44・初依頼
リーアスの部屋を出ると、グレンは下の階に降りて、依頼盤の方へと足を進めた。其処に向かう途中、様々な会話が聞こえた。
「おい見ろよ、黒猫の獣人だ」
「知ってるか? あの黒猫。昨日Fランク三人を、ノーダメージで倒したんだぜ」
「マジかよ。猫獣人って戦闘力皆無だろ!?」
等と様々な声がグレンの耳に聞こえたが、あえて反応せずにいた。
依頼盤の前に着くと、様々な依頼の紙が貼られていた。グレンはその中から一枚を取って、受付へと持って行った。
内容は、『グラスウルフの討伐(最低10匹)』
※ ※
依頼を受けたグレンは、ギルドを出て門へとやってきた。
「んっ? お前は昨日の…」
門番をしていた兵士が、グレンの顔を見て呟いた。グレンは覚えがないが、どうやら前日のグレンの事を知っている様である。
「ギルドに入ったので、依頼で草原まで行ってくるんです」
「そうか。まあ、頑張れよ」
兵士から激励の言葉を貰って門を開けてもらい、グレンは門を潜った。
門が閉じられると、グレンは周りを見て、兵士や他の冒険者や商人等が居ない事を確認した。
『…音速猫』
グレンは『音速猫』を使用して、音速の速さでその場から移動をしはじめた。移動しながらグレンは、スキルが切れる度に掛け直して、『超感知能力』を活用しながら、グラスウルフを探した。そして…
「! 『GRASS WOLF』…二キロ先に一五匹…よし!」
感知したグレンは、その方向へと向かった。
やがてグラスウルフの群れを発見し、グレンはニッと笑い、再度『音速猫』を使用して、グラスウルフの中心へと突っ込んだ。
「ガルゥ!?」
突然現れたグレンに、グラスウルフの群れは動揺した。しかしそれは一瞬であり、次の瞬間には襲い掛かって来た。
グレンは夜月の柄を握り、思い切り夜月の刀身を抜いた。グレンの居合抜きにより、目の前の三匹のグラスウルフは横から両断されて息絶えた。
三匹を倒した直後に、次に前後から二匹が襲い掛かってきたが、グレンは慌てる事も無く、前方のグラスウルフを夜月で刺して、後方のグラスウルフを後ろ蹴りを叩き込んだ。
「ギャン!」
蹴られたグラスウルフは、数m飛ばされるが、上手く着地をして体勢を立て直した。
グラスウルフ達は、グレンの強さに恐れを抱き始めた。その時…
「ウォオオオオオオオオンンンンン!!!!!!!!!」
途轍もない大きさの遠吠えが辺りに響いた。グレンが遠吠えがした方を見ると、其処には他のグラスウルフよりも二回り大きなグラスウルフが居た。
「アイツがボスか」
ボスの方に夜月を向けると、手下のグラスウルフ達が一斉に襲い掛かって来た。グレンは嵐に様な斬撃を繰りだし、一体ずつ切り捨てていった。やがて上着が脱げた事も気に留めずに、十三体目のグラスウルフを倒した時だった。
「痛ったぁぁぁ!?!?!?」
突然右腕に激痛が走ったと思うと、何とグラスウルフの一体が、グレンの右腕に噛み付いていた。
痛みによりグレンは夜月を落とし、隙が生じた瞬間、もう一体の手下のグラスウルフがグレンに襲い掛かろうとした。
グレンは咄嗟に右腕を振って噛み付いているグラスウルフを、襲ってくるグラスウルフに投げつけた。そして左手を二匹に向けて…
『電撃の疾走』
バリバリバリバリバリィ!!!!!
強大な電撃を二匹のグラスウルフに浴びせた。電撃を受けたグラスウルフは焼け焦げた臭いを放つ黒い塊へとなった。
「まさか防具が無い所を狙われるとは…」
そう言いながらグレンは、噛まれた右腕を見た。するとそこにある噛み傷はみるみると治っていった。
「『超回復力』のスキルの効果か…ダメージは怖くないけど、あとで考えないとな…その前に…」
グレンは夜月を拾って構えて、ボスのグラスウルフと向き合った。
「グルルルルルゥゥゥゥ!!!!!!」
手下を皆殺しにされた事に、ボスは激怒していた。
「…来い」
グレンが短く呟くと、ボスは咆哮を上げながら突進してきた。グレンはボスが自分に当たる寸前で、上へとジャンプした。
『天雷からの裁き』
ドォオオオオオオオオンンンンン!!!!!!
凄まじい落雷が、ボスへと直撃した。
着地をしたグレンは、黒焦げのボスへの警戒を緩めない。何故なら…
「クゥルルウウ…」
ボスの息はまだあったからだ。
「『天雷からの裁き』は初めてだから、調整が上手くいかなくて、倒しきれなかったか…」
グレンは夜月を手にしたまま、ボスへと近づいた。
「…武士の情けだ…すぐ楽にする…」
ザクッ!!!
そう呟くとグレンは、ボスの額へと夜月を突き刺したのであった。
こうして事実上グレンは、初依頼を成功させたのであった。
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