウェポンだな。流石は神が用意した武器」
夜月の刀身を見ながら呟いた。
「ってか、さっきから僕の名前の表示が片仮名になってるな…此れからは片仮名にするかな…」
紅蓮…もとい…グレンは、これからは自分の名前の表示を片仮名に決めた。
やがて夜月を鞘に戻すと、教科書等の荷物をカバンに入れて、肩から下げた(アイテムボックスに入れないのは、手ぶらでは誰かと会った時に、不審に思われない為)。
「さてと…まだ色々やりたい事があるけど、とりあえず大きな街でも目指すか…」
そう言いながら、グレンは神からの手紙の最後の文章を思い出していた。
『最後に君が居るのは、エルディア王国と呼ばれる場所で、他の生徒達が呼び出されたのは、パルネル王国という場所だから…まあ、君には他の生徒の居場所は不必要だと思うけど、一応伝えておくね。それじゃあ、新しい人生(猫生?)を楽しんでね』
「…猫生は余計だけど、まあ楽しませてもらうとするかな」
そう言うとグレンは歩き出した。
こうして、黒猫になったグレンの異世界生活は始まったのだった。
グレンのモデルは、某RPGに出ていた、カエルの勇者です。